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Excelで金融オプション価格を計算する
1 概要
この資料では金融オプションの価格を計算するためのnAGライブラリ [18] のアルゴリズムの使用について記述しています。具体的には、Microsoft Excel スプレッドシート内からnAG ルーチンを呼び出す方法についていくつかの例を用いて説明しています。
この文書は次のように構成されています。次のセクションではオプション(§ 2.1)とオプション価格(§ 2.2)に関して開発された様々なモデルについての簡単な概要を示しています。様々な従属パラメータに対する価格の感応度も興味深いものがあります;この情報は価格の偏導関数に含まれており、これはグリークス(§ 3を参照)として知られています。セクション4では、価格とグリークスの閉形式表現に加えて、オプションプライシングモデルの中の一つの例を表しています。 このモデルによる結果の計算(及び他の多くのモデルの計算)はnAGライブラリルーチン (§ 5) を用いて行うことができます;私たちは、2つの例のうちExcel (§ 5.1)からnAG ルーチンを呼び出している最初の例によりこれを詳しく記述しています。次に、オプション価格の動きに関する決定や分析における今後の可能性をより複雑な例(§ 5.2)を用いて説明しています。例えば、Excel 内での計算結果の視覚化です。最後に、興味をお持ちの読者の方々が、これらの例をどのように参照できるか記述しています(§ 5.3)。そして今後の研究についての見解で締めくくっています(§ 6)。
3.1 Delta(デルタ)
Delta (Δ) はオプション価格Pの原資産価格Sの変動に対する感応度です。
3.2 Vega(ベガ)
Vega (ν) は原資産ボラティリティ、 σ に関するオプション価格の変動率を測ります。
3.3 Theta(セータ)
Theta (Θ) はオプション、T の権利行使残存期間の変動に対するオプション価格の感応度です。残存期間は通常減少していますので(増減可能な他の従属パラメータとは異なり)、偏導関数の負数をとるのが一般的です。
3.4 Rho(ロー)
Rho (ρ) は無リスク利子率、r に関するオプション価格の変動率です。
3.5 Crho
Carryrho (Crho) はいわゆるキャリーコスト率、b -すなわちポジションを維持あるいは保有するコストの利率の変動に対するオプション価格の感応度です。資産が株式の場合、これは無リスク利子率とq、株式の配当率との差として定義されます。従って、b = r − q になります。
3.6 Gamma(ガンマ)
Gamma (Γ) は原資産の価格変動に対するDelta の感応度です。
3.7 Vanna
Vanna はDeltaが原資産ボラティリティのわずかな変動に対してどれほど感応度が高いか(あるいは同様に、資産価格のわずかな変動に対してどれほどVegaが変動するか)を示しています。
3.8 Charm
Charm は 時間の変動に対するDelta の感応度(あるいは同様に、資産価格のわずかな変動に対する Theta の感応度)です。
3.9 Speed(スピード)
Speed は原資産の価格の変動に対するGamma の感応度です。
3.10 Colour(カラー)
Colour は時間の変動に対する Gamma の感応度(あるいは同様に、資産価格の変動に対する Charm の感応度)です。
3.11 Zomma
Zomma は原資産のボラティリティの変動に対する Gamma の感応度(あるいは同様に、資産価格の変動に対する Vanna の感応度)です。
3.12 Vomma
Vomma は原資産のボラティリティの変動に対する Vega の感応度です。
4 ブラック-ショールズモデル
上記で述べたように、ブラック‐ショールズモデル[3]は広く使用される、資産の動きに関する数学的表現です。その応用は、オプション価格のいわゆるブラック‐ショールズ偏微分方程式をもたらします。その偏微分方程式は資産価格と時間、t のみに依存すると考えられています。
P についてこれを解くために、最初に境界条件を指定する必要があります.
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