強いか弱いかの基準は常に変化し続けている
現代人は、本当にメンタルが弱くなったのだろうか。
カウンセリングや精神安定剤、睡眠導入剤など、これまでは縁のない人が圧倒的に多かったけれど、現代では身近なものになりつつある。
普通の風邪薬と一緒とまではいかないが、抵抗感を感じる人は圧倒的に減ってきている。
そうなると、精神的なことが原因で医者にかかったり、薬を服用したりしていることについて、過剰に心配をされることが減ると同時に、「すぐ薬や病院に頼って弱い」という心ない言葉が出現してくる。
確かに、以前よりも、精神的な問題を抱えて、病院に通う人や薬に頼る人は増えてきている。
ただそれは、現代人が弱くなったという結論を出す理由としては不十分である。
以前は、精神的な病気を抱えていても、今以上に言いづらい時代があった。
大げさだとか、弱いだとか、相談をすれば頭から否定的な言葉をぶつけられることが分かっているから、誰もが自分自身の心の傷や闇を見て見ぬ振りしてきた。
だからこそ表面化しづらく、今よりも病院に行く人も圧倒的に少なかったのだ。
それに、現代において、職場で精神的に病んでいく理由には、厄介なものが増えている。
目に見えるセクハラやパワハラ、誰もが等しく不快に感じる扱いなど、そういったものであれば周りに理解されやすい悩みだが、空気に馴染めないということになると、それは一概に職場ではなく個人の問題とされがちだ。
一人一人は悪い人ではない。
会社自体も、残業を出来るだけおさえ、働きやすい環境を整えようとしてくれる。
それはプラスのことしかないように思える。
でも、実際は違う。
言葉には表しづらい違和感、居づらさ。
それが、今人々を悩ませる要因の一つになりつつある。
一見悪い要素が見当たらない。
だからこそ、理解されづらくてタチが悪い。
メンタルが弱くなったのではない。
世の中が複雑になってきているのだ。
そう思うと、しっくりくる部分が多い。
現実は複雑だ。
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