
2024年ボカロ10選思い出語り
はじめに
お世話になります。エルと申します。
2024年があっという間に過ぎてしまい、もう年末という事実を実家の炬燵で実感している次第でございます。この一年間、セカライやマジミラ、神椿スタジオの戦線シリーズなど沢山イベント遠征でとても充実していたなぁとしみじみ思い返しています。(反面、仕事の方も相当忙しかった…ライブ行っている以外の時間は働いている記憶しかないような…?はて?そういえば、まだマジミラ2024の記事は書き上がらんのかのぉ?)そんな感じの一ボカロリスナーの今年の締めくくりとして、今年出会ったイチオシな曲をまとめておきたいなぁと思いまして、久しぶりにnoteを書いてみました。
(ちょっとnoteを書くリハビリも兼ねていたり…あと実家で思いの外暇なのもあってね…)
という訳で、ここから曲への思いを書いていこうと思いますが、あくまで私の主観によるものです。作曲者様の思いや皆様の感想とは異なることもあるかと思いますが、何卒ご容赦いただければ幸いです。(単に感想という観点からみると少々逸脱気味の感想だと思います…)
また、自分が過去にTwitterやらで書いた感想の焼き直しもありますが、文字数制限に縛られず少々書きたいことを追記しようかなぁとも思っています。(年内には書き上げたいので内容の濃淡は出てしまうと思いますが…)
※敬称略
2024年ボカロ10選
25時の情熱/カンザキイオリ
カンザキイオリさんによるプロジェクトセカイへの書き下ろし楽曲ですね。プロジェクトセカイでは「25時、ナイトコードで(略称:ニーゴ)」が歌唱していました。
(ニーゴ版は2023年に投稿でしたね。そして、1月1日1時