LHTRPGオンラインセッション体験録 実践リプレイ ~CR1シナリオ「桜の樹の下で」part.3~
この記事はTRPG初心者でありました筆者が、オンライン環境にて「ログ・ホライズンTRPG(LHTRPG)」を遊んでみた記録です。「ログホラ好き!」「エルダーテイルやってみたい!」「TRPGは知ってるけど何となく参加しづらい!」「オンセの雰囲気が分からない!」といった方々に、現場の様子を少しでもお伝えできれば幸いです。
〈実践リプレイ:ミドル・ミッション編(続)〉
こんにちは&こんばんは、カタツムリのNです。今宵もログを辿ってゆきましょう(のそのそ
前回は〈パルムの深き場所〉に到着し、ダンジョンへの突入前に念話で情報交換をしておりました。「悪い報せ」と前置きしたうえで、トウカさんが切り出した内容とは。
GM(トウカ):「ギルマス、どうしよう……あたし、死ぬかも」
縫:「……何て?」
GM(トウカ):「欧風カレー、チキンティティナード、ポークビンダルー、ビーフコルマ、ラムキーマ、カシミール、ケララチキンにチャナマサラ」
GM(トウカ):「私がもってるカレーアイテム。全部試してみたけど、全部まずくて、おんなじ味なんだよおおおおおっ」
さて。設定を知るPLたちは、この時点で既に「ああ……(頭抱え)」という反応です。ただ、PCたちにとってはこれが初耳なわけで。縫も知らない様子で応答します。
縫:「えーと、あたし正直区別はつかないけど……要するに、味ないの? 食料アイテムに?」
GM(トウカ):「うん。何食べてもぬれ煎餅みたいな味なの」
縫:「……死活問題ね」
そう、まさに死活問題。〈大災害〉後の世界において、あらゆる食料アイテムには味というものが存在しないのです。原作キャラをして「塩気の無い湿気った煎餅」「食用ダンボール」と言わしめた魔の所業。当然カレーも全部げんなりするような無味なのですから、カレーアイドルを自称するトウカさんにとっては本物の生き地獄でございます。
あ、そういえば皆さん。前回のオープニング終了直前、ケンタ(馬)が美味しそうに舐めていたはちみつを覚えておいででしょうか。これが意外とキーポイントです。詳細はpart.4でのシーンにて。
縫:「分かった。ちょっと試してみる。――耐えて」
GM(トウカ):「ギルマスが戻ってきたら……また美味しいカレー食べられるようになるかなぁ」
縫:「あたしに断言させないでよね……何とかなるわ。気休めだけど」
GM(トウカ):「うん。わかった。気休めでもそう言ってくれるギルマス大好き。じゃあ、頑張るね。ギルマスも、またアキバで!」
GM:そう言って、念話は切れました
華音:「あら、終わりましたの?」
縫:えーっとまずは……バッグから半端な食料アイテムを取り出してかじろう
華音:「?」
縫:「……あー……これ、ダメだ」
華音:「いきなりどうしたんですの?」
縫:「何でもいいわ。食料アイテム、余ってたら一回食べてみなさい」
律香:「? はーい」ちょうど入っていた天むすを取り出して食べます
華音:サンドイッチかじって「ゔ……びっみょー、ですわね…」
シュエット:「お団子が、お団子の食感してない……」花見と言えばと買ってきていたやつ
律香:「?!?!?!?」味を期待していたので目を瞬く
華音:「吐くほど不味いかと言われれば否ですわ。けれど食べたいかと言われるとそれも否ですの」
シュエット:「……ドリンク系も、ただの水の味だー」
縫:「さっきの念話、まず一つ目がこれ。トウカ、カレーが全部これに化けて死にかけてる」
華音:「あー、彼女それは死にますわね」
律香:「……あああ悲惨ですねトウカさん……」
(重苦しい沈黙が数秒)
縫:「(話題を変えるように)で、二つ目だけど。生き返れるわ。あたしたち」
GM(ポポ):「ふえっ?」
律香:「生き返る……現実離れも甚だしいですね……」
縫:「まだ大神殿が機能してるのを、西風が身体張って試したって。……何考えてんだか」
シュエット:「まあ、おかげで今の僕達は死なないってわかったから、いいんじゃない? 感謝、感謝ー」
