エレキギター弦放浪の記録(ギター弦のレビュー)
エレキギターの弦は何を使っていますか?ギタリスト同士のではよくある会話ですね。僕は最近までこの質問の回答に、なかなかはっきりと答えられませんでした。それは、僕自身、ギターに合う弦を探している途中で、常に違う弦を張っている状態で、少し気に入っても2~3回したら、もっと良い弦は無いかと思い立って、別の弦を張るという状況でした。
そんな感じで、新しい弦を求めては放浪の旅をすること数年間、最近ようやく、納得いく弦が見つかったので、ここに旅の記録(弦のレビュー)を残しておきます。
僕の音楽性と所有ギターに合わせた極めて主観的な内容になります。目指す音楽性・所有ギター・目的などなどの違いによって弦の良し悪し/向き不向きは変わるので、僕の意見はあくまでも参考程度にしていただけると良いかと思います。
1.放浪の旅の経緯
昔、僕にはかなり気に入った弦がありました。「Scalar Design」という珍しい弦で大阪でも取り扱っていた楽器屋さんは1~2店舗くらいしかなかったと思います。ところが、だんだん入荷頻度が落ちていき、しまいには入荷されなくなってしまいました。店員さんに確認すると、どうも日本の代理店に入荷されていない状況らしい。そこで、個人輸入するかどうか悩んでいたところ、海外でも在庫切れになってしました。どうやら、生産自体をやめてしまったようです。そこで、自分のギターや音楽性に合った弦を探すのですが、「Scalar Design」を超えることはおろか、それに近い弦すらなかなか見つからない。そのため、新しい弦を張ってはダメになるまで弾き続け、それで気に入らなければ、別の弦を張るということを数年間繰り返す羽目になりました。
2.所有ギターと目指す音楽性
①ソリッド(ストラトキャスタータイプ)
3シングルタイプのベタなストラトです。こいつでは、ブルースやロックなどを中心にした音作りを目指しています。
弦のサイズ:.009-.042 もしくは .010-.046
②セミアコ(ES-335TDタイプ)
セミアコなんでメインではジャズやR&Bなどを想定していますが、このギターのコンセプトが「最悪、この一本があればどんなジャンルでも対応できる」ということにしているので、あまり尖った音作りはしたくない。
弦のサイズ:.010-.046
③フルアコ(NewYokerタイプ)
ビックバンドジャズやビバップのようなジャズを演奏するのに買いましたので、最初はD'Addarioのフラットワウンド弦を張っていましたが、もう少し音楽性の幅を利かせたいと考えています。
弦のサイズ:.012-.052
3.各種エレキギター弦のレビュー
僕が試した弦をどのギターに張って、どう感じたのかを列挙していきます。弦のメンテナンスは演奏/練習がひと段落する度にクロスで乾拭きするだけで、クリーナー的なものは一切使用していません。そして、もう手に入りそうにない弦、もしくは「ダメだ使えねぇ」だけしか覚えていないような弦は書きませんので、ご了承ください。また、順番には特に意味はありません。上から読んでいった方がわかりやすいかなぁ、っていう順番で書いてはいますが、あんまり深くは考えていないので、気にしないでください。
※数年間に及ぶレビューのため、弦がマイナーチェンジされている可能性はあります。
①D'Addario XL NICKEL WOUND
やはり最初は王道の D'Addario XL ですね。僕も最初に張った弦がパッケージ変更前のコレだった記憶しています。音はこの弦が基準になっています。張りたての弦はいい感じに鳴ると思いますが、1日に数時間練習する人だとすぐに弦がダメになってしまいます。僕の場合、学生時代1日5時間以上は毎日弾いていたので、3日目くらいにはもうだめになる感じでした。パッケージが変わって、少しだけ耐久性が上がったような気もしますが、僕の加齢による変化で手汗が少なくなっただけかもしれません。1弦だけオマケでプラスされているセットもあるので、1弦だけやたら切ってしまう人にも良いかもしれません。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:C
テンション感:C
耐久性:D
コスパ:D
音楽性との相性:B
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②ERNIE BALL 2221
続いてこれも定番の弦 ERNIE BALL です。音は同じ太さの弦でも D'Addario よりも若干細い音に聴こえます。人によってはそれが良いという人もいますが、僕は太い音が好みなので使えませんでした。耐久性は D'Addario とほぼ同じくらいで、バリバリ練習する人だと数日で音の劣化を感じると思います。ただ、ERNIE BALL はセット販売されていることが多く、この音が良いって人にとってはセットで大量買いをすればコスパは良いかもしれません。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:C
テンション感:C
耐久性:D
コスパ:B
音楽性との相性:D
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③Elixir OPTIWEB
ここ数年で、一気に定番化した Elixir の OPTIWEB です。コーティング弦で、耐久性に優れた弦という売り文句で、約20年ほど前に売り出された Elixir ですが、当時の弦は手触りが悪くテンションがダメダメでしたが、この OPTIWEB は耐久性はそのままに、手触りやテンション感をかなり改善された感じです。耐久性は当初から売り文句にあるようにかなり良いです。なので、弦交換をかなり苦痛に感じている方はオススメです。セット販売もされていますが、よっぽど気に入ってからにしないと使いきれないので注意してください。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:C
テンション感:C
耐久性:A
コスパ:A
音楽性との相性:C
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④D'Addario XT
Elixir に対抗して作られたのかと思わせる D'Addario XT です。こちらもコーティング弦となっており弦の耐久性が謳われている商品です。しかし、耐久面においては Elixir に劣り、音は XL とかなり異なって丸みを帯びたような音色になっています。さらに、初期の Elixir ほどではないにしても少しヌルヌルしたテンション感も苦手です。フルアコに張ることは検討しても良いが、ソリッド/セミアコとは目指すものが大きく違うと感じる弦でした。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:D
テンション感:D
耐久性:B
コスパ:C
音楽性との相性:E
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⑤Dean Markley Blue Steel
