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志望校選び(補足I)いわゆる縁故がない学校への出願と記念受験について

前回の記事(志望校選びについて)に補足します。
(↓ 前回記事:志望校選びについて)

内容としてはごくあたりまえのことなのですが、子どもの成績が伸びない、他のライバルに差をつけられている様子などを見ているうちに色々思い悩み、間違った判断をしがちです。
頭を整理して原点に立ち戻る、という意味でも自戒を込めて記事を書きました。

縁故がない学校への出願

「○○(難関校)に入学できたら嬉しいけれども、卒業生ではないので出願しない」-このような話をよく耳にします。

実際に、難関校といわれる学校の中で卒業生の子息を特に優遇する(学校出身者の枠が大きい)学校もあるので、こういった判断も、ある面で正しいと思います。

我が家の場合も、特定の一貫校については、志望の対象から外しました。
難関校である以上対策に相当な時間はかかる。その学校特有の出題傾向もある。しかし対策に力を入れても卒業生の優遇が大きいので費用対効果に見合わない。ただでさえ時間はいくらあっても足りない状況なので、他の学校の対策に注力しよう。こう考えたわけです。

しかし、幼稚舎や横浜初等部、早実初等部、青山学院、学習院に卒業生等縁故者しか合格できないのか、というと絶対にそんなことはありません。

必ず、縁故がない(いわゆるフリーといわれる)優秀な家庭・子どもを一定数合格させます。

生物学的に、ある単一の種が爆発的に増加して一人勝ちの状態を作ったとしても、その種は長続きしない。むしろ多くの種が存在する、つまり生物の多様性がある環境のほうが、種が長続きすると言われています。

幼稚舎の卒業生の子息のみで幼稚舎のクラスを構成したいなどと慶應は微塵も考えていないでしょう。
むしろ、いままで慶應と縁がなかった優秀な層を慶應に取り込んで、将来にわたって慶應義塾を発展させていきたいと考えているはずです。これはどの学校法人も同じです。

たしかにこれらの学校では卒業生その他のコネクションなしで合格する受験者の人数が、他の学校に比べて少ないのかもしれませんが、チャンスは当然にあります。フリーが必ず合格するようにできています。
実際に各大手幼児教室はフリーの合格者を毎年多く輩出しています。

その学校に通わせたいのであれば、仮に縁故がなくとも、迷うことなく出願するべきでしょう。
そして、その学校に合格するために最大限の準備と努力をすべきだと思います。

記念受験

こんな話も耳にします。
「本当は第一志望として早慶や学習院、青山学院などの一貫校が希望だけれど、受験者が多すぎるし、縁故ではないので合格できる気がしない。だから、△△(女子校)を第一志望にする。でも万が一合格する可能性はあるかもしれないので念のため幼稚舎も受験する

真意はよくわかりませんが、もしかしたら実際には幼稚舎が第一志望だけれども、いわゆるフリー(卒業生ではないという意味)で「幼稚舎を受験する」と宣言するのは気が引けるということかもしれません。

本来行かせたい共学一貫校ではなく、女子校を第一志望にするのは、各ご家庭の判断として結構なことだと思います。小学校受験を志して必死に取り組んできたのだから全部失敗することは許されない、どうしても一定の学校の合格を勝ち取りたいという気持ちは私も痛いほどわかります。

しかし、もし幼稚舎に合格させたいのであれば、時間をかけて入試当日まで毎日必死に取り組むべきです。

「入念な準備もせずに受けてみたら運よく早慶に合格する」などといったことはまずありません。
第一志望の女子校対策をメインに行い、その延長で運よく早慶に合格するということもほぼないです。

子どもが最後の最後まであきらめずに持てる力を振り絞って全力を尽くす。保護者も最後まで子どもを信じて全力を尽くす。
保護者が記念受験だと思ってしまえば、気が緩み、本気ではない姿勢が子どもにも伝わり、あきらめない気持ち、最後の粘りが失われるでしょう。

仮に「ほとんど準備もせずに受験してみたら、たまたま早慶に合格した」などと言っている父兄がいるとしても、私は信じないと思います。
早慶の問題は例年非常によく練られていて、対策もせずに付け焼刃で覚えてきたようなおたずねで合格できるような学校ではないからです。
十分に対策して本番を迎えたとしても、本番で出題される問題が難しくて苦戦したという家庭が大半です。

早慶で出題される問題が最難関レベルであるがゆえ、むしろ早慶に合わせて対策をしておけば、他の学校の問題に取り組みやすくなるとはいえます。

実際、近年の傾向としては、これまでペーパー校といわれてきた学校が、ペーパーだけではなく他の要素を重視して総合的な視点で出題をする傾向にあり、早慶の過去問に似た出題をする例が一定数見られています。

そのため、早慶の受験を考えているのであれば、早慶に照準を合わせて真剣に対策をするというのが私のおすすめです。

あとは、リスクをとってどれだけ難関校の小学校受験に挑戦するか、という家庭の方針だと思います。
言い換えれば、小学校受験を志した理由(公立ではなく私立や国立に通わせたい)と、難関校に挑戦させたい、のどちらを優先させるかの方針です。

私自身は、中学校受験で取り返すことができるのだからこそ、小学校受験でリスクを取ってでも難関校に挑戦させるべきだという考えを持っています(別の記事でもう少し触れる予定です)。

ただ、特に女子の場合、公立ではなく私立・国立に通わせたいというご家庭が多いでしょうし、先に例に挙げた共学中高一貫校に比べて女子校が優れている点も多くあるでしょう。
女子校を第一希望にするという選択も正しいですし、後悔しないように夫婦で話し合って決めることができたのならば、何もいうことはありません。ただ伝えたかったのは、第一志望として、幼稚舎(先の例で幼稚舎をあげたのでここでも幼稚舎といいますが、どの難関共学中高一貫校でも同様です)を受験すると決めたならば、本気で最後まであきらめずに幼稚舎受験に取り組むべきだ、ということです。

上記は、私自身、受験期間中、頭ではもちろんわかっていたし、常々自分に言い聞かせていたことなのですが、子どもの成長がみられなかったり、模試の成績が伸びなかったりすると色々と考えてしまうのですよね。

「この学校に出願して意味があるのだろうか」などと思い悩み始めると、当初の小学校受験の目的を見失います。また一時の気の迷いから、楽な方へと逃げてしまいがちです。

そういった時期はどのご家庭にもあるのではないかと勝手に思っておりますが、皆様が悔いのない受験生活をお過ごしになれるように祈っております。

次回は「学校が求める子ども・家庭」についての記事を書く予定です。

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