華音:「(此方としてはありがたいことですわね……)」
縫:「ただ、あたしたちはさっきのレイドゾーンを抜けてきてるわけだから……当然、復活位置は」
律香:「あ、あの桜の樹の」
GM(ポポ):「はわわわ、振出しに戻っちゃいますね」
縫:「そういうこと。結局、死なないに越したことないみたい」
シュエット:「それに、タダで生き返らせてくれるのかな? よく言うでしょ、等価交換ってさ」
華音:「聞いた感じ、ハガ◯ンみたいな肉体欠損というわけではなさそうですわ」
シュエット:「多分、ゲームみたいに経験値ペナルティはあると思うんだ。でも、それだけかなーって。軽すぎるでしょ、経験値だけだなんて」
律香:「なるほど……」(さすがの観察力だなぁとシュエットと華音を交互に見つめる)
さて、どうなのでしょうね。「死」のペナルティ。このあたり、詳しい展開は原作をどうぞ。
シュエット:「まー、それも死んでみないと分かんないけど、死ぬわけにはいかないし。何より、僕死んだら怒られちゃう」肩をすくめて
縫:「ええ、大っぴらに何回も死んでられないわ。気は抜かないように行くわよ」
GM:では、そうやって皆さんが気をひきしめなおしたところで、いよいよダンジョン突入といきましょうか。
【ミッション〈パルムの深き場所〉】
さて、ここで突入いたしますのはミドルミッションです。LHTRPGでは「ミッションアーキ」といいまして、いくつかのパターンのミニゲームによってミドルの冒険を表します。今回はその中で「チャートウォーク」という、すごろくに似たゲームを行いました。
GMによって召喚される横スクロール型のマップ。エネミーの配置されたマスや休憩地点なんかがあるようですが、特徴は途中で道が三方向に分かれていること。上層、中層、下層のうち、どのルートで進むかの選択が重要になりそうです。
GM:勝利条件は、5ラウンド目の終了時までに、右端のゴールのコマに到達すること。到達できないと、ミッション失敗となりペナルティがありますので注意してください。
続けて登場した《偵察》《迷宮を進む》《エネミー排除》といったシナリオ動作を眺めつつ、役割分担を相談してゆきます。各々のキャラシートを眺め、得意そうな判定を出し合う面々。
シュエット:偵察が一番輝けますねー。知覚値高いのと、サブ職の〈占い師〉補正が入るのとで
華音:シュエットが偵察するなら進むのに専念しますわ
律香:命中値が一番高いのでエネミー排除が主になるかと。次点は迷宮を進むになります
縫:数値的には偵察なんですが、EXパワー込みの耐久値で進むこともできますね
とまあ、このあたりは現場のデータを見てみないと分かりづらいと思います。ただ、大まかには
① まず《偵察》でダイスを振り、結果に応じて②の成功率を上げる
② 次に《迷宮を進む》でダイスを振り、成功したら1マス前進
③ 敵のいるマスにぶつかったら、《エネミー排除》でダイスを振って掃討
という感じになりそう。数値が高いとボーナスが付き、一度に2マス進めたりもします。なるべく失敗は避けたいところですね。力を合わせてゴールをめざせ。
こうした諸々の都合を考え合わせ、我々の作戦は以下のようになりました。
シュエット:縫ちゃん偵察→華音ちゃん進む→シュエット偵察→律香ちゃん進む、がいい感じ?
縫:ぽいですね
華音:ですわね。敵がいるマスならわたくしか律香が殴る感じで
GM:さて、それではミッション開始といきましょう。
◆ ラウンド1
とうとうミッションが始まりました。参加者全員の手番が一周するまでを「1ラウンド」と数えます。行動順的には律香さんが最初ですけれど、彼女は《待機》で後続へ。まずは手筈通りに縫の偵察から!
縫:知覚値で偵察振ります(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
GM:お見事、次の《迷宮に進む》に+1D6です。通常は+2ですが、ボーナス達成なのでダイスが増えます
シュエット:ないすー
GM:ギルマスは背中で語る。ひょいひょいっと、縫は先頭をすすみ、ハンドサインで安全を伝える。
律香:なにそれ格好いい……!
