Geek&Music:謎のトランプゲームについてのお便りを読んでくれて嬉し~となった
“Fortune favors the bold.” “Fortune favors the prepared mind.”
どっちのセリフもどこかで誰かがキリッと言っていた気がする。引用から始めるとなんとなくかっこいいと思えてしまうからそうしようと思ったのだけれど、どっちのセリフを引用しようか。幸運の女神が勇者に微笑むとしても、準備された心に降り立つとしても、いずれにせよ物語としてよくできてる。選べないからどっちも採用した結果、せっかく引用したのにキリッと締まらなくなってしまった。けれど、まとめる必要なんてそもそもなかった。
なんていう話をしたいわけではなくて、今回は、凪原涼菜さんによる朝の定期ラジオGeek&Musicに送ったお便りが採用されて嬉しくなったので、そのテンションに任せてお便りの下書きを貼り付けようと思います。(ページの下までスキップすればすぐにたどり着きます。)
その前に、同じ回で披露された生歌の「未完成」(家入レオ)のカバーが良すぎてびっくりしました。急いでチャンネルにアップされているMVを視聴してみたら、やっぱり良すぎるな…と思いました。そして、これはハマるなあと感じ、人生のんびり生きて何かを待っていれば、やはりこんないい出会いもあるなあとなぜか達観していました。
また、涼菜さんが、歌に明るい気持ちよりも暗い感情を込めるのが得意、とか、落ち込んだ人を元気に励ます歌は歌えないけれど、その隣で共感したり寄り添ったり頷いたりできる歌を歌いたいな、と言っているのが印象的でした。そして、辛くなっている人への関わり方にも、側での寄り添い方にも、色んな形があるんだなあと思いました。
というわけで、トランプゲームやコントラクトブリッジからこの文章にたどり着いた方には、「未完成」のカバーを聴いて凪原涼菜の名を覚えておくことをおすすめします。気分や視界が塞がっているときに、アーティスト凪原涼菜が作品を通じて、時と場所を越えてきっとあなたの側に降り立ってくれるはずです。そして、月曜と金曜の朝8時から一緒にラジオを聞きましょう。
さて、私が送った謎のトランプゲームのお便りの方に話を進めます。今回、番組で紹介していただいた遊びはコントラクトブリッジです、、、と聞いても知らない人の方が多いでしょう。その割には、涼菜さんがフォローしてくれたように、世界では1億人以上が遊んでいるようです。
(ざっくりでもいいから遊び方を知ってから先に進みたい、という人以外はスキップすることをおすすめします:遊び方をざっくり説明すると(理解しなくても大丈夫です)、まず、4人の人にテーブルを囲んで席に座ってもらいます。対角線上に向かい合うのがあなたの味方です。ジョーカーを除いた52枚のカード(4つのマークとそれぞれ1~13の数字があります。なので、同じカードは二つとないです。)を13枚ずつ、自分だけの手札が見えるように、配ります。その後、時計回りにカードを1枚ずつ出して一番強いカードを出した人(ペア)の勝ちです。これを13巡繰り返すと手札が尽きて、それぞれのペアが何回勝てたのかが決まります。ここから先に話すことがこのゲームを面白くしているのですが、この13巡が始まる前に、手持ちの情報を使って何回くらい勝てそうなのかを推測します。そして、その推測をもとにして何回以上勝つのか約束(契約:contract)を交わします。この約束を守れたかどうかによって得たり失ったりする得点を巡って、頭脳戦が繰り広げられます。)
後で貼り付けるお便り(の下書き)の目的は、「コントラクトブリッジ、、、なるほどわからん。でも、なんとなく面白そう」と思ってもらうことです。他にあるとすれば、たった52枚のカードから広がる世界に人は没入して遊ぶことができるらしいと思ってもらうことです。その先のことは、あなたに訪れるかもしれない出会いに託します。
幸か不幸か、ハマるのには時間がかかるので、引き返せるタイミングは割とあります。なので、やってみてそこそこ面白いけれど、思ったほどではないなあ、と感じることになるかもしれません。そんなときは、ブリッジを楽しんでいる人、例えば私がいることを、試しに信じて続けてみてください。気がついたときにはあまりの面白さにのめり込んでしまっていることでしょう。私はブリッジの魅力を信じます。
最後に、お便りを読み返して思うことは、強い人間を魅力的に描こうとしすぎたなあ、ということ。実際に魅力があるのは間違いないのだろうけれど。
勇気が出ない人にも、未来を考える余裕のない人にも、幸運が手の届く範囲に目に見える形で訪れてくれたらいいのに。
遊んでいるうちに、ふとこぼれる笑みとともに肩の力が抜けていきますように。
Good luck.
