
破滅の国の僕
世界はもっと優しくなくて良いと思う頃
僕のいる世界は中途半端に優しいし、中途半端に厳しい。
成果が出なければ容赦無く無能を切るし、「誰にでも出来る事」も出来ない人間に厳しい割に、そんな人間に死ぬなと言いだす。
国の借金で首が回らないと言う割には、僕みたいな無能の出来損ない人間を生かしたり支援したりしている。
NHKは沈みゆく日本を特集して、技能実習生問題やらを報道しているのに、僕のようにさらに役に立たない欠陥人間が社会を良くするための方法(酒を飲んで線路で寝るとか、酒を飲んで季節外れの海水浴とか)を取ろうとすると、誰かがいつも止めに来る。
そんなに社会を良くしたいなら、社会は僕みたいな無能に厳しい社会にすれば良いのに、そうしない。
何もしていない僕が福祉と親の金でぬくぬくと生きてる裏で低賃金に悩む人が居るのも、どういう矛盾だと言う話だ。
選択と集中と言うなら、選択肢から最初から零れた人間がどうなろうと別に良いだろう。
親が悲しむとか、誰かが悲しむとか、僕が死んで浮いた金で誰かが幸せになればチャラくらいに思えば大したことじゃ無いと思うのだが。
どうせ三作打ち切りの負け癖作家で求職活動だって停滞中の欠陥人間だ。
世界に夢と希望と感動を与えられる人々に比べりゃゴミクズみたいな存在だし、働いたって職場に迷惑かけるだけのお荷物になることは確定なのに。
そんな風に考えながら、僕は夕方になって自分を呪いながらベッドに横たわるかパソコンに張り付いている。
なのに、僕は毎週就労移行支援に通うわ障害者枠応募の求人を探すわしている。
定期的に自殺衝動に駆られたり、自分を否定する言葉をリアルにTwitterに並べ続ける割に、夜には一週間の予定表を付けたり、作家崩れから脱却しようと遅筆のくせに新人賞応募作を書いてるなど、やってることは矛盾だらけだ。
大体だが、僕のこの「死にたい病」は夕方にから夜になると現れる。
破滅の国、暮の鬱癖
僕は15時か16時あたりを過ぎると何かにつけて誰かが困っている・社会がどうなっていると言う話題に反応し、僕自身が生きている事を否定しては、いつも僕自身を巻き込んだ破滅を望んでいる。
「人材の選択と集中が求められるならT4作戦実施して僕含めて役立たずを全部殺せばいいだろ」
とか
「新幹線を敷くのも五輪が必要なくらい落ちぶれてるの自覚してるなら札幌なんてとっとと核攻撃しちまえ」
とか
「五輪アスリートの与える感動とお金に比べたら僕の作品なんてゴミ同然だし、そりゃあ切り捨てられる」(こんな事言ったらまたファンの方に怒られそうだが、実際事実だろう)
とかほざいたり
「自殺するか犯罪者にでもなったら増刷かかるか」
とかほざいて犯罪計画や自殺計画を頭の中ですぐに練っている。
(まあ所詮は金欠とチキンも相まって些細な計画なのだが)
そうじゃなくても自分の時間と金の使い方の下手さや、近づく新人賞の〆切と進まない進捗に、涙目になりながら原付を転がして帰路に着くのはよくある事だ。
自宅に帰るのすら憂鬱、帰ってライティングソフトを立ち上げても火が点かず無為に過ごし、夕飯時は憂鬱と焦燥と原稿が進んでない絶望と反抗心でグチャグチャになって、19時の夕飯に僕を呼ぶ母の声に母と自分への怒りと呆れで動けなくなってる。
(そして21時か22時を回って家事をする必要に駆られて、義務的に階下に降りて夕飯を食べる。そうなると憂鬱状態は回復する)
この妙なやる気減退と破滅思考現象は、原稿に集中出来てたり画像整理に夢中な時には出ない。
それに破滅思考は常に抱き気味なので、「また自分の怠け癖だろう」と思っていたのだが、最近ことに増えてきたせいで、何か原因があるんじゃないかと伺い始めた訳だ。
まず破滅思考や攻撃衝動、その割に全体範囲攻撃に無駄に過敏な反応をして凹む、これはさっきも書いたように僕のもともとの気質で昔からのものだ。
それが余裕が無くなってきて悪化するのは最近になってからだが、僕のやる気の空回りと、先延ばし癖で積み上げすぎた物に圧倒されたのと、要領の悪さやへの怒りが主な原因だ。
そして最後に何でこれが夕方から夜になって急に悪化するのか。夕方になると鬱状態に近くなることをメンクリの先生に言うと
「ああ、それコンサータ切れかけてるの」
と言われた。
なる程調べてみればコンサータ切れで夕方鬱ると言う症状は結構あるらしく、そうなってる人も自分だけではないようだ。
それに食後にも精神安定系の薬を飲むので、気分が少し落ち着くのも当然だ。
しかも自分は最近になってポモドーロ式での執筆(自分はカッコ付けて「ソーティ」なんて呼んでいるが)を始めたので、作業を終えて休憩に入り集中が途切れた時に、ちょうど疲労とコンサータ切れがやって来るという、駄目なピタゴラスイッチが出来上がっていたのだ。
結局僕は夕方鬱と破滅衝動対策に夕方用の精神安定剤を処方され、それを飲んでからはまあまあ落ち着けるようになった。
そうするとあれだけ焦っていた小説の原稿も(当初の予定から滅茶苦茶に狂ってはいるものの)まあまあ順調に推移しているし、取り敢えず5月に出す予定だった一作は確実に〆切に間に合うような見通しだ。
もう一作も「まあなんとかなるかな」と思えるようにはなってきた。
と、そう思ってコルクボードの「買っておきたい物リスト」を見て、かなりの金額のブツ(一人用ソファとかタブレットとか……)が並んでいるのにまた気落ちする僕なのであった。