兄、35歳、反抗期

兄がいる。現在35歳で、絶賛反抗期である。

実家に帰ったときの両親や私への態度が、あまりにも中学生特有のアレなのだ。

普段は仕事をしながら一人暮らしをしているだけまだ両親への負担は軽いのかもしれない。しかし私がまとまった休みがあって実家に帰るとき、彼とタイミングが被ることがとてつもなく憂鬱である。

この先彼がどんな人生を送ろうと知ったことではない。彼自身に自覚があるのかも関係ない。ただ両親に精神的ストレスがかかることだけが気掛かりである。

彼は定期的に実家に帰る。
実家に帰っては王様のような態度で踏ん反り返り、家事をするわけでも両親と会話をするでもなく、ただ自室に篭って何かをしている。たまに出てきたと思ったらタバコを吸い、また自室に篭る。

両親は気を遣い続ける。
帰ってくると言われれば駅まで車で迎えに行くし、また自宅へ戻ると言われれば駅まで送り届ける。食事の準備はしてくれるし洗濯もしてくれる。彼はそれに対する感謝も伝えないし態度にも出さない。してもらって当然かのような態度である。

彼は自分の誤りを認めない。
明らかに自身が誤っていたとしても、大きい声で強い言葉を放てば相手が黙ると知っているのである。しかし相手が「あ、こいつめんどくさいやつだ。関わらんとこ。」と思って黙っていることにはおそらく気づいていないのかもしれない。強い言葉で相手を黙らせて、自分が正しいと言い聞かせている。

彼に知らないことはない。
ここ最近で話題になっていることについて私と両親で会話していると横から「今更かよ」「ずっと前から知ってるわ」などと言う。
もしかしたら彼は現役女子高生よりも早く流行をキャッチしているのかもしれない。

昔はここまで酷くなかった。
酷かったのかもしれないが年齢が若かったのでそこまで目につかなかっただけなのかもしれない。
何が彼をこうしてしまったのか想像や推測はできるが事実はわからない。彼自身が現状をどのように認識しどうしたいと考えているのかもわからない。両親にもしものことがあったとき、血縁関係は私と彼の二人だけになる。現役中学生の彼と冷静に大人の会話ができる気がしない。

どこかのタイミングで「お前おかしいぞ」と伝えられたらいいのかもしれない。
しかしそれに対して前述のように強い言葉で反論されたとき、ちゃんと彼と向き合い続けられる自信が私にはない。きっと対話を諦めてしまう。

この先どこかで彼の異常さを指摘してくれるような人物が現れることを期待するばかりだが、30代半ばでそのような人に巡り合うことは隕石が落ちる可能性と等しい。

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