"転職"を勧めも止めもしない理由
「結局は気持ち次第」
これが、私が3度の転職を経験して感じたこと。
もちろん、転職の背景は人それぞれだから、同じく転職を経験してきた人でも感じ方は違うと思う。
なので、これから書くことは、あくまでも私の個人的な見解だと思っていてほしい。
一番初めの会社を転職することにしたのは、きちんとした休みが欲しかったからだった。
残業も多く、だからこそ給与面では恵まれていたものの、休みが平日であったり、休みの日でも呼び出しがあったりすることが多かった。
貯金は多くても、使う時間と機会がなく、日に日に友達は減っていった。
20代半ばの私にとっては、それが大きな孤立感を生み出す環境に思えた。
必要としてもらえていることを仕事で実感する一方で、どこかで職場以外での居場所を求めていたところがある。
次に入社した会社は、間違いなく休みがとれる環境だった。
それは部署や、一緒に働く人の環境で変わるように思えたが、私は運良く一緒に働く人に恵まれた。
しかし、入ってみないと分からない会社の異様な空気感が、とてつもない居心地の悪さを感じさせた。
しかもそれが、私一人の感覚ではなく、多くの社員が感じている感覚だった。この感覚は、社員にしか分からないものだ。
そこでは、1年足らずで離職する人の割合がとても高く、その明確な要因を誰も掴めない状態だった。
それに耐えられなくなって、私は会社を辞めた。
続いて入社した会社では、タチの悪い風習があった。
良く言えば、積極的にアピールする人にはたくさんのチャンスが与えられる環境。
ただ、チャンスがたくさんあって、それをしっかりと結果につなげたとしても、明確な評価基準がないことで目に見える評価が得づらい。
つまり、どんなに頑張っても、その結果会社に大きく貢献しても、それが給与や立場に大きく影響を与えることも少なく、それぞれがそれぞれのことにしか興味を持っていないので、結果を出しても上層部以外から労をねぎらうような言葉はほとんど聞かれることはなかった。
それは、頑張った人にとって、会社からのただの押し付けを頑張っただけのような感覚に襲われる。
人柄や人当たりの良い人は多かったが、そういう側面が、社員の頑張る目的を奪ってしまっていた部分があり、辞める人も少なくはなかった。
私自身、そういう部分に違和感を感じていた一人だが、辞めるに至った理由は会社に対する不満と言うよりも、ライティングというやりたいことが出来る場を求めて県外に出たかったからだ。
転職を考える理由は、人や状況によってそれぞれだ。
何度も転職を繰り返したからこそ、自分が探していた場所にたどり着く人もいる。
逆に何度も環境を変えたことで、立場や印象が悪くなってしまい、自分のやりたいことや居場所を見失う人もいる。
正直、転職をすればプラスの結果につながるとも言い切れないし、全部が全部マイナスになるとも言い切れない。
実際に動いてみる、実際に新しい環境に身を置いてみる。
そうしないことには、結果は見えてこないのが現実だから。
だからこそ、私は転職したいと言う人に転職を積極的に勧めたり、逆に止めたりすることはしない。
ずるいと思われるかもしれないが、最終的に本人にとって良かったかどうかは実際になってみないと分からないものだ。
生きていれば、多くの”選択”に迫られる。
その選択の一つ一つは、すぐに結果が分かるものではない。
それこそが、私が転職を勧めることも止めることもしない理由。
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