縫:「(無言で安全を示唆)」
シュエット:「(同意モーション)」
GM:では、華音さん
華音:知識値で進みますわ(コロコロ) → 成功・ボーナス付き
縫:おみごと
GM:お見事、2マス進めます
華音:「確か正規ルートは……こっちですわね」
GM:華音の確かなルート取りにより、一行は安全に迷宮を進んだ。
なかなか幸先のいいスタート。偵察でダイスが増えていたこともあり、初手から2マス前進という好調な滑り出しです。
GM:では、一つ目の分かれ道まで来ました。シュエットの手番ですね
シュエット:ほい、サブ職補正いただいて、知覚値で偵察いきますー(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
シュエット:あぶね(ボーナスラインぎりぎり
華音:占い師でよかったですわね
GM:リスクを演出する男、シュエット
シュエット:「うーんとねー、きっとこっちが楽しいと思うよー」
GM:という道化師な言葉により、次の《迷宮に進む》は+1D6となります。では、律香さん。
律香:はいー。迷宮を進みます(コロコロ)→ 成功
華音:せーふ
律香:うあああよかったー
GM:では、1マス移動です。シュエットの言葉に翻弄されながら、律香は進む。
シュエット:サポート()
若干ダイス目が低く、ボーナスには届かなかったものの1マス移動。ここまでは打ち合わせ通り堅実に進んでおりますね。
と、四人全員の手番が終わったことにより、これにてラウンド1は終了となります。ミッションでは同様のダイスロールを繰り返し、ゴールへの到達や目的の達成をめざしてゆくわけです。
◆ ラウンド2
1ラウンド目で各自の役割が固まったこともあり、ここからは皆さん軽快にダイスを振ってゆきます。先陣を切るのは同じく縫と華音さん。続くシュエットさんと律香さんも出目に恵まれ、一行は順調にコマを進めてまいります。
シュエット:知覚値で偵察をー(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
GM:というわけで、次の《迷宮を進む》+1D6。律香さんの手番です
律香:はい、迷宮を進みます(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
縫:ないすぅ
シュエット:すばらしー
律香:シュエットさんのサポートのおかげ―!
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「こっちの道は真っ直ぐ続いてるけど、モンスターがちょっと多いかな。こっちは少し上り下りが必要だけど、その分モンスターは少ない。どうする?」
先行偵察から戻ったシュエットの言を受け、一行は足を止めた。眼前には二つ目の分かれ道。このまま直進する平坦な道と、上層へ向かう坂道だ。確かに平坦なルートの方からは、湿った空気に乗って微かな獣臭が漂ってくる。
「のぼり道のほうがいいと思うんですけど、ギルマスどうですか?」
「交戦は避けたいわね。それに比べたら、多少の上り下りくらい」
「狭いとこで《ネビュラ》パナすのはかなり危険ですの」
相談の末、彼らは上層へ向かうルートを選択した。ゲームでの特技が使えることは確認済みだが、やはり自ら戦闘に飛び込むには不安が多い。
何しろここはダンジョン。画面越しではなく、生身で大量のモンスターと戦うことになるのだ。慎重になるのも当然だった。
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GM:では、上に2マスすすめます
GM(ポポ):「はわーーー、皆さん手慣れてらっしゃいますね。現実世界でも何かそういうお仕事を?」←どういう仕事だ
シュエット:「僕はリアルでも占い師だよー。結構売れっ子なんだから」どやぁ
GM(ポポ):「占い師! それはあの……私の事も占ってもらったり……できます?」
シュエット:「いいよー、安全な場所まで行ったら占ってあげるー」
華音:「ふっ……今はもう足を洗いましたのよ」
シュエット:「華音の兄貴、お勤めご苦労様です!」(神速で便乗するPL)
GM(ポポ):「ひえっ、まさかそっちけい!?」
律香:「そうだったんですかっ華音さんっ!?」
GM:華音はなんの仕事してたの!?(笑)
縫:属性には容量というものがございまして()
シュエット:つめつめ
華音:今テキトーに生やしたんですわ
律香:生 え た
真面目なロールプレイから一瞬で爆笑&雑談タイムに切り替わる我々。この御方いったい何なんだ。愛馬を引き連れて突撃する超火力魔術師にして参謀、なおかつそっち系の世界に身を置くお嬢さま(男)……w
◆ ラウンド3
GM:とかわやわやしながら、3ラウンド目です。では、縫さん。
縫:偵察行きます(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
華音:いい感じですわね
GM:では、華音さん
華音:進みますわー(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
律香:うおおさすが
華音:「やっぱ上層は道がシンプルで楽ですわね」
GM:縫と華音による連携。今まではゲーム内だけでの付き合いだった。しかし、だからといって、それが決して薄い絆でないことは、二人が一番よく知っている。
快調にボーナスが重なっておりますねー。上層ルートは判定の目標数値が低いためボーナスが出やすく、敵も少ないことから進みやすいのです。ただ、ゴールまでのマスが若干多くて、どんどん進んでいかなければ時間切れになってしまうかも。少し緊張感を漂わせるPL達。
あと、手番の関係で、いつの間にか偵察&前進のタッグが誕生しております。こうした偶然からキャラの関係性が深まったりしますから、やっぱりセッション中は何が起こるか分かりません。ついでに言うなら後続のシュエット&律香ペアは友人設定。システム的にもぴったりです。
律香:前進します(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
GM:お見事。2マス進める出目ですが、〈ラットマンミニオン〉がいるのでいったん強制ストップ。全員疲労+5となります。
さて、ここで初のエネミーマスにぶつかりました。強制ストップに加えて全員のPCが「疲労」を受けてしまいます。さらに、次の手番で《エネミー排除》に成功しなければ、先に進むことができないという厄介な関門です。この「疲労」についてはミッション後に解説しましょうか。
◆ ラウンド4
GM:残り2ラウンド。そろそろ手番が少なくなってまいりました
律香:ここは待機せず、命中値でネズミと戦います
GM:目標値は9ですね。どうぞ!
