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アラサー低身長女子のバイク中免教習 嫌な予感の1限目

はじめに:アラサーは女子なのかという問題は置いといて


身長は151センチ、体重46キロ。
中学時代の体育の成績は2。
もちろん、万年文化部。

こんな私でも、普通自動二輪免許(いわゆる中免)は取れるのだろうか。
いや、取ってみせる。
だって、バイクでソロキャンしたいもの。

教習の復習も兼ねて、教習日記を書くことにした。
これからバイクに乗りたいと考える人にとって、ちょっとでも参考になるように頑張るけれど、勉強・研究しながらなので、間違ったこともたくさん書くと思う。バイクができない人の日記ということを前提に、楽しんでいただけたらと……。

入校前テスト:波乱の予感がしなかったわけではない

中免取得のカリキュラムを教習所で受けるには、入校前に簡単なテストがある。
私の場合は、以下の2点を確認された。

① 教習所のバイク(Honda CB400)での足つき(両足が地面につけられるか)
② バイクの引き起こし(完全に横倒しになっているバイクを立てる)ができるか

①はシートから地面までの高さが755mm(ちなみに、400ccクラスのバイクでは低い方らしい)で、なんとか、ギリギリ、クリア。普段、街で見かけるライダーの皆さんは、足の裏がベタッと地面についているけれど、私の場合はつま先がギリギリ着く感じ。完全にバレリーナ状態だったけれど、OKということだった。

正直な感想:ホントかよ…!

短い短いとは思っていたけれど、自分の脚が予想以上に短いことに愕然とした。本当に、ほぼ足がつかない状態でどうやってバイクに乗るのか、想像がつかなかった。

そして、②の引き起こし。当然、腕の力ではバイクはビクともしなかった。教習車は、約200キロあるらしい。「えっ、200キロって、こんなに重たいのか……」というのが第一印象。もうダメかと思ったけれど、教官の適切なアドバイスでなんとかクリアできてしまった。

が、翌日は全身を凄まじい筋肉痛が襲った。
体中が痛くて、起き上がることさえ、しんどかった。
けれど、そんな状態でも、「これで免許が取れるぞ」という興奮と喜びが大きく、このときの苦戦が意味していた後の大変さを、私は予期できていなかった……。

1限目-①:プロテクターと私

私:「受付はここでよいのでしょうか?」
教官:「大丈夫ですよー」
二輪専用の受付カウンターで、教習原簿と教習生証、車の免許証を提出。片手には、買ったばかりのマイヘルメットと、グローブ。

コロナ禍の影響で、ヘルメット・グローブのレンタルは中止になっていた。受講の際には、自分で予め用意する必要があった。

ほとんどの生徒が四輪の教習だから、この時点でちょっと特別感があり、ホクホクした気持ちになっていた、超絶単純な私。

教官:「じゃぁ、奥が更衣室だから、ハンガーのプロテクター着てね」
私:「はい」

で、更衣室でプロテクターを手にとって気がつくわけだ。

プロテクターの着方がわからんぞ!
なんだ、この鎧みたいなのは。

胸・肩・両肘・両膝に、周りの人を見ながらプロテクターを装着。
動きにくいし、一気に緊張度が高まる中で、いよいよ1限目がスタートした。

1限目-②:バイク初乗りの瞬間


まず最初に、バイクの部位の機能や名称について簡単な説明がされた。ここまでは大丈夫だった。事前に教本とYouTubeでインプットした通りだ。

そして、運命の時が訪れる。
バイク初乗りの瞬間である。

とはいっても、最初はセンタースタンドを立て、バイクの後輪を浮かせた状態での乗車。

よいしょっと、バイクに跨る。

恐る恐る、ハンドルを握る。

思ったことは、「遠い…」
ハンドルと自分の距離が、遠い。
なんとかシートの前の方にお尻を持ってくるも、前に来すぎると股間にシートの端が当たって痛いから限界がある。
そして、右と左のグリップも結構距離がある。思ったよりも、肩をかなり開く格好になった。
始まる前から、なぜか、既に辛い姿勢(たぶん何か間違ってるんだろうなと思いながら……)。

教官:「まずはバイクの操作方法を、この1時間で、体で覚えてもらいます」

内容としては、以下。

① 鍵を回してスイッチ・オン
② 左手で、クラッチレバーを握り、セルボタンを押してエンジンスタート
③ 左足で、シフトペダルを踏んで、ギアをニュートラルから1速にする
④ 右手でアクセルを少しだけ回す
⑤ 左手のクラッチレバーを少しずつ放して、半クラッチにする
⑥ 左手のクラッチを徐々に放す
⑦ 右手のアクセルを戻す
⑧ 左手でクラッチを握る
⑨ 左足で、シフトペダルを持ち上げて、ギアを2に上げる
⑩ 左手のクラッチをゆっくり放しながら、右手のアクセルを少しだけ回す
⑪ ⑦〜⑩の要領でギアを3に上げる
⑫ 右手のアクセルを戻す
⑬ 左手のクラッチを握る
⑭ 左足でシフトペダルを踏んでギアをローまで戻す

