ハサミムシの羽が宇宙開発を進展させる
概要
今回紹介するのは、複雑なハサミムシの羽の折りたたみ方が解明されたという論文です。
そもそもハサミムシって羽が生えているところをあまり見ないですし、最初はそれがどうしたと思いました。しかし、ハサミムシの羽の折りたたみ方を応用すると宇宙空間で使用する折りたたみ式のソーラーパネルなどに使用されるようです。
そうやって考えると、昆虫の構造はまだまだ侮れないですよね。
今回の論文▼
Earwig fan designing: Biomimetic and evolutionary biology applications
Kazuya Saito, Ricardo Pérez-de la Fuente, Kôichi Arimoto, Young ah Seong, Hitoshi Aonuma, Ryuma Niiyama, and Zhong You, PNAS 13 (2020)
何がわかったのか
ハサミムシといえば尾にハサミのある昆虫ですね。実は、このハサミムシの羽がものの畳み方(収納)に大きなアイデアを与えてくれます。
https://www.youtube.com/watch?v=Q4NiF3w101Q
動画を見るとトランスフォーマーに出てきそうな変形ですね。
実はこのハサミムシの羽のしわ(折り紙で言うなら山折りと谷折りの部分)が、新しい折りたたみ方を提案してくれます。
折り紙などで紙を折ると必ず厚い部分ができてしまい、何重にも折ると厚い箇所が重なってしまって、そこだけどんどん分厚くなってしまいます。
紙を40回ぐらい折ると月に届くなんて言われてますよね(実際には折れないですが、折り畳むということは一部を分厚くすることがわかります。)
このハサミムシの羽根の折り方は折り畳んで厚くなる部分が少しずれるようになっており、どこか1か所が分厚くなるようなことがないようです。
しかもこのハサミムシの羽の折りたたみ方は、化石に残っているものと同じだったようです。つまり、折り畳み方は非常に効率的で進化の過程でも変わることなく残っていたということですね。
ここから折り畳みの動画が見れます▼
https://www.youtube.com/watch?v=HWJjVeB8GJo
何の役に立つのか?
今回分かったハサミムシの羽の折りたたみ方は、大きなものを小さく収納することにつながります。
例えば宇宙で使用する巨大なソーラーパネルをそのままロケットに乗せることができません。ここで、ハサミムシから学んだ畳み方を使えば、小さくしてからロケットに乗せることができます。
これまでも日本の折り紙の技術が利用されてきましたが、今回の発見もまた宇宙開発に期待されるそうです。
最後に
たまに見かけるハサミムシから宇宙開発とはかなり規模の大きな話になってきますね。
私たち人類がさらに発展するには、まだまだ身近な生き物から学ぶことが多そうですね。