律香:「いけぇぇ!」(コロコロ)→ 9
縫:セーフ
律香:だぁぁギリギリ
無事《エネミー排除》に成功し、一行はさらなる前進を試みます。次のラウンドでゴールできなければペナルティですからね。急げや急げ〈パッチワーク〉。
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「予想以上に歌が反響するのちょっとたのしいっ!」
振り回される長槍が、薄暗いダンジョンに銀光を閃かせた。続けて踊る七色の音符は衝撃波となり、足元の鼠達を追い払う。そんな彼女の様子に気をよくしたのか、縫の動きに精彩が戻る。いつものように「まったく、気楽なもんね」などと言いつつも、その表情は明るかった。
変わり果てた異世界であっても、ここは幾度も旅したダンジョンのひとつ。そして自分たちは〈冒険者〉なのだ。楽しまなければ。
「あ、こっちなんかあるー」
「わかりにくいですけれど、ここに隠し通路があるんですの」
続くシュエットと先導する華音も、いつもの調子を取り戻す。なんだかんだでお祭り好きなのだ。このギルドは。
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華音:進みますわー(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
シュエット:つよつよのつよ
縫:つっよい
律香:つよーい!
華音:「わかりにくいですけれど、ここに隠し通路があるんですの」
GM(ポポ):「はわ、そんなことまで覚えてらっしゃるんですね。すごい知識なのですぅ」
華音:「ふふふ、伊達に廃じゲフンゲフン長いことやってませんわ」
GM:では、2マス進めます
GM(ポポ):「ふぅ、だいぶんすすみました。今、どれくらいでしょう?」
華音:「そろそろ中層に合流するルートに出ますわ。そうしたらもうすぐですの」
シュエット:「わーい滑り台!」倒れてる柱の上を滑り降りていく
自由か。自由だった。すいません。
◆ ラウンド5
さあ、運命の最終ラウンドです。入念な相談のもと、ここで切り札を投入するPC一同。
律香:EXパワーを使用して先に進みます
GM:はい、では《ビギナーズラック》発動。判定値に+2でどうぞ
各自プリプレイにて手に入れた「EXパワー」を使用し、一気に進軍を試みます。律香さんの《ビギナーズラック》は回数制限こそ厳しいですが、判定の種類を問わず数値を底上げできる汎用性の高いEXパワーです。これが加わった結果……
律香:(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
シュエット:安心安全
GM:お見事!
縫:おみごと
律香:よかったぁぁ……
華音:上振れましたわね
GM:では、大ネズミの部屋で強制ストップ。全員疲労+5を受けてください
このタイミングで縫は《待機》を選択。命中値の高い華音さんに手番を譲り、エネミー退治をお任せする作戦です。
華音:「しっ、足音がしますわ」
律香:「(思わず口を押える)」
GM(大ネズミA):「きいいっ」
縫:「エネミー……ま、来るわよね」
華音:「一発でカタをつけてご覧に入れますわ」
縫:「ええ、ぶちかましなさい参謀」
華音:「……これ本当に参謀の役目ですの?特攻隊長か何かじゃありませんこと?」
律香:「参謀の役目ですよきっと!」大きくうなずく
シュエット:「道を開いてくれたら、一気に駆け抜けよー!」
GM:では、華音さんの手番でちゅ。だけど、ボクは手強いでちゅうよ?
華音:しゃらくさいですわ。攻撃ですの(コロコロ)→ クリティカル!
GM:こっぱみじん
縫:ないすぅ!
律香:すごっ!
ここでまさかのクリティカル!