ちょっと待って。全然、わからん。

いや、頭では分かる(たぶん)。
体が追いつかない。自分がいま右手を動かしているのか左手を動かいているのか、分からなくなるついでに、左足のシフトペダルの位置が分からなくなる。もう一つついでに、いま自分が何速なのか分からなくなる。

先生、私の体は1時間じゃなにも覚えませんぜ。

が、とにかく教官の動きを見様見真似で繰り返す。

教官:「だいたい大丈夫そうですね。じゃぁ、降りてください。バイクを持って移動しましょう」

ちっとも、大丈夫じゃないと思う。

教官:「次の1時間では、教習コースの外周を走れるところまでいきます」

いやいやいや、展開が、速すぎる。

教官:「大丈夫ですよ!」

教官の力強さになんとなく納得してしまう(変なところで押しに弱い)。

1限目-③:センタースタンドを外す


教官:「じゃぁ、センタースタンドを外しましょう」

まじか、バイク動いちゃうじゃん。
「お前はバイクを動かしに来たんだろう」というツッコミと、「いやまだ無理だよ」という声の応酬が頭の中で繰り広げられつつ、教官に言われるがままに体を動かす私。

バイクの左側に立ち、両方のハンドルを握って、車体を思い切り手前に引く。
引いた反動でバイクが前に戻る力を利用して、センタースタンドを外す。

やり方は理解できた。

でも、困った。
まず、右の手がハンドルに届くのがやっとなのである。
圧倒的に、腕が、短い。
右手でハンドルを掴むと、車体にぴったり体をつけないといけない。
これで、車体が前に出たらどうなるか。
たぶん、私はシフトペダルに脹脛を強打する……!
っていうか、勢いよく飛び出す200キロの車体を、制御できる気がしない。

教官:「はい、頑張って!」

教官がバイクを受け止める姿勢で前に立ってくれた。
ここはもう、ビビってないで、教官を信じて、バイクを揺さぶるしかない。
とはいえ、まずは軽く揺すってみる。

やばい、ビクともしない。

力を強くして、もう一回、引く。
反動で、グワンとバイクが前に揺れる、がスタンドは外れない。

教官:「惜しい、今のまま前に押せば大丈夫!」
今のまま押したら教官を轢き倒してしまう気がします……!

と、思いながらも言われるがまま、バイクを思いっきり引いて、ついた勢いのままに前に押し出す、押し出し切る……!
ガクン、という衝撃と一緒に、スタンドが外れて、バイクが前に進んだ。
できた…! できたよ、教官…!

教官:「はい、OK」

でも、それまでの支えをなくしたバイクは、とてつもなく重たかった。
スタイルとしては自転車を押すのと全く同じ。
でも、比べ物にならないくらいにデカイし、重たい。

もうどうしていいのか分からない。
バイクのサイズ感に飲まれる。

1限目-④:初めての取り回し


教官:「じゃぁ、私のあとに着いてきてくださいね」

バイクを手で押して動かす。
いわゆる取り回し。
なんとか押して運ぶも、何度も自分が立っている方向に車体を倒しそうになる。

倒さないようにするには、車体を地面に対してまっすぐ垂直に立てればいいのはわかる。
つまり、もう少し、自分と反対側にバイクを傾ける必要があるのだろうと想像できたものの、その「もう少し」がどのくらいなのかが分からない
切実に、鏡がほしいと思った。
しかも、右手が届きにくいから、少しでも押しすぎてしまったら、支える自信がない。
結果、若干車体を自分側に傾けて、腰をつけて支える運び方にたどり着いた。
ところが、これをやると、一歩ごとにシフトペダルやらステップやらに脚を強打する。ものすごく歩き辛いし、めちゃくちゃ痛い……!

なんとか、たぶん30、40メートルほどの距離を運んだところで、私は力尽きた。
なんのキッカケだったか、突然ぐらり、とバイクが大きく自分側に傾いてきた。

私:「おおおおお」

どんどん傾く。傾けば傾くほど、重たくなる。

教官:「あぁ、それはもう無理だから」
私:「倒していいですか?」
教官:「うん、大丈夫ですよ」

ガシャン。
はい、倒しました。
ごめんね、バイクさん。

教官:「はい、引き起こし、頑張って」

嘘でしょ、と思う。
いまのいままで、全力を出し切って力尽きているのに、さらにここから、200キロを起こせと…。

やるしか、ない。

1限目-⑤:引き起こし再び

入校前に教えてもらった、引き起こしのやり方を思い出す。

① 倒れた車体のシート側で、左手でハンドルを握り、右手でフレームを握る。
② お腹をシートにつけて、自分のお尻は持ち上げて、片膝を立てる。
③ そこからクラウチングスタートの要領で、前に力を込める!

私:「ぬぉぉぉぉぉっ」
教官:「よし、頑張った!」

反対側から軽く教官に支えてもらって、なんとか車体を起こす。
起こした車体のハンドルを持ち直して、指定された場所まで運んで、サイドスタンドを立てる。

ここまでで、1限目終了。
11月の外なのに、汗だく。
HPはゼロを通り越してマイナスに食い込んでいた。

教官:「はい、じゃぁ休憩して、2限目の5分前にまた集合してください」

そう。
愚かな私は、1日に2時間ずつ連続で予約してしまっていたのである。

2限目につづく。



最後までお読み頂きありがとうございました!