『Dunkirk』
クリストファー・ノーラン監督作品。
第二次大戦初期の1940年5月26日から6月4日、フランス北端のダンケルクでドイツ軍に包囲された連合軍(イギリス、フランス、ベルギー、カナダ)。イギリス海軍がダイナモ作戦というコードネームをつけた、このダンケルクからの大規模撤退作戦を描く。大きな軍艦はドイツ軍に沈められてしまうため、有志を募って民間の船を撤退作戦に使うこととなった。
空、陸、海の3つの視点を交差させてストーリーが進んでいく。セリフは少ないけれど、観ているだけでシチュエーションも、兵士や将校たちの心の内で何が起こっているかも分かる。映像も音楽も良い。
若い兵士たちの感じる恐怖や動揺、自国の領土にいながらもイギリス軍と一緒に脱出を望むフランス兵、生き残るために他人を犠牲にする者、他人の命を助けるために自分を犠牲にする者、自分の世代が始めた戦争に若い命を巻き込んでいることに罪悪感を感じて作戦に献身する者・・・最後まで引き込まれて観た。
トム・ハーディ扮するFarrierというパイロット(この作品では、最後は燃料切れになることを承知しながらも、ドイツ空軍の飛行機をいくつか撃退し、多くのイギリス人の命を救った)の結末について疑問が残ってモヤッとしたけれど、ネットにも彼に関する質問が山ほど挙げられていたので、多くの人が「なぜ?」「どうなったの??」と思ったのだろう。しかし、どうやらストーリーと一致するモデルとなったパイロットが実在していたわけではないようだ。
☆
英国俳優陣。
One Direction のハリーもいた。
☆
遠い昔、私はRamsgateという小さな港町に住んでいたことがある。Doverの北にある。こんな白い肌をむき出した崖(cliff)を見ると、当時海沿いを散歩したことを思い出す。戦時中にダンケルクから帰国する英国人兵士たちは、この崖を間近で見てようやく祖国に戻ったと安堵したのだろう。その後も戦争は続いたのだけれど。