「英国王のスピーチ」 と 「Dinner for one」
吃音(きつおん)に悩む英国王ジョージ6世の実話。コリン・ファ―スは内気であるが内側に強いものを持つジョージ6世を演じるのにぴったりだったと思う。ジェフリー・ラッシュは前にも書いたけれどあまり好きではないが、やはり名優であることを認めないわけにはいかない。
王室に生まれたことでつきまとう不自由さや、ヒトラーが上手い演説で大衆の心を掴んでしまったことへの皮肉、英国民の気質も含めて、所々にエッセンスが効いていてよかった。
私が長年住んでいたのはドイツだけれど、イギリスにも住んでいたことがある。なぜだか分からないが、イギリス人のユーモアや気質が大好きである。
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全く関係ないけれど、日本では大晦日に毎年放映されるのは紅白だったりゆく年くる年だったり。ドイツでは大晦日に毎年なぜか「Dinner for one」という古い(1963)英語のコメディーが放映される。調べてみたら、どうやらドイツのほか、オーストリアやスイス、エストニア、スウェーデン、デンマーク、フィンランド、ノルウェーそしてオーストラリアや南アフリカでも放映されているらしい。それに対しイギリスではそれほど知られておらず注目を集めていない。このスケッチではミス・ソフィーの90歳の誕生日を祝っているのだけれど、なぜ大晦日に、しかもいくつもの外国でこれが放映されるようになったのだろうか。不思議な慣習である。
オリジナルバージョンのようだけれど、最初にドイツ語でこのスケッチの紹介がある(2分25秒まで)。最後まで観たらなんと制作はNDR (北ドイツ放送 = ハンブルク拠点の公営放送局 Norddeutscher Rundfunk)ではないか!騙された気分である。どうりでイギリスでは知られていないわけだ。
いずれにしても、英語がそれほどわからなくてもニュアンスや動作で伝わる部分も多いので興味があったら是非どうぞ。