聞かぬは一生の恥
会社では職業訓練の運営をしているのですが、時々受講者の方から「聞いてなかった」ということを言われることがあります。こちらの説明の落ち度ということももちろんあるので、今後の改善に繋げることもあります。ただ、分からなかったら聞こうよってことも多々ある気がしています。
お客様サービスとしては、相手が満足するように説明する、提示するなどなど必要なのかもしれませんが、職業訓練という性質上、職業に必要な知識や技術の習得を提供するのが我々の仕事です。
仕事の中では、いくら新人だからといって全てを丁寧に言ってもらえるわけではありません。主体性を持って自ら知ろう、学ぼうという姿勢が求められるので、聞いてなかったというのは言い訳にしかなりません。
だからこそ、子どもじゃないんだから疑問に思えば聞きましょうと思うのです。
中には、周りの目を気にして質問できない方もいらっしゃいます。私は子どもの時に祖母から「聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥だ」と何かあるたびに言われていて、祖母が亡くなってもう20年も経ちますが、いまだにその言葉がよく浮かびます。その時の自分のプライドや、空気を読み過ぎることでせっかく聞けるチャンスや言うタイミングを逃すなんて勿体なさ過ぎると思うのですが、そうは思えなかったり行動できない方も多いのです。
時には言い訳的に言われることもあります。ご本人の未提出や不備があって、それを伝えた時に言われる「聞いてなかった」。これも、職業人として考えると通じる?と思わざるを得ません。本当に聞いてなかったかもしれないし、聞いたけど覚えてないということかもしれません。しかし、聞いてなかったという、相手を責める言い方は何の得にもならない気がします。
分からないことに気がつけず、聞けなかった自分の足りなさを認められない方は、勝ち負けや優劣で物事を考えがちなのではないかなと思っています。少しでも自分の足りなさを認めることで、弱みを握られた、立場が悪くなるという風に考えてしまうのかもしれません。
いつでも完璧でいられるわけじゃないし、間違えてしまうことがあるのが人間だと思います。だからこそ、疑問に思ったり不安なら聞けばいいし、相手に理解のない人だと思われようが、自分の成長のためには聞くことの方がとても大切だと思います。
日本中で職業訓練というものが行われれていますが、中には資格を取ることが中心で、知識の習得のみに留まっているという話も聞くことがあります。資格があるだけでは、業務がこなせる職業能力がついたとは思えません。税金を使った事業だからこそ、私は職業訓練のあるべき姿を体現していきたいと思うのですが、その分受講者にとっては厳しさにも繋がるため難しさも強く感じます。
理想論なのかもしれないけれど、仕事を楽しいと思える人を増やすことが私のミッションなので、他者から認めれられ評価され、仕事が楽しいと思えるような人材育成を考え続けたいと思っています。聞いてなかったではなくて、必要なことはちゃんと聞ける人を増やしていきたいなと思うこの頃です。
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