判定の際、振ったダイスに6の目が2個以上含まれていれば「クリティカル」が発生します。こうなると目標の数値に関係なく、問答無用で成功扱いに。もちろん狙われたネズミは消し飛びます。
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足音に警戒を強める一行は、曲がり角の先で蠢く巨大な影を捉えた。機先を制し、大鼠の懐に飛び込む華音。
紙装甲の魔術師が最前線に突っ込むのだ。ともすれば無謀にも映る行動だが、ただの無茶ではないことはメンバー全員が知っている。
「《クローズバースト》。そんでもって《ライトニングネビュラ》!」
特技《クローズバースト》の効果により、爆発的な魔力風が吹き荒れた。射程を大幅に減じる代わりに、攻撃魔法の威力を極限まで高める華音の十八番。鳩尾に突き入れた拳からは溢れんばかりの雷が迸り、苦悶の声をこぼした大鼠は虹色の光となって四散する。
「おーっほっほっほ! 消し炭におなりなさいな!」
引きつり気味に笑う縫の傍ら、はしゃぐシュエットの「よっしゃー! すっすめー!」という声が響いていた。
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まさかの肉弾攻撃に走った参謀に慄きつつ、お次はシュエットさんの手番。
シュエット:知覚値でEXパワー《ベテランの直感》使って偵察したろうかと。知覚判定に+1D6されます
GM:わー、総攻撃だ
シュエット:「ぬーちゃんこっちー!」ずびし(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
縫:ありがたいっ
律香:直感さえてますねー!
華音:「シュエット、貴方今棒倒して道決めませんでした?」
シュエット:「これも立派な占いなのだ。ほら、こっちしか指さないよ」どんなに倒しても同じ方向
GM:では、このラウンドの最後の手番は、ギルドマスター縫さんです!
縫:EXパワー《ギルマスの背中》使って耐久値で進みます。耐久判定に+1D6されます
GM:だめおしですね。では、偵察分と合わせて+2D6で判定を!
縫:いきます(コロコロ)→ 成功・ボーナス付き
華音:おみごと
GM:なにこの最終ラウンドの完璧な流れ
律香:ぴったしだー!
ゴールまでの残り2マスをぴったり消化し、最後にギルマスの手番でゴールするベストムーブ。ここに至るまで1マス分でも欠けてたらゴールできなかったわけですから、まさしく全員の力が合わさった結果と言えるでしょう。ミッションは大成功でございます。
GM:長い長い道のりを抜けて、君たちは〈パルムの深き場所〉を踏破した。華音は思った。出口はあと少しだ。律香は足を速めた。自分にできる力の範囲で。シュエットは鼻歌まじり。だって僕がついているんだもの。そして、縫は進む。みなの期待を背に。
GM:というわけで、ミッションクリアー!! おめでとうございます!!
シュエット:いえーい
縫:ばんざい!
律香:わーいわーい!
華音:ぃやったですわー!
◆ ミッション終了後
GM:が!
華音:が?
GM:全員「体力消耗表」を1回お願いします
縫:にゃっ
律香:はわわ
突如登場した新ワード「体力消耗表」。これについて解説するには、まず保留にしていた例の単語を引っ張り出さねばなりますまい。
ミッション中に出てきた「疲労」は覚えておいででしょうか? これ、どういう状態なのかというと「HPの最大値が減っている」状態なんです。ミッション中に通過したエネミーマスの効果により、現時点で全員が「疲労:10」すなわちHP最大値が10減少しております。
参考までに、最も初期値の低い華音さんの最大HPは35。なんと既に疲労だけで三割近く削られていることになります。怖っ。
そして「消耗表」とは、こうした消耗の数値をランダムに決定するシステムのことです。激しいミッションなんかの後で、冒険による消耗を簡単に再現するための仕組みですね。物品や金銭が失われるタイプの消耗表もありますが、今回は最も基本的な「体力消耗表」。各々がダイスを振り、出目に応じて上記の「疲労」を追加で受けることになります。
経験者の皆さまは初心者に「消耗対策は大事」とよく助言してくださいますが、その理由がまさにこれ。大きく削れたHPで戦闘に臨むのはあまりにも危険ですからね。対策としては食料を買い込んだり、あとは「消耗を軽減する」といった特技を取るのも有効です。というわけで……
縫:《ソウルインフュージョン》使います。全員二回振って軽い方どうぞ
シュエット:ありがたーい
華音:ありがてぇですわ
(一同コロコロ)
華音:(結果を見て)これインフュージョンなかったら割とやばかったですわね
シュエット:結構皆がたがただった……
縫:6の多さよ
華音:4人中3人が最大値叩き出しやがった
GM:持っててよかったソウルインフュージョン
律香:ずいぶんたすかりました……
事前相談の際に打ち合わせて取っていた特技《ソウルインフュージョン》の効果により、全員の疲労を軽めに抑えることができました。パーティメンバーのうち、こうした特技は誰かが取得しているとよいですね。キャラメイクの際にはご一考くださいまし。
そんなわけで、今回はここまで。
次回はシーンを移しまして、クライマックス戦闘前からまいりましょう!
To be continued……
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