はじめてのプレイリストづくり

Q. 「プレイリストをつくるのって楽しいの?」
A. 「楽しかった!!」(個人の感想です)


プレイリストなるものがあるらしい。が、使ったことがなかった。
音楽を手持ちの再生機器で聴こうとすると、「アーティスト」や「アルバム」などと並んで「プレイリスト」の欄がある。この項目はいったい何のためにあるのか。そもそもプレイリストってなんだ。
Wikipediaによると「~~(特に意味のない引用)」らしい。

ものは試しに、つくってあそぼう。

プレイリストができるまで

「どんな音楽が好きか」と聞かれることがあるけれど、いつも返答に困っている。とりあえず「邦楽?」とか「バンドの音?」とか、自分でも意味をわかっていない言葉を返している。
音楽にはジャンルなるものがあるらしく、雑にインターネットで調べるとたくさんのカタカナ語が出てくる。そして、言葉の意味を理解しようともせず、参考につけられているMVを聴くこともなく、そそくさと引き上げてしまう。持ち前のめんどくさがり精神を遺憾なく発揮している。

だったら、プレイリストをつくると、「だいたいこんな感じの曲が好き」だということが自分でも納得できるのではないか。
自分の好きな音楽を開拓しよう、と自発的に行動したことはないから、心配せずとも自分の好きな曲の雰囲気は勝手に偏るはずだ。その偏りをなんとなく掴みたいと思う。

みたいな動機も少し持ちつつも、休日の遊びとして楽しそうだから、プレイリストをつくろうとしてみる。

音に触れる機会は、YouTubeのMVや配信やその関連動画をふらっと覗いたり、もしくは手持ちのプレイヤーに入っている曲を聴いたりするくらい。ごくまれにサブスクを使う。
だから(?)、同じアーティストの作品を集中的に聴くことになる。特に、プレイヤーを使うと、アーティスト→アルバム→曲の順にボタンをポチポチするから、どうしても偏る。
なので、せっかくだから、色んなアーティストの曲を混ぜてつくりたい。オールスターやドラフトみたいな雰囲気で。

さて、どんなプレイリストにしようか、と思った。

ほどほどに暗くなりたい。
夢の中に入り浸って、気持ちよく目覚めたい。
ほどほどに孤独になりたい。
ほどほどに内省的になりたい。
盛り上がりたい。
背中を押してほしい。
聴き終えた頃には明るくなりたい。

時間の流れを感じたい。とも思ったけれど、そもそも曲を聴いているときは夢を見ているようなものだから、ある程度めちゃくちゃでもいい。

曲名でしりとりしたり、頭文字を繋ぐと言葉になるようにしたり、各曲のアルバムでの順番と一致させたりしようか、ともよぎったけれど、難しそうなのであきらめた。

プレイリストはいくつの曲でつくろうか、と思った。
直近の出会いもいくつか含めた思い出を詰め込んだプレイリストにしようとは思う。というのも、自分がつくったプレイリストをいつか振り返る瞬間が訪れるだろうから。
振り返ってみれば、アルバムを通しで聴いたことのあるアーティストの方が思い出に残っている。そして、そんなアーティストは両手で数えられるかどうかくらいの数だった。
だから、6-8曲くらいでつくろうと思った。
結果として、多少の時間が空いたときにお手軽に聴けるプレイリストにもなってよさそうだ。

あとは、好きな曲を勘で拾ってきて、つくりながら曲を絞ったり別の曲と入れ替えたり順番を調整したりするだけだろう。多分。

直感的に、7曲目を決めた。次に1曲目、それらを踏まえて最後の8曲目を選んだ。
この時点で、「勝った」と思った。明らかに自分が満足すること間違いなし。既に面白い。
1曲目から7曲目までなかなか距離があるように思えて、ここをどう繋げるかを考えるのも面白かった。どこかで見たようなストーリーしか組めないけれど、細部の繋がり方が多分面白いだろうと思った。

テーマやストーリーが明快に決まっているなら、それに合うように曲を選ぼうとするけれど、そんなに決まっていない。だから、好きな曲を並べながら「ここに繋がりがあるとしたらそれはどんなものになるだろう」と物語を捏造する気分が味わえて、面白い。

どのアーティストの曲にするかは、ぼんやりと浮かんだ。

あとは、楽しく苦しんでつくっていたら、できていた。

プレイリスト

1. Hello Sleepwalkers 「SCAPEGOAT」
2. school food punishment 「flow」
3. BIGMAMA 「Sweet Dreams」
4. 羊文学 「夕凪」
5. Hump Back 「クジラ」
6. tacica 「煌々」
7. 長瀬有花 「オレンジスケール」
8. THE PINBALLS 「ニューイングランドの王たち」

