1950年の県営富山野球場~プロ野球編~
高校野球編の続編です。
開業初年度の県営富山野球場ではプロ野球の試合も行われました。8月14日には南海ホークス(のちの福岡ソフトバンクホークス)対大映スターズ(千葉ロッテマリーンズの前身の一つ)の試合が北陸シリーズの3戦目として開催されましたが、この試合ではパ・リーグ発足後初の「事件」が起きています。それは南海の勝利が迫った9回裏に起きました。
ちなみに、この時南海のセンターを守っていたのは黒田博樹さん(元・広島、ドジャース、ヤンキース)の父である黒田一博選手だったのですが。
この事件のポイントは以下の点でしょうか。
・この試合は審判が3人制であった
・塁審は1塁と3塁に置いており2塁塁審がいなかったため、センター方向の打球が見づらい状況にあった
・南海の鶴岡(当時の姓は山本)監督は選手兼任であり、セカンドを守っていたため打球を見やすい位置にいた
この時の南海は連敗中であり、この試合を落とせば5連敗になります。そういったチーム状況も徹底した抗議につながったのかもしれません。この試合を落とした南海ですが、連敗は最終的に引き分けを挟んで「7」まで伸びたのでした。
おわりに
高校野球でのファンによる審判の殴打、プロ野球での判定をめぐっておきた放棄試合…。それぞれ当時の事情や時代背景が深く関係した事件ではありましたが、普段何の気なしに通う地方球場でかつて球史に残る出来事があったというのは驚きでした。
県営富山野球場は今年で開業74年目を迎えます。スタンドの古さは否めませんが、スコアボードは更新され、グラウンドも十分な広さに拡張されています。これからも歴史に残る試合が行われることを期待しています。