求人広告営業よ。自分の感情に正直になれ。 〜できる営業になる第一歩〜
東京で、営業経験者を月給20万円で採用したい。
そうクライアントからオーダーされたら、あなたはどうしますか?
未経験を提案する?
なんらかの条件を緩和する?
それとも、「かしこまりました!」と御用聞きになる?
どれも間違いです。
確かに受注をするために無理筋であってもクライアントの希望を飲まなければならない場合はあります。しかし、あなたがまずやるべきは、自分の心に正直になることです。
「そんなん、採用できるわけないじゃん!」
という自分の心に耳を傾けることです。
ただ、勘違いしてほしくないのは「無理です」と、クライアントに言うことが正解ではありません。求人広告のプロとして、無理筋であることを認識することが、採用成功への第一歩だと言っているのです。
まずは自分の感情を信じる
上記の要望を聞いて「何も思わない」「言われたとおりにする」営業がかなり多いです。売上のために心にフタをする営業の、いかに多いことか。
しかし、それでは自分の心をすり減らすだけで、なんのスキルアップにもなりません。ただ、ロボットのようにクライアントの言いなりになるだけ。結果、御用聞きの売れない営業・信用されない営業のままです。
まず、自分の感情に素直になり、無理筋だという気持ちを言語化することがスタートです。
感情を深掘りする
当然、このままでは採用できないので、追加の情報が必要です。
なぜ、経験者でなければならないのか
月給20万円は変わらないのか
どの程度、転職市場を理解しているのか
などなど、いろんな情報を知りたくなります。でなければ、次の手が打てないからです。もし、「新規営業に力を入れるため、既存メンバーに新規を任せる予定。採用する人には既存顧客の深耕を任せたい。だから、営業経験者でなければならない」と分かったら、どうでしょう?
(1)理由はわかりました。しかし、東京の営業募集は25万円以上が相場です。20万円では採用は難しいと言わざるを得ません。月給を上げられませんか?
(2)それであれば、必ずしも営業経験者でなくても、お客様との関係性をつくれる人であれば、未経験でもよいのではないでしょうか?
(3)既存顧客を任せるということは、複数名必要ではありませんか?20万円で経験者採用は現実的ではありません。既存メンバーの1名を指導役にし、未経験を育てる仕組みをつくったらいかがでしょう?
など、さまざまな提案ができるはずです。
もちろん、さらにヒアリングすると別の情報を得られるはずです。「新卒は20万円で採用している。既存メンバーより高い給与を提示するのは難しい」という話が出たとします。
新卒で月給20万円では離職率が高いのでは?
なぜ、既存メンバーは働き続けているのだろう?
なにか会社の魅力があるのではないか?
さまざまな疑問(感情)が浮かぶはずです。
売上・評価をいったん忘れることが、自分の成果につながる
売上に目がくらむと、「分かりました」とか「(根拠のない)いいお客様なんです」とか、訳の分からない論理で感情を殺して、自分を納得させようとします。
そこでわかったふりをせず、さらにヒアリングしてください。たとえば、「ここ数年、離職者は1人しかいない。雰囲気はいいからね」という情報が得られました。
そうすると、「雰囲気がいいからと言って、20万円で働くのか。そもそも、雰囲気がいいってどんな感じなんだ?」という感情が湧くはずです。
メンバーからアンケートをとり、「なぜ、この会社で働き続けているのですか。その理由を教えてください」と、実際に働く人に質問してみて、本音を聞き出します。
アンケート結果から、「仕事より家族やプライベートを重視していいから」ことが明らかになりました。
ここでようやく、会社の魅力がわかり、採用への道筋が見えてきました。経験者でも22〜23万円で馬車馬のように働いている営業は少なくありません。その人をターゲットにすれば採用できるかもしれません。
あるいは未経験でも十分に魅力的です。職種・業種に関わらず家族やプライベートを重視する20代・30代は多くなっています。
「仕事より家族やプライベートを重視できる会社」という方向性が見えてきました。
まとめ
どうでしょう。最初の「東京で、経験者を月給20万円で採用したい」の無理筋から、だいぶ光明が見えていませんか?
これを売上のために心を閉ざして受注しても、採用できない→お客様から詰められる→継続がもらえない→心を閉ざし、御用聞きという悪循環に陥ります。
しかし、ここまでやれば、仮に採用できなくても、お客様から「当社の魅力が明らかになった。採用はできなかったが、今後の採用の方向性がわかった」と言われるでしょう。
自分の感情に素直になることを繰り返すことで、情報取得の精度が上がり、採用決定するようになります。営業としてスキルアップもできます。
もちろん、自分の感情に耳を傾けるだけではダメです。業界や職種知識、採用トレンド、質問の精度、応募者の分析など、必要なことは山ほどあります。
しかし、自分の感情に素直になるだけで、聞くべき質問が浮かび、いずれ解決策へと結びつきます。これができる営業への第一歩です。
本当に求人広告営業として成長したいのであれば、大変ですが、自分の感情を無視しないでください。解決策への道筋は、あなたの心のなかにあります。