Geek name TYP
涼菜さん、おはようございます。ぜひ布教したい遊びがあるので、お便りをお送りします。対戦よろしくお願いします。
私はコントラクトブリッジ[Contract Bridge]Geekです。大学生になって間もない頃に初めてその単語を耳にした私の反応は次のような感じでした。「何だろう、その遊びは? ふむふむ、どうやらトランプゲームの一つらしい。ポーカーやババ抜きなら知ってるけれど。まるで橋をつくるようにトランプを積み上げる遊びなのかなあ。」実際は、橋ではなく戦略を組み立てる知的なゲームらしいです。なんとなく惹かれた私は、それだけを遊ぶサークルの門を迂闊にも叩きました。その結果、何度も時間を忘れて徹夜するハメになってしまうのでした。
コントラクトブリッジ(ここからはブリッジと略します)は、4人でテーブルを囲み2対2のペアに分かれて遊びます。使うのはジョーカーを除いた52枚のカードです。この武器を一人ひとりに13枚ずつ配ります。自分以外の人の手札は分からないので、ゲームが進む中で想像・推理しないといけません。今からは、細かいルールはさておき、ここから始まるドラマの魅力を、雰囲気だけでも伝えたいと思います。
このゲームの面白さの一つは、パートナーと力を合わせて戦うところです。チームスポーツを題材にした作品を観たり読んだりすると、欲しいタイミングでドンピシャのパスが通るシーンが描かれることがあります。互いに理解(わか)り合ってるシーンですね。ブリッジを遊ぶ人にも、そんな爽快な瞬間が訪れます。ブリッジでは、言葉やジェスチャーは使っちゃダメなんですが、プレイングを通じてパートナーとコミュニケーションをとります。つまり、パートナーの一挙手一投足からその人の見ている景色を想像する。逆に、自分の見ている景色を伝えるために自分のアクションにメッセージを込める。これを完璧にするのは難しいんですが、上手く「パス」を出し合っているときは楽しくてしょうがないです。
ブリッジの他の魅力は、かなり頭を使うところです。ブリッジプレイヤーがはじめの一手を打つ前にすることは、自分が勝つときの物語のエンディングを想像することです。そして、起こりうる色んなイベントやシナリオを想像しながら、逆算することでとるべき選択肢を導きます。また、そんな脚本家としてだけではなく、探偵としてもゲームに参加します。情報が詰まった一人ひとりの行動を観察・記憶し、徐々に明らかになる事件の真相を手遅れになる前に推理しないといけません。さらに、ギャンブラーとして運を味方につけることも求められるでしょう。つまり、有利なときは不運に備え、不利なときは幸運に備える。理性と溶け合った勇気を携えて決断する。ブリッジは知略がせめぎ合う奥深いゲームなのです。
もし少しでも気になった方がいれば、ぜひ一度検索してみてください。コントラクトブリッジの世界があなたを待っています。最後は、ブリッジプレイヤーの間で交わされる、私の好きなあいさつで締めたいと思います。それでは、“Good luck, partner.” “Thank you, partner.”