大学生、春休み
華やかな大学生活……とは真逆の生活を送っている。友達はいないし、お金もないし、地位も名誉もない。離したくない君もいない。アラジンの魔法の絨毯もない。
おそらく、2023年になって一番最初に川崎鷹也を思い出したのではないだろうか。
とりあえず、しゃべる友達がいないので文章にするしかない。春休みに入って特に何もしていないが、インスタの投稿でスノボやら旅行やら見てるとむなしくなってくるので、対抗してインスタにあげるほどでもない雑多な日常を聞いてほしい。
春休み、まず初めに出会ったのは、屋台のラーメンだった。住んでる町では滅多に見ないのでその珍しさに感動を覚える。屋台のラーメンというのは一種の憧れ、ロマンともいえる。冬だったのもなおさら良い。これがエモいってやつか。寒空の深夜二時、歓楽街の少し外れたところの駐車場にバンが停まっていた。しかし駐車場を利用している訳ではなく、勝手に停めて、しかもそこで営業してるので普通に違法である。まあ警察でもないのでそこには目を瞑り、近寄ってみた。
バックドアを開けてそこをカウンター席のようにしており、小さな机といすも出していた。僕よりも先に女子高生くらいの二人組が屋台を眺めており、入るか悩んでいる感じだった。客は僕が一番最初である。店主は運転席に座って野球観戦している老人だった。勇気を出して、「すいません、ラーメン一杯いいですか」と声をかけて作ってもらった。自分から入っておいて言うのもアレだが、見た目はさほど良くない。というか身体に悪そうな油が浮いている。油汚れを落とす洗剤のCMで出てくるような。豚骨っぽいスープにキムチが乗っている。一口すすってみる。僕はどんな料理を出されても、絶対に残さないし、かなりなんでも美味しく食べられるほうだ。好き嫌いも少ない。が、めちゃまずい。いや、これまずいというか、なんだこれ。なんか、頭痛がする。味に戦慄してるなか、後ろから声が聞こえた。先程の女子高生二人ではなく、仕事終わりのサラリーマン三人組だった。2JKはまだ様子をうかがっている。結構な慎重派だ。サラリーマン達は小さな机にぎゅうぎゅうになりながら座り、注文をしていた。心の中で(早く引き返せ!!これはマズいぞ!!)と念を送るも「屋台のラーメンってあこがれだったんすよね~」と呑気なことを言っていた。完全に入る前の僕である。
なんとか完食し、500円払い、フラフラになりながら店、屋台を出た。ようやく決心がついたのか、僕のことが無理だったのか分からないが、2JKが入っていった。その時はもう(後悔するからやめておけ!!)という善意より(僕と同じ苦しみを味わえ!!)という悪意の方が勝っていた。
翌朝、トイレから出られなかった。
春休みに入る前、一つの科目で最後の授業があった。その授業は計4回、テストを行い、それで単位を決める、といった科目だった。論文を書くタイプのテストだったので、準備をちゃんとしなくてはならない。前日、22時頃にバイトから帰ってきて、そこから二時間復習した。しっかり睡眠も取ろうと思い、0時には布団に入った。テストは11時からなので9時間ほど寝れる。朝が弱いのでアラームを5つかけて眠りについた。翌日、自然と目が覚める。アラームは鳴っていない。時計を見ると、14時だった。焦りはせず、教授の言葉を思い出す。「一回でもテストを欠席したら単位は与えません」なるほど。終わった。これまでの三回のテストは高得点を取り続けていたのに。こんなんで単位落とすのかよ。
てか14時!?!?!?!?!?俺14時間寝てるやんけおいおいおいおい寝すぎ寝すぎ寝すぎ。
うわこれどうしようかなと思い、あれこれ考えながらとりあえずバイトに行く。バイトに向かう間、考えてたことをバイトの先輩に相談してみる。
「30代くらいの女性に渡したら喜ばれるものって何ですか?」
え!?!?と返される。詳しく今回の経緯を説明する。一言目は「あほやん」だった。その割に真剣に考えてくれて百貨店のバームクーヘンはどうか、等アドバイスをくれた。あるものを思いついた。こんなことは一発勝負。一度決めたらやるしかない。次の日、教授の研究室へと向かう。
「すみません。とりあえずこれお渡しします。単位のことで……」
渡したのはミスタードーナツである。6個。ポンデリング、エンゼルフレンチなど全部種類は異なる。前日先輩から「百貨店のものを買っていくというのはちょっと魂胆が見えて「やらしい」」と言われていた。僕はまだ大学一年生である。言ってしまえば「賄賂」という大人の姑息な手を使うのは印象が悪い。ミスドという親しみやすい商品でその大人の汚さをカバーする。それに、「6」という数字も考えた。教授は30代の女性。一人暮らしならパーティー、パートナーと二人暮らしなら3つずつ。・・・と最大六人家族まで補えるのだ。
単位の方は……セーフとのことだった。元々今までの三回のテストと課題、授業態度から、単位が取れること自体は確定していたらしい。テスト欠席による落単も今回は大目に見るということだそう。ありがとうございます。愛してます。
元陸上部の友達をトレーナーにつけ、ダイエットを始めたが、瘦せることは無く、足が速くなった。女子小学生にモテてしまう。
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