彼女のためなら靴でも舐めれる
私の彼女は問題のある家庭で育った。
母親は、病気で脳に障害を持ち働けない。父親は蒸発。生活保護家庭で祖母に育てられた。
そんな彼女と付き合いだして一年。大学4回生の初夏、私は進路に悩んでいた。
祖母に育てられた私たち二人は、感謝も心配もあり祖母に会いに行ける距離に住んでいたい。
しかし私立文系の私が内定をいただいたのは、全国転勤ありの総合職。
「働きたいところで、働きな」
と言われていたが、本心はそうではないことが容易に想像できた。
4回生の5月の終わり時点で、内定をいただいていた会社はどれも全国に支店があり転勤もある。初めの配属が県内になる保証もない。
そこで、私は「バイト先のカラオケ店で正社員になる」という提案をしてみた。猛反対である。平日休みは時間がすれ違ってしまう。彼女は2人の時間を何よりも大切に考えているのだ。
私は「就職活動のやり直し」を決意した。4年の夏からやり直すことはとてもリスクがある。
しかし、彼女を見ていると一緒にいたいと言う気持ちが大きくなった。
今の時期からやり直して、内定が出ないんじゃないかと不安になることも何度もあったが、
「ふみくん(彼女にこう呼ばれている)なら大丈夫」
と何度も言ってくれた。
なんの根拠もない励ましがどれだけ私の支えになったことか。
「仕事見つからなかったら生活保護でもいいから一緒にいたい」
人生最高のパートナーを見つけた私は、もう勝ち組である。こんなに無条件に愛してくれる人が、母親以外にも現れるなんて思ってもみなかった。
彼女のためなら靴でも舐めれる
余裕だ。私はこの彼女を少しでも幸せにするため、人生を費やしたい。
私の大学の講義に潜り込む彼女↑
彼女の励ましもあり、一ヶ月後には転勤のないIT系の会社へ内定をいただくことが出来た。