ほぼ週報 #企業分析のタネ vol.2(23/01/08~23/01/14)
1. 深掘りしたニュース
■株式会社パワーエックス、自社蓄電池工場の建設や事業拡大に伴う、27億円の追加資金調達を実施
世界初の電気運搬船実現などに取り組むスタートアップ企業、株式会社パワーエックス社が、シリーズA資金調達及び金融機関からの融資で27億円を調達。
パワーエックス社は「自然エネルギーの爆発的普及を実現する。」をミッションに掲げる2021年設立のスタートアップ。太陽光発電や風力といった、天候によって発電量が左右される再エネを導入するうえで電力の需給調整などの課題解決手段として「蓄電池」、洋上風力発電で利用する海底ケーブルの設置コストや環境負荷の課題解決手段として「電気運搬船」などの開発、実用化をめざしている。
直近はバッテリー型超急速EV充電器「Hypercharger」と大型定置用蓄電池「Mega Power」の開発に注力。
調達資金をもって、建設中の蓄電池工場の完成、蓄電池製品の生産出荷、EVチャージステーションのサービス展開・拡大等の再生可能エネルギーの普及の実現に向けた取り組みを加速するとのこと。上記2製品の累計予約受注容量は2022年末時点で3.3GWh (330万kWh、約1,861億円相当) を突破した。
CEOの伊藤正裕さんは伊藤ハムの創業家の出身であり、元ZOZOのCOO。
17歳の時に設立した会社でインターネット閲覧ソフトで3D画像を高速表示する技術を開発し、ホンダや日産自動車、フェラーリなどの自動車メーカーの自社サイトに採用された。のちに資金繰りが悪化してスタートトゥデイ(現ZOZO)に傘下入りし、そこではZOZO SUITやZOZO MATの開発に参画。日本のエネルギー政策が大きな転換点を迎えていると感じ、2021年にパワーエックスを設立したとのこと。
最近「脱炭素」にテーマとして関心を持っている中で、「自然エネルギーの普及」にミッションと蓄電池や電気運搬船という事業展開に一貫性があり興味を持った1社でした。建設中の国内最大級という蓄電池工場は23年にテスト生産、24年春に出荷開始という計画なので事業としての立ち上がりはまだまだ先ぽいですね。パナソニックやテスラが先行する中でどう戦っていくのか、経営戦略が気になります。公式サイトがめちゃくちゃかっこいい
■YouTubeショート、広告による収益化が2月1日にスタート
2月1日より、YouTubeショートのクリエイターが広告収益の分配を受けられるようになる。YouTubeショートのフィードの動画間に広告が挿入され、その視聴回数に応じた広告費が分配される。
クリエイターが投稿した動画そのものに広告が紐づくわけではないので、分配方法は「ショートフィード全体の総視聴回数」「ショート動画に利用される音楽ライセンス料」「動画単体の視聴回数」などを複雑に加味して計算されるそうです。詳しくは公式で出されていた以下の例を参照されたし。
ショート動画で収益をあげられるようになったのは大きな変化ですが、個人的には「すでにコンテンツを持つものがより持つ」サービスになっていきそうだなと感じました。ショート動画の場合、カテゴリの人気 / ニッチを問わず、わざわざ検索してショート動画をみるようなケースはあまり思い付かない。つまり、フィードをスワイプして流れてくるものを適当に視聴している人が大半と考えてます。その場合、収益状況がアルゴリズムに乗るかどうかに完全に左右されるので、ひろゆきさんのような著名人の配信やテレビ番組の切り抜きなど、すでにブランドや一定の支持があるコンテンツまたはその切り抜きが大勝ちする世界観になっていきそう。
一度バズってアルゴリズムに乗り始めるとめちゃくちゃ強いですが、サムネや概要文の工夫などもないので、支援会社がコンサルをしようにもこれまで以上に再現性が難しそうなイメージはあります。今後どうなるのか気になる
2. 気になった決算、企業
今週は時間がなくおやすみ
3. 今週のTOPIC
『スタートアップ企業の上場後の成長に関する実態調査報告書』という資料をユーザベースが発表。INITIALのデータを基に日本のスタートアップのIPO後の成長状況と上場後に時価総額1,000億円以上になるための変数を調査。
資料による主なsomething newは以下。
初値時価総額が高い企業、IPOから1年後の期末従業員数が大きく成長した企業、未上場時の資金調達総額及びIPO後資金調達の大きい企業、初値騰落率が低い企業、IPO時の社長年齢が低いような企業ほど、2年後の時価総額は大きくなる
IPOから2年以内にユニコーン化する企業が全体の約70%
IPO時点では単一セグメントを持っているがIPOから2年後の時点で複数セグメントに広げている場合のユニコーン化率は21.9%となっており、相対的に高い
1については、総括となる以下のスライドで具体的な基準が示されています。
売上高の大きさや、IPO後1年間の売上高成長率が統計的に重要でないのは意外で、どう解釈すればいいのか迷っていましたが、資金調達の有無が重要という点も含めて、以下の解説にあるような「チケットサイズの大きな機関投資家の入りやすさ」という要因が大きいのかなと解釈しました。
国内スタートアップでもatama plusやSmartHRなどのユニコーン企業が海外投資家から資金調達したことがニュースになったことも踏まえ、スタートアップが時価総額がユニコーン企業へと拡大するには、事業成長以上にファイナンスの果たす役割がかなり大きいのだなと感じました。おもしろい。
4. おもしろかった記事のサマリー
最後に
今週もみていただきありがとうございました!
また来週!Twitterではもっとラフにニュースをピックしてます〜