【メモ】古典ギリシア語の γ の鼻音化
0. はじめに
古典ギリシア語の γ は、後続する音(文字)が κ, γ, χ, ξ であるときに鼻音化するが、この「γ が鼻音化する条件」を毎回忘れてしまい、γ を見るたびに縮み上がって夜も眠れないので、理屈をおさえておこうと思う。
1. κ, γ, χ, ξ に共通する素性
γ の鼻音化を引き起こす4つの音は、それぞれアルファベットで次のように転写される。
κ: k
γ: g
χ: kh
ξ: ks
このことから、4つの音は(雑に考えると) IPA 表記における次の音声におおむね対応する。
κ: k
γ: g
χ: kʰ
ξ: ‿ks
4つに共通しているのは、軟口蓋破裂音始まりであるということ。
2. 「ガンマの鼻音化」の音韻論的説明
したがって、「ガンマの鼻音化」は、次のような規則として説明できる。
3. OCP (Obligatory Countour Principle)
この規則はつまるところ、「似通っている音を連続して発音するのは難しいので、そのような連続を避ける」というものだが、これはまさに音韻論の Obligatory Countour Principle であり、通言語的な傾向とも整合的。
4. 感想
・"有声" 軟口蓋破裂音だけこの規則の適応対象になるのはなんで?回避先の鼻音がデフォルトで有声の素性を持っているから?
・ほかの子音連続はどうなのか?