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Financial Risk Manager(ファイナンシャルリスクマネージャー、FRM)はアメリカのニュージャージー州に本部を置く GARP (Global Association of Risk Professionals) が認定する、金融リスクプロフェッショナルの資格である。FRM の資格を取得する為には Part I および Part II の2つの試験に合格し、2年以上の金融リスク関連の職務経験を証明する必要がある。2018年時点で、GARPが公表するFRM資格取得者数は190ヶ国に渡り、約56,000人。日本人のFRM資格取得者は1%に満たない。
金融危機からの数多くの教訓をカリキュラムに盛り込んでおり、総合的なリスク管理、数理ファイナンスおよび金融工学に特化した高い難易度を誇る試験である為、グローバルに展開する金融機関やコンサルティング会社にて広く認められている資格である。
概要
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FRM の資格を取得する為には、Part I および Part II の2つの試験に合格し、試験合格後、5年以内に、2年以上の金融リスク関連の職務経験を証明する必要がある。
試験日 - 毎年5月、11月
試験会場 - 全世界におけるGARP指定の試験会場
試験方式 - 四岐択一マークシート方式(Part I - 100問、Part II - 80問)使用言語は英語のみ
試験時間 - 各 Part 4時間
パススコア - 成績優秀者(上位5%の受験者)の平均スコア×70%
合格率 - 2018年5月 Part I : 41%、Part II : 53%
受験資格 - 受験資格に特段の制限はないが、修士レベル以上の数理ファイナンス、金融工学および金融リスク関連分野の実務の知識を前提とした問題が出題される。
カリキュラム
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試験のカリキュラムはGARPの公式ウェブサイト「FRM Learning Objectives」で参照できる。Learning Objectives毎に参照すべき書籍、学術論文等が割り当てられている。
2018年および2019年におけるLearning Objectivesの概要は以下の通りで、GARP公式ホームページよりLearning Objectivesの一部を抜粋したものである。
Part I 試験
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金融工学の基礎となる確率・統計理論および金融市場、リスク管理の基礎について取り扱う。
分野割合内容リスク管理の基礎
Foundation of Risk Management20%
金融リスクの計測・管理手法の基礎
直近の金融危機(サブプライム住宅ローン危機等)およびリスク管理が失敗した事例
現代ポートフォリオ理論、マルチファクターモデル
リスクデータの集計およびリスクレポートの作成
GARP倫理規定
統計分析
Quantitative Analysis20%
確率論/統計理論の基礎
ボラティリティモデル - EWMA(p,q)モデル、GARCH(p,q)モデル、RiskMetrics
コピュラ - ガウジアンコピュラ、スチューデントtコピュラ、マルチファクターコピュラ
モンテカルロ分析
金融市場および商品の基礎
Financial Markets and Products30%
金融機関(銀行・保険業界)の構造および役割
ヘッジファンドの構造
株式・債券の諸理論および市場構造
デリバティブ商品の諸理論および市場構造
オプション(含むエギゾチックオプション)の種類および評価モデル
先物、先渡し契約、コモディティの種類および評価モデル
スワップ(金利スワップ、通過スワップ、CDS、スワップション等)等の評価モデル
ヘッジ戦略、中央清算機関 (Central Clearing Party) の役割およびそのリスク
外国為替市場の諸理論 - 利子評価説
証券化商品の種類および構造
リスク評価モデルの諸理論
Valuation and Risk Models30%
Value at Risk, VaRおよびボラティリティの計測
期待ショートフォール (Expected shortfall) の計測
ストレステストおよびシナリオ分析
オプション価格評価
二項モデル
幾何ブラウン運動モデルからのブラック・ショールズ・マートン・モデルの導出、グリーク指標
債券価格評価 - 期間構造理論、DV01、Key rate 01、デュレーション等
ソブリンリスク評価モデル
信用リスクおよび流動性リスクの基礎
オペレーショナルリスク管理
オペレーショナルエラーの計測 (Basic Indicator Approach, The Standard Approach, Advanced Measurement Approach)、管理(KRI,RCSA等)
Part II 試験
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Part Iで学んだ金融工学の基礎を各リスク分析(市場リスク、信用リスク、流動性リスク、オペレーショナルリスク)へ応用し、更に総合的なリスク管理の知識を問う。また、最近の金融市場の話題についても取り扱う(最近の金融市場の話題については毎年、大幅にテーマが変更される)。
分野割合内容市場リスク管理
Market Risk Measurement and Management25%
Value at Risk (VaR)、期待ショートフォール、Coherent Risk Measureの計測
Non-parametric分析 - 時間加重モデル、ボラティリティ加重モデル、相関係数加重モデル、Filtered-HSモデル
