「I decided to go abroad」高卒フリーター、オーストラリアに住む。vol.1
「不明 1名」
これは、私の高校の進学実績である。
いわゆる「進学校」に通っていたため浪人を決めたもの以外は全員進学していた。私以外。
高校を出ていきなり人生のレールを外れた。理由は親との不仲による学費の問題である。
「困った」
とりあえず、高校生の頃に始めた潰れかけ屋のパチンコ屋のアルバイトを続けた。平日の昼間から1円パチンコを打つ人たちの灰皿をきれいにしたりして、生活費を稼いだ。
「困った」
何かしなければと思っていたが、何をすればいいのかわからなかった。
「困った」
いつものように、アルバイトの休憩時間で、SNSを眺めていたら
「働きながら、海外に暮らせる!!?」
というネット広告を見つけた。
どうやらワーキングホリデーという制度らしい。
「私は、この広告に衝撃を受けた」
「海外で働きながら暮らせるなんてなんて夢のようだ」
とは思わなかったが
「高卒フリーター」という肩書きが捨てれる。今の生活から抜け出せる。と思い、私は後ろ向きな理由で、オーストラリアに行くことを決めた。
19歳だった。
それからは早かった。1ヶ月間、1日も休まずアルバイトをして30万貯めた。
留学エージェントを使ったら、語学学校に1ヶ月10万、ホームステイに1ヶ月10万、飛行機代7万飛んでいき、金はほぼ無くなった。
エージェントは私の若さとお金の心配をしていたが、振り返ってみるときっちりビジネスをしていた。今度あったら一発入れてやりたいくらいだ。
早いものでネット広告を見てから2ヶ月後、私は、セントレアにいた。格安航空会社のチケットを握りしめ、行き先はオーストラリア、ゴールドコースト。
今の生活から逃げるように決めた海外留学だったが、出国前はとても興奮したのを覚えている。
1ヶ月間の生活の保証と現金3万円を持ち、高卒フリーターの海外生活が始まろうとしていた。