計 36:30

できあがったプレイリストを眺めると、かっこいい・あったかい・力強い・やさしい曲が多い。だから、そんな曲が好きなんだろうけれど、それぞれのアーティストの曲が色んな在り方でそうなっているように改めて感じて、面白い。ゆるっと似ているのかもしれないけれど、やっぱり違う。語彙や想像力があったら、この違いを表現できたりするんだろうか。
あとは、詞がなんとなく重なる瞬間があって、面白い。音を細かく聴けないし、どんな雰囲気の音が好きなのかについて自覚的じゃないから、詞に頼りがちなのかもしれない。
曲の物語の展開も、なんとなく重なる瞬間があって、面白い。けれど、やっぱり見え方が違っていて、それも面白い。
なんだかんだ、作品やアーティストを越えて共鳴しているように感じる。

こんな文章を書きながら、プレイリストを何周も回した。賢い。
けれど、自分に対する特効を持った曲たちだから、好きすぎて筆が進まない。賢くない。
いい話だ。

多分、色んな時期に色んな雰囲気で色んな展開のプレイリストをつくって遊ぶと、後から振り返ったときに面白いのだと思う。

あと、アルバムって完成度高いんだなあと、改めて思った。
自分のプレイリストはなんとも不格好だけれど、愛着が湧いてくる。

朝陽と君と僕だけ始発を待った

1. Hello Sleepwalkers 「SCAPEGOAT」

1曲目から飛ばしていこうと思った。ほどほどに暗くなれるし、文句なく盛り上がれる。歌で始まる曲が1曲目なのも、声で切り裂いて道をつくってるみたいで、なかなか好き。そもそも、開幕が似合う曲だった。
バンドが活動を再開してから一発目に投稿された曲だから、なんとなく「おはよう」って言いたくなる。

「白黒 モノクロームの感動で
 回っているんだって世界は
 疑う間もなく終点のベルが鳴った」

泡のように 日々は消えていかない

(公式の音源がYouTubeに無さそうなので動画へのリンクはない。サブスクにもない。そういう日もある。)
2. school food punishment 「flow」

1曲目から飛ばしてしまったので、その勢いを引き継いでぶち上がるしかない。偶然にも(?)、暗いテンションも引きずることができる。
先の「SCAPEGOAT」と並べると、眠れない夜を過ごすうちに、窓の外の世界が望んでもいないのに白んでいきそうな、そんなシーンが思い浮かぶ。

「風待ち 密やかに 耳を研ぎ澄ます
 水を探すように 君を呼んでいる」

Sweet dreams

3. BIGMAMA 「Sweet Dreams」

まだまだ盛り上がっていくぞ~、といった感じ。
でも、そろそろ寝た方がいいと思うので、この曲。
"Have a good night. "

「朝焼けか夕暮れか分からぬ程に
 甘くて溶けない夢を見よう」

海が聞こえる

4. 羊文学 「夕凪」

朝が始まる頃に寝ると、だいたい二度寝をして、気がついたら夕方だと思う。もしくは、4~6曲目の間は夢の中でわざわざ現実をみているのかもしれない。
凪は風向きが切り替わる合図だ。そして、凪は続かない。
風に逆らわないのだとしたら、夕凪が終わる頃には、日頃活動している陸からの風を背に受けて海をみつめることになる。

「いつの日か言えるかな
 音もない海に風がまた吹くときに
 ぼくら」

もういっそ いっそのこと

(歌の一部が↑の2曲目で聴ける。サブスクにはない。そういう日もある。)
5. Hump Back 「クジラ」

日が終わる頃に聴くと沁みる。そして、力が湧いてくる。
まっすぐ何かが届く。

「排水口に流れた 塩辛い不安は海へ
 いつか大きなクジラになって 空へ行く」

煌々と紅い血は誰が為に

6. tacica 「煌々」

もやもやを抱えたまますっきりするから、好きだ。
この曲はあまり夕暮れのイメージがなかったし、序盤や昼や一日の始まりのイメージがある。けれど、この位置もなかなか合っているし、どことなくこのプレイリストの主人公みたいにみえてくる。

「体温を上げろよ 息を切らせ
 他の誰でもない僕の為に
 喜怒哀楽だらけの毎日が続くのだろう」

昨日の続きを生きてる

7. 長瀬有花「オレンジスケール」

夕暮れの曲(?)は続けて4曲目だというのに、そして、今回選んだアーティストだとこの位置に収まる曲がたくさんあるのに、どうしても「オレンジスケール」はいいぞbotになる。
一日が終わって続いていく感じが、音に乗っている気がする。

そろそろ海岸線から陸に戻る。
帆船は風上に向かって進む。

「たそがれの道は
 背伸びしたはずの今日も
 いつのまにかしまってくみたいだ」

誰もが忘れかけた心を 歌った

8. THE PINBALLS 「ニューイングランドの王たち」

夢に「おやすみ」のひとことを告げて、目覚める。
夢の中できっと何かを受け取っているから、起きても大丈夫だ。

「僕が とても好きだった
 夜の街の風景のような心で 歌う人がいる
 朝を まだ遠くに眺めながら 僕は聞いた」

おわりに

満足。いい休日を過ごした。

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