なおのAtoZ 【B】Book
さて、2日目の本日の頭文字は【B】!
Bで始まる単語って…と思ったらすっと出てきたのはbookだったので、今日は本とわたしについて。
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小さいころから本を読むのはわりと好きだった。それはおそらく、両親ともに読書が好きなためか、家にわたしたちが読む用の本もわりと豊富にそろえてくれていて、読書が日常にあったからだと思う。読書感想文のために読む、というよりは、ひまなときにそこに本があれば手に取る程度には身近な存在だった(ちなみに妹も弟もよく本を読む)。
そして本を読み始めると没頭する。今でも鮮明に覚えているのは、小学校5年生の時。教室に学級文庫ってありませんでしたか?本とかまんがとか置いてあるコーナー。わたしのクラスは教室の後ろに学級文庫があって、休憩時間に読んだりしていたのだけれど。ある日あまりに没頭しすぎて、休憩時間が終わったことにも、先生が教室に入ってきたことにも、わたし以外の全員が着席していることにも、まったく気づかずに本を読み続けていて、先生が何度目かにわたしの名前を呼んだ声にようやく気付いて、それまで一切の音が耳に入ってこなかった自分の没頭ぶりに驚いた、という出来事があった。
そんなだから、大人になってからも、電車で本を読んでいて降りるべき駅でおりそびれたことは数えきれないほどあるし、ついつい夜更かしをしてしまうことも多い。あぶないあぶない。
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もともとわりと近かった本とわたしの距離がさらにぐっと近づいたのは、チリに住んでいたころだと思う。中学2年生の終わりから高校卒業までをチリのインターナショナルスクールで過ごしたわたしは、端的に言うと日本語に飢えていた。そんなわたしにとって、妹や弟が通う日本人学校の図書室はもはや宝の山で、イベントなどで日本人学校に行くたびに何冊も本を借りてはむさぼり読んだ(先日伊佐さんも #旅と生きる美しさを で似たようなエピソードを書いていてびっくりした)。
その時はとにかく日本語が読みたかったので、ジャンル問わず気になった本は片っ端から読んだ。赤川次郎も読んだし(三毛猫ホームズのシリーズがたくさんあった)、嵐が丘とか風と共に去りぬとか、海外文学もたくさんあったし、村上春樹の本と出会ったのもこの図書室だった(ちなみにわたしが人生で初めて読んだ村上春樹は「ノルウェイの森」で、いささか刺激的だったのでとても印象に残っている。世界観や文体がとても好きになって、そこからわたしの村上春樹ライフが始まった)。
とにかくいろんなジャンルの本を読んだことで世界はぐっと広がったし、活字がより一層身近なものになったのは、まちがいなくこの日本人学校の図書室の存在が大きい。今もまだ変わらずあるそうなので、いつかチリに帰ることがあったら訪れてみたいなーと思っている。
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そんなわけで、わたしの人生のかなり大きな部分を本は占めているので、「B」で始まる単語を考えた時に真っ先に「book」が出てきたのは本能的なものかもしれないと、ここまで書いて思った。
せっかくなので最後に、おすすめの本を1冊ご紹介。
『パイロットフィッシュ』大崎善生
この小説の中で鮮明に描かれるメッセージは、
「人は、一度出会った人間と、一度発した言葉と、二度と別れることはできない――。」
これは人生の真理だと思っていて。
良い出会いであれそうでない出会いであれ、人は誰かと出会ってしまった時点でもうその人の人生の中に存在してしまう。それはどうあがいても抗うことができない事実で。今のわたしは過去に出会った人たちの存在が確かに刻まれているし、わたしもまた、これまで出会った人たちの中に何かしらのかたちで刻まれている。言葉もそう。どういう意図で発したにせよ、その言葉は存在し続ける。だから、できうる限り、1つ1つの出会いを大切に、1つ1つの言葉を大切にしていきたい、そんなわたしの価値観を形成したのがこの小説。
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