Dean Markley の Blue Steel は幅広いジャンルにも対応できる良い弦だと思います。特徴は純粋に鳴りが良いのもありますが、いろんな弦の太さに対応しているのも特徴の一つです。僕は Custom Light[.009-.046] という通常のライトゲージの低音弦が太いセットがソリッドギターとの相性が良いと思いました。(最近は ELIXIR なども Custom Light が出てきましたね。)耐久性も ELIXIR ほどではないにしろ、ちゃんと乾拭きをしっかりすれば、そこそこ持ちます。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:B
テンション感:B
耐久性:C
コスパ:C
音楽性との相性:B
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⑥DR Strings PURE BLUES
DR Strings はいろいろ種類の弦を出していますが、PURE BLUES は音が太く、張りのあるテンション感が良い所だと思います。テンションが強いので、人によっては固いと感じるかもしれないので、好き嫌いが分かれるところかもしれませんが、僕は大好きな感じです。この良さを出すために、ソリッドにもあえて .010-.046 を張ってました。耐久性は Blue Steel と同様にちゃんと乾拭きをしっかりすれば、そこそこ持つ感じですね。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:B
テンション感:A
耐久性:C
コスパ:C
音楽性との相性:B
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⑦Richard Cocco
Richard Cocco は艶のある音で、細かいピッキングニュアンスやビブラートの表現がしやすいところが特徴の弦です。ソリッドには合わないけど、セミアコには非常に合っている弦だと感じました。耐久性も ELIXIR には及ばないがかなり長持ちします。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:A
テンション感:A
耐久性:B
コスパ:B
音楽性との相性:A
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⑧D'Addario CHROMES ECG25
フルアコと言えば、フラットワウンドでしょうっということで、安直に買った D'Addario のフラットワウンド弦の CHROMES ECG25 です。音はまさに「ザ・ジャズ」というサウンドになり、ビックバンドやジャズスタンダードをやるうえでは何の問題もなく、数年間使い続けました。しかし、他ジャンルをジャズアレンジして、演奏する場合にもう少しアコースティックな明るさが合えばと思い、別の弦を試すようになりました。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:B
テンション感:B
耐久性:B
コスパ:B
音楽性との相性:B
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⑨Elixir NANOWEB
フルアコにあえてのラウンド弦を張るけど、あまりテンションが高すぎるとフルアコの良さがなくなると思い、Elixir の NANOWEB を張りました。想像以上にアコースティックなサウンドになりました。しかし、フラットワウンド弦からの差はやはり激しく、慣れるまで少し時間がかかりました。そして、慣れた結果、悪くはないが求めているジャズの感じが出せないという感想でした。なかなかバランスが難しい。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:C
テンション感:C
耐久性:A
コスパ:A
音楽性との相性:D
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⑩THOMASTIK-INFELD JS113
THOMASTIK-INFELD の JS113 はフラットワウンド弦ですが、すこしラウンド弦のようなざらつきがある弦です。また、弦のサイズが一般的なサイズと異なり1弦が.012の場合、6弦が.050となり通常より、細くなってしまいます。そこで、1弦が.013 のセットを張りました。結果的にはコレが非常に使いやすく、弦のサイズを変えた違和感はほとんどありませんでした。音もフラットワウンド弦の丸い良い音を残しつつも、ブライトなサウンド感があります。正にフルアコに求めていた音だと思いました。
【評価:A~E】ーーーーーーーーーーーーー
弦の音:A
テンション感:B
耐久性:B
コスパ:B
音楽性との相性:A
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4.旅の終着点(?)
前述のレビューの結果、現在は下記のように弦が決まりました。
①ソリッド(ストラトキャスタータイプ)
Elixir OPTIWEB [.009-.046] or Dean Markley Blue Steel [.009-.046]
ソリッドギターは現在、人前で引く機会が少ないので、基本的にはコスパ重視で Elixir OPTIWEB を張っておく、もし使う場面が来たら Dean Markley Blue Steel に張り替えて使うことを想定しました。
②セミアコ(ES-335TDタイプ)
Richard Cocco [.010-.046]
メインギターとして一番使うギターなので、一番気に入った弦を張ります。何気にこれがそもそもの Scalar Design の弦のサウンドに近い気がします。いろいろ、探し回ってやっと探し求めていた物を見つけれた気がしました。
③フルアコ(NewYokerタイプ)
THOMASTIK-INFELD JS113 [ .013 .017 .021 .028 .039 .053]
ジャズしか弾けないギターから、ジャズっぽい曲も弾けるギターに成長できた気がします。ただ、ちょっと変わったサイズの弦を使い続けることになるので、一度調整に出すことにします。
5.最後に
レビューはキリが良いので10種類にしましたが、実際はもう少し多くの弦を試していますので、長い期間さまよっていたんだなぁ~と改めて感じました。でも、さまよっただけの価値はある組み合わせを見つけれたので、今は満足しています。ただ、今が本当に終着点なのか、一時的な休憩になるのかは僕にもわかりません。もし、オススメの弦などあれば、お気軽にコメントしていただけるとありがたいです。
そして、レビューではわかりやすくするためにAmazonのリンクをのせていますが、ギターの弦は基本的に実店舗かサウンドハウスで買うことをオススメしています。弦なら2~3セット買えば大体2000円を超えてくるので、サウンドハウスの送料もかかりませんので安心です。
最後に長い記事を読んでいただきましてありがとうございました。ギター弦には一長一短がありますので、読者の方がご自身に合うギター弦に出会うための参考になれば幸いに思います。