見出し画像

009« 2016年 天売島へフェリーで行く

7月。

北海道。
バスで羽幌まで行き一泊、翌朝フェリーに乗って天売島へ。
フェリーターミナルまでの道中、天気は良いのだが風がけっこうあるような気がした。
フェリーの切符を買ってカレーを食べる。

フェリーに乗り込む時、岸壁に波が砕けるのが見えたが、欠航はしないようだ。
港を出て防波堤を過ぎると、左右なのか前後なのかよく分からないが、45度ほど傾くように感じる揺れ。
念のため酔い止めは服用したが、この揺れでは効果が薄いような気がしてきたので、もう1錠追加で飲んだ。
いつもは成人は2錠と書いてあるところをケチって1錠しか飲まないことにしている。しかしこの揺れはケチっている場合じゃないと思った。

船底に近く船の真ん中が揺れが比較的少ないと聞いたことがある。
最初は遠くを見ていようとデッキにいたのだが、なにかに捕まってないと手すりを越えて海に落ちそうだし、階段を降り最下層の雑魚寝スペースへ。あやうく満員一歩手前に滑り込み。

どんぶらこどんぶらこ。
断続的に揺れている。そして時折感じる大きな揺れ。
周囲の乗客からヒィ...のような小さな悲鳴というか恐れおののく声が聞こえてくる。
荷物スペースに置いてあるたくさんのコロコロ付きトランクは、左右に一定のスピードで行ったり来たりしている。
途中まで人が押さえていたのだが、もうしゃあないと押さえるのを諦めて放置。

ガサガサ...とビニール袋をまさぐる音が聞こえ始める。
船室に置いてあった緊急時用のビニール袋が乗客から乗客へ周っている。そして...。
自分は、2錠飲んだのが功を奏したのか、ちょっと気持ち悪いなぁ程度で済んでいる。

船室内は、荷物が転げる音、ビニール袋の音、ヒィ...が時折聞こえる空間になった。

途中の島、焼尻島に到着した。
さらに人が乗ってきて、寝転ぶにはちょっと無理があるくらいの混雑となったが、揺れはこれまでよりはマシになった。
体育座りで島に到着するのを待った。時刻表ではすでに到着している時間だが、大幅に過ぎていた。

やっと天売島の港に到着し、船を降りる。乗船時間は3時間くらいだったろうか。そんなにかかってないかな。
民宿のお迎えの車で、泊まり客が皆ぐったりしてる中、おかみさんは「今日よく船出したわね!」と言った。
どうやら船は通常の航路で入港できず、一度港を通り過ぎて別航路で入港したとのこと。

これまでに、 揺れることで有名な沖縄県与那国島の「フェリーよなくに」に乗ったことがある。
行きは凪だった。缶ビールを配る陽気なオジイがいた。
帰りはドス黒い雲が真上にあり、悪天候だった。でも欠航するほどではないみたいで出港した。
行きとはまったく別世界となり、デッキで洗面器を抱える(片隅に洗面器が積まれてご自由に状態)人々が横たわっていた。中には地元の人っぽい日に焼けた屈強そうな人も横たわっていた。

いま調べたら、天売島の航路も揺れることで有名らしい。当時は知らずに行き呑気だった。
念のための酔い止めを服用していなかったら、自分も間違いなくビニール袋をまさぐっていただろう。


いいなと思ったら応援しよう!