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【第10回コラーゲンの世界】コラーゲンは本当に美容に効くのか

美容の世界ではコラーゲンがとても有名で塗った方が良いのか、食べた方が良いのか、そんな議論を聞くこともあります。

これまでコラーゲンの特徴や作用をたくさん見てきましたが、ついに美容とコラーゲンの関係について紹介したいと思います。

それでは一緒に見ていきましょう。


美容とコラーゲン

肌のツヤやハリを決めるのはコラーゲンとエラスチンというタンパク質です。いきなり出てきたエラスチンってなんだよ?と思われるでしょう。

参照元

エラスチンとは弾性繊維と呼ばれる伸び縮みする能力を持っています。一方のコラーゲンは高い強度を持っていますが、伸び縮みしにくい物質です。

エラスチンは肌だけでなく、伸縮性が必要な血管や肺など体の他の器官にも含まれています。

こちらの記事にはエラスチンの詳細な説明があるので、興味があれば是非

また参考文献の表現を引用すると、マットレスに例えるならエラスチンはばねで、コラーゲンはそのばねを支える構造体の役割を果たします。年齢とともにこのばねに当たる、エラスチンが少なくなってしまい、コラーゲンは互いに架橋して硬くなってしまうそうです。

そのため、赤ん坊の肌はやわらかくツヤ・ハリがありますが、年を重ねるとゴワゴワした肌になってしまうんですね。

また、明確に解明されたわけではないようですが、紫外線や乾燥による影響は少なからずあるそうです。

光老化のメカニズムとして、まず紫外線が当たると脂質が分解されて反応性と酸化能力の高い活性酸素が生まれます。そして本来均一に分散していなければならないエラスチンが集まってきてしまい団子状になります。

次にエラスチンとコラーゲンの分解酵素が活性化し、コラーゲン繊維を切断、その後真皮組織が陥没するという流れのようです。

光老化は慢性的なダメージであるため、一度損傷すると元に戻ることはありません。そのため日頃からの紫外線ケアが重要なんですね。

コラーゲンは肌から吸収できないが…

美容のためにコラーゲンを塗るといったCMを見かけますが、コラーゲンは非常に大きな分子であるため肌の上に塗っても吸収されることはありません。

そのため、肌に塗ったコラーゲンは何かしら特別な機構がない限り意味をなさないと思います。そこで調べてみると、驚いたことにコラーゲンを塗ることにも意味はあるようです。

水分を保持する能力が高いコラーゲンを肌に塗ることで、肌の乾燥を防ぐ効果があるようです。何事も調べてみるもんですね。

コラーゲンの被膜効果により、保湿クリームは肌にとどまりやすく、効き目が持続します。

基礎研究のレベルでは紫外線を浴びると凝集してしまうエラスチン繊維を再び分散させる機能も持つとも言われているそうです。まだまだ基礎研究のレベルは出ていないのであくまで可能性ぐらいの感じですが

実際に使われるコラーゲン

ここまで読んでもらった方はお分かりかと思いますが、人が美容に使っているコラーゲンは繊維性のI型コラーゲンなどをそのまま使てるわけではありません。

ウインナーの皮もI型コラーゲンですが、これを直接顔に貼る人なんていないですよね。

また、コラーゲンは三重らせんの末端にあるテロペプチド部に抗原性があり、人に直接投与すると体が反応してしまいます。そこで、このテロペプチドを取り除いたアテロコラーゲンを化粧品や医療用に使っています。

参考元

さらに最近では、このアテロコラーゲンに無水コハク酸を反応させたスクシニル化したものが使われます。これは水に溶けにくく油に溶けやすいコラーゲンになるようで、こちらも同様に使われているようですね。

飲むコラーゲンに効果はあるのか

実際にコラーゲン入りと言われているものの多くはコラーゲン加水分解物入りという意味です。要はコラーゲンのもとになるバラバラに分解したペプチドですね。

ペプチドとはアミノ酸がつながってできた物質ですが、昔はペプチドが完全にアミノ酸まで分解してから体に吸収されると考えられてきました。

しかし、どうやらメカニズムはわかっていないものの、ペプチドのまま吸収される場合があるようで、そのペプチドが何らかの生理活性を発現すると考えられるようになりました。その一つには肌の保湿性を向上させるの生理活性効果もあると言われているそうです。

そういった観点から見ると、明確なエビデンスはまだ出ていないが、飲むコラーゲンが肌にいい可能性はありそうだといえますね。もちろん、まだまだ不明点はあるので盲目的に信じることは避けなければなりませんが、まったくもってデタラメという怪しい科学でもないようです。

最後に

今回はコラーゲンと美容について紹介しました。嘘のようなホントの話というのがちょうどいい、科学的には何とも言えない終わり方でしたが、それはそれでロマンがあっていいですよね。

もちろん、怪しい情報には惑わされないようにしなくてはなりませんが、科学的にわかっていることとわかっていないことを線引きした上で楽しむ分には良いでしょう。

そして、このコラーゲンの世界シリーズも次回でいったん最終回になります。最後はもう少し踏み込んだコラーゲンと医療の関係について紹介します。最後まで楽しんでもらえたら嬉しいです。



参考文献


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