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アレック・ソス | 画面に映るとても私的なもの

東京都写真美術館「アレック・ソス 部屋についての部屋」見てきました。

作品解説が無かったので、言語化人間の私は楽しめるか不安だったのだけど、心配無用だった。すっごく良かった。

TOKYOの夜空を漂流するソス

展示は5つの部屋に別れている。
アレック・ソスがアメリカやパリ、東京で撮りためた作品を「部屋」を切り口としてセレクトしてある。ここがおもしろい。

選ばれた出品作品のほぼすべてが屋内で撮影されているように、「部屋」をテーマにこれまでのソスの作品を編み直す、当館独自の試みとなります。

公式サイトより
1番めの作品。不服そうな表情にぎゅんと心掴まれた。
「書けぬ…」という呻きが聞こえそうな音楽家?の男性
成功者の風情
日本茶を愛する大変センスのいいダンディ

写真はあまり見慣れていなかったけれど、おもしろいと思ったのは「本物の現実」と「意図的な視点」が混在していること。

ある面では事実なのだけど、普通に生きていてこうやって場面を切り取ることはまず無い。

愛だな、これは。
モノクロこそ引き立つ人々の温度
さあ、これからディナーが始まるぞ。ワクワク。

この瞬間、この場面に、人の持ち物や身に付けるものがバチっと画面に固定される。モノのひとつひとつから、その人らしさが滲み出てくる。

ときに人の表情や動きより、身の回りのモノがその人の本質をより雄弁に語ることがあるのだ。

鉛筆から、ハサミから、グラスから、人となりが溢れる。
歴史の渦
健やかなる窓辺

帰り道に見つけたポスター。恵比寿ガーデンプレイスと舞踏家アンナ・ハルプリンの世界観がとても良く似合っていた。

MVがすばらしかった。この人のことは知らないけれど、座っている椅子に、空間に、ラグに、衣装に人生が滲み出ている。

ときにモノは、ヒト以上にそのヒトを語る。

部屋というインテリア的要素に惹かれて行ってみた展示だったけれど、もっとより親密で、美しいだけじゃない。部屋というのは、その場所に生きる人の生き様が香ってくるような空間のことだった。

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