つらかった恋。memory22
彼女に家に電話をした。
受話器をとったのは男性だった。
彼女が出ると思っていたので、僕は焦ったし、戸惑った。
状況がまったく読めなかった。
少し間が空き、僕は「〇〇さんいますか?」とその男性に伝えた。
男性は無言だった。けど、受話器の向こうで、「〇〇、電話!」
と、Hさんに声をかけていたのだけど、名前を呼び捨てだった。
僕はその時思った、お父さんだ!
てっきり、Hさんは一人暮らしと思っていたから。
※お察しの通り、実際にはお父さんではありませんでした、それはまた後程。
Hさんが電話に出た、何事もないような普段と同じように僕と話をしてくれたけど、Hさんが、この日のこの時間に電話が欲しいとの事で、電話をかけたのに、早く電話を切りたさそうに思えた。
ほんの数分で電話は終わった。
僕は家に帰り、いろいろ悩んだ。高校生の純粋な悩みです。
電話にでた男性は、あの時とっさにお父さんと思ったけれど、ゆっくり考えると絶対にそうではないと思い始めた。
彼氏ができたにせよ、Hさんが指定した時間に僕に電話をかけさせる理由があったはず。
また明日、アルバイトのとき話してみようと思ったけれど、話の切り口をどう話そうか、なにも気にしていない素振りで話しかけようか、そんなことを考えて眠れなかった。
それからの数日、Hさんはアルバイトを休んだ。
なにかあったのかな?やっぱりあの男性が気になる。
気にならない方がおかしい。
電話はかけたくない。
さらに数日後、僕がアルバイトに入ると、いつものアイスクリーム屋さんに
Hさんがいた。
顔をみせると、こちらに手を振ってくれた。
僕は単純に喜んだ。
ここ数日悩んでいたのはなんだったのだろうと…。
アルバイトの途中もHさんが僕のところに来てくれて、
「ひさしぶり!」
この時は、携帯電話などないから、家に電話をかけれないなら待つしかなかった。待ったかいはあったのか。
Hさんがさらに「今日の夜、家に遊びおいでよ!」
と、
初めて家に誘われた。
Hさんの家にも行ったことが無いので、楽しみだった!
すごく楽しみだった。
アルバイトが終わり、Hさんと待ち合わせ。
原付を押しながら、Hさんと歩く。
何気ない会話が続き。
Hさんの家に到着。
2階建てのアパートの1階にHさんの部屋。
ドアノブをクルッと回し、玄関を開ける。
あれっ?「カギは?」と一瞬頭をよぎった。
Hさんが「ただいまー」と部屋の方の声をかけると、
部屋の奥から、小さい子供たちが、子供たちが
「ママおかえりー!」
と走ってきた!
うそでしょ!
さらに奥から、Hさんのお母さん登場。
その子供たちが「この人が〇〇君?」
僕の事はすでに紹介済み。
お母さんも「はやくはいりなさい」
Hさんが「〇〇君は子供すき?」
僕「大好きです」
Hさん「よかったー!!!!!」
高校生の僕には今何が起きているのか、思考回路が完全にシャットダウン。
この後の流れは、
そのご家族と食事をして、すぐに帰りました。
Hさんが、「また遊びに来てね」
僕は、何も聞かなかった。
聞ける雰囲気ではないし、状況が読めない。
複雑な思いが、僕の胸を張り裂こうとしていた。
今日の記憶はここまでです。
お読みいただきありがとうございました。