教育格差とイノベータ④
“「教育格差に対して支援そのものを不要にする」という改革アプローチに「イノベータ育成」が処方箋のひとつになりえないか の第4回です。”
今回は「4章 社会イノベーター」で掘り下げてみます。
一見、問題児と扱われたり、ADD(注意欠陥症候群)といった行動上の問題を抱える生徒たちは、ポテンシャルやヤル気があっても、定型の集団行動を要求する学校のカタにはまることができず、悲しい結末になってしまうケースがあります。
絶滅の危機に瀕するウミガメの保護活動で世界的に知られるザンダー・スローズもそういった生徒の1人でした。
このシリーズは4回目になるのですが、過去取り上げた3人のイノベータにも共通する重要なプロセスがあります。それは、彼ら彼女らを理解し支援するメンターの登場です。
ザンダーは子どものころ、花火を上げているときに年配の女性からひどく説教を受けます。花火のせいでウミガメが海へ戻れないと。
リンダは謝罪のために訪ねてきたザンダーに、やさしくウミガメが絶滅の危機に瀕している話をします。そう、それがリンダがザンダーのメンターとなる最初の一幕でした。
リンダはこう言います。
小学校の教員でもあるリンダの強力なサポートのもと、ザンダーはウミガメ保護の環境活動家として世界に認められるようになります。
教育格差を打破し子どもたちをイノベータへと成長させることのできるカギの1つは、子どもたちを理解し支援するメンタの存在ではないかと僕は考えます。そう、リンダのようなメンタの存在です。
しかし、現在はまだリンダのようなメンタを許容し歓迎する社会へは成熟していないようにも感じます。
リンダ自身の苦悩の記載があります。
だれでもが、リンダのようなメンタになれるわけではないと思います。そういったことが性に合う合わないもあると思います。そう考えると教育格差を乗り越えイノベータへ導くことのできるメンタはごくわずかではないでしょうか。
一方で、メンタにならなければ子どもたちの支援ができないと考えるのは早計ではないでしょうか。
リンダのようなメンタを支援すること、メンタを許容し歓迎する社会の実現へ向けて貢献すること、こういったことはその意思さえあればできるのではないかと考えます。
次回は若きイノベータ達から少し外れて、子どもたちを取り巻く教育環境について考えます。
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