Backtesting VaRと通じたモデルリスクの計測
VaR Mapping
ガウジアンコピュラ、コピュラを用いたデフォルト時間の予測
DV01ニュートラルヘッジ(線形回帰モデル)
期間構造理論 - 二項モデル、Ho-Leeモデル、Vasicekモデル、Cox-Ingersoll-Rossモデル、Black-Karasinskiモデル
ボラティリティスマイル
信用リスク管理
Credit Risk Measurement and Management25%
信用リスク計測モデル - Experts-based approach、Statistical-based approach(Mertonモデル、KMVモデル等)、Reduced-Form approach(Linear Discriminant Analysis, Altman Z-score, Neural Network等)
Single Factor Model、Mertonモデルを利用したDistant to Defaultの導出
指数分布を利用したHazard Rateおよびデフォルト確率の導出
Credit VaRの計測
証券化商品におけるWaterfall構造およびリスク管理
カウンターパーティ信用リスクの計測:Credit Value Adjustment、Bilateral Credit Value Adjustment、ストレステストの手法
ISDA契約 - ISDA Master AgreementおよびCSAの条文
中央清算機関の役割およびそのリスク
Wrong-way riskおよびRight-way risk
リテール市場における信用リスク管理
オペレーショナルリスク管理および総合リスク管理
Operational and Integrated Risk Management25%
オペレーショナルリスクの管理手法 (RCSA, KRI, Internal/External Loss Analysis) およびバーゼル規則のガイドライン
オペレーショナルリスクの計測手法 - Basic Indicator Approach, The Standard Approach, Advanced Measurement Approach, Standard Measurement Aproach
Risk Appetite Frameworkおよび効果的なIT Infrastructureの開発
極値理論 (Extreme value theory) 、POT理論 (Peak-Over-Threshold) および一般化パレート分布(英語版)
リスク調整後リターン(英語版)の計測
モデルリスクとその事例
債券レポ市場および流動性リスク管理 (Liquidity VaR, Liquidity at Risk)
バーゼル規制の歴史およびリスク計測手法 - Basel I, Basel I 1996 Amendment, Basel II, Basel II.5, Basel III, Fundamental Review of Trading Book
アウトソーシングリスクおよびAML/CTFへの対応
ポートフォリオリスク管理
Risk Management and Investment Management15%
非流動資産のリスク管理
ポートフォリオの構築およびVaR(Marginal VaR, Incremental VaR, Comonent VaR, Diversified VaR等)を通じたリスク管理
ポートフォリオアルファの計測およびベータ・アノマリー
ヘッジファンドリスクおよびパフォーマンス計測
ヘッジファンドのデューデリジェンス
金融市場における最近の話題
Current Issues in Financial Markets10%
IFRSおよびUS GAAPにおける信用リスクの計測
人工知能、機械学習およびビッグデータ
中央決済機構を通じたリスク移転
リスク計測指標(VIXおよび金利平価説)の崩壊と次なるリスク計測指標としての米ドルの役割
FinTech市場
コーポレートカルチャーに関する諸理論
サイバーリスク
試験合格後のFRM認定手続き
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FRM Part IIを合格すると、GARPの公式ホームページ上で、2年以上のリスク関連業務の証明を行う。GARPの認証が完了すると、正式にFRM資格取得者として、GARP FRM Directory に登録される。GARP公式ホームページで確認可能。
その他
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試験会場に持ち込みが許されているものは、受験票、身分証明証、GARP指定の金融電卓のみ(筆記用具は、当日試験会場で配られる鉛筆2本のみで、シャープペンシルや消しゴム等は一切使えない)
標準正規分布表、t分布表等は問題冊子の中で提供される。
GARP指定の金融電卓は次の通り。
Texas Instruments BA II Plus , including the BA II Plus Professional
Hewlett Packard 10B II, 10B II+, 20B, 12C, including the HP 12C Platinum and the Anniversary Edition
関連項目
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外部リンク
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この項目は、経済に関連した書きかけの項目です。この項目を加筆・訂正などしてくださる協力者を求めています(ポータル 経済学、プロジェクト 経済)。
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