意識の成長が幸福な世の中を作る?■□下田コラム□■vol.56
ハーバード大学のロバート・キーガン教授の「成人の発達理論」を代表とする発達心理学に基づいた、「意識の成長」が議論されるようになってからかなり時間が経っています。
「意識の成長」とは、私なりの理解で言えば、「世の中の見え方の成長」「視野の拡大」です。
自分のことばかりに意識がいき、「自分にとって損か得か」が思考の中心になってしまう人がいます。一方で、俯瞰的に自分の立ち位置を見て、「周囲との関係の中でどうあるべきか」が思考の中心になる人がいます。これらは、世の中の見え方、視野が異なるのです。
例えば、電車の中で席がひとつ空いていたとします。「我先に!」と遠くから、その席目指して突進してくる人がいます。人にぶつかりながら。
この人は、自分にしか意識がいっていないわけです。
自分にとって損か得かしか見えていないのです。
一方で、空いている席を前にして、周囲を見渡す人がいます。すると、妊婦の方がいる。私が座るより、あの人に座ってもらった方が良さそうだなと思い、目の前の席が空いていてもそのまま立っている人もいます。
この人は、全体の中の自分という意識で事象を見ています。
同じ状況でもその人の意識の段階で物事の捉え方が異なるわけです。
意識の段階が高い人が多いと場が整います。
なぜなら、そこにいる多くの人が、広い視野で物事を見ているからです。
サッカーをプレーしながら、もう一人の自分がスタジアムの上の方からコート全体を見渡し、次に自分が何をするべきか考えているようなイメージです。
実際に、名プレイヤーは、もう一人の自分がコート全体を俯瞰していると言います。
反対に意識の段階が低い人が多いと場は乱れます。
皆が、自分のことばかり考えているので、そこに秩序が生まれないからです。
地獄絵図という逸話があります。
ある人が天国と地獄を見に行きました。
すると、天国も地獄も同じだったというのです。
地獄というと、閻魔大王がいて、とても苦しい場所に見えますが、そうではありませんでした。
どちらも、中華料理のような円卓に人が座り、豪勢な食事が用意されていました。
ただ、この世と違うのは箸の長さでした。
あの世は天国も地獄も箸がとても長いのです。なので、食事をつまんでも、それを自分の口に持っていくことが難しいのです。
そして、地獄では、自分の目の前にある食事を囲い込み、自分の箸でなんとか食べようとしています。隣から誰かが取ろうとすると、「これは俺のものだ!誰にも渡さない!」として喧嘩をしています。そうやって、食事を守ったとしても箸が長いのでなかなか口に運べず食べるのに苦労しています。
一方天国では、対面の人の食事を取っています。箸が長いから簡単に取れます。そして、その取った食事を相手の口に運んであげています。
そして、「はい、次はどれを取りましょうか。どの料理もおいしいですね」と終始にこやかに会話をしながら素敵な時間を過ごしています。
状況は同じなのです。しかし、その場にいる人の意識の段階でそこは天国にも地獄にもなります。
ひとつ、注意が必要なのは、「意識の段階」というのは、世間一般で言われている「意識高い系」とかとは異なります。
「意識高い系」というと、どちらかというと学歴があり、向上心がある人をイメージすると思います。
成人の発達理論などで言われている「意識の段階」は学歴や社会的地位とはまったく関係ありません。
物事をどのように捉えているかですので、仮に向上心が高いとしても、その向上心の動機がどこにあるかなのです。
自分の収入を増やすための向上心なのか。世の中をよくするための向上心なのか。
もう少しいうと、自分の収入を増やすのも、世の中をよくするのも、実は自分のための行動です。自分の喜びのためです。
つまり、どこに心の底からの喜びを感じられるのかが、意識の段階の違いとも言えます。
そして、もうひとつ、意識の段階は、人間的序列ではありません。
意識の段階が高い人が優れていて、低い人が劣っているということではありません。また、意識の段階が高くなると悩まなくったり、生きていく上での苦しさがなくなるということでもありません。
悩みなどの種類が異なってくるだけです。
ただ、私は、意識の段階が高い人が多くなるほど、人類全体で見たときの統合的な幸福感は上がると考えています。
それは、全体が全体を考える。自分という存在がありながら、全体の最適も考える。複次元的な思考の世の中になってくるからです。
そして、本人もその世界観で感じられる喜びの方が相対的に大きいような感じがします。
会社というひとつの組織で考えた時も同じです。
意識の段階が高い人が多い組織の方が、そこに集う人の幸福感が高いと考えます。
学歴やモチベーションの高さではなく、意識の段階が高い人を集める。また、組織に集う皆で、意識の段階を高めていく。
そんな組織を作っていくといいのではないでしょうか。
そして、そこに挑戦し続けている会社があります。
GCストーリーという会社です。
先日、GCストーリーの西坂社長と経営者を集めた勉強会を開催しました。西坂社長とは、10年以上のお付き合いがありますが、意識を高めていく段階を駆け抜け、組織を成長させています。
話をお聞きしていて、経営者も社員もこの組織のあり方に真の幸福があるように感じました。
ちなみに、「意識の段階を上げていく」秘訣は、西坂社長自身が執筆した「強い組織ほど正解を捨てる」という書籍に書かれています。ご興味ある方は一読することをお勧めします。
「意識の段階の成長」
ちょっと、チャレンジしてみるといいと思います。
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