すごいよ、長谷川さん
修善寺の新井旅館に泊まってきました。
有形文化財であり、横山大観や安田靫彦、芥川龍之介なども滞在したお宿。
至る所に池があり、鯉がウヨウヨ。
旅館内の案内もあり、天平風呂という風呂がとにかくすごかった。
樹齢2000年クラスの木材を4等分にして柱にしているとあったけど、そもそも1本が太いので、どれだけ太い木材を使ったんだ・・・と感動だらけ。
旅館のスタッフさんの対応もすべて素晴らしく、快適に過ごす。
その中で、長谷川さんというベテラン中居さんがついてくれた。年齢は60代半ばか。ひょっとしたら70代か。
旦那さんが亡くなってから中居として働き始め20年らしい。
「もう重いものも持てなくなったのよ〜お食事下げるのも大変なの!運べなくなったから辞めると言っても、番頭さんがいいよって運んでくれたりするのよ〜」
女将さんからも辞めるのは止められているらしい。
そりゃそうだろ。どんな客が来ても話が合わせられ、ニコニコお話をしながら手早くお茶を淹れ、ささっと必要事項の説明をする。
食事の説明もユーモアに飛んでいて、話が弾む。
食事を出すタイミングも、本当に絶妙。遅すぎず早すぎず、そろそろ食べ終わるぞっという頃に持ってくる。
「18時20分くらいにご飯の準備に来るけど、部屋にいなくてもいいですよ〜」と気遣わなくてもいいように、さりげない一言。
新井旅館で働くには、最初に部屋の位置を覚えるらしい。
確かにちょっとした迷路みたいな旅館だし。
お客様に部屋を聞かれてすぐに答えられるようにしないとだしね。
仕事に慣れてくるとこんな失敗もあるのよ、と失敗談も聞いたりしながら、「良い旅館って、建物やご飯だけでなく、働く人も込みだもんなぁ」と実感。
ベテランさんは、こちらに気を遣わせるようなことはしない。
最高の心配りを見てきた。
お皿を出すのも、引くのも、どこも自然。
「わ〜こぼさないかな〜」みたいな不安がない。
お茶を淹れている間、不自然な沈黙も緊張もない。
ニコニコお話ししながらお茶を淹れてくれる。
とても快適な1泊2日を過ごしてきた。
次はもうちょっとゆっくりしたい。
ご飯美味しかったな、お風呂ステキだったな、と色んな思い出はあるものの、「長谷川さん、楽しかったなー」と人が思い出に残る旅館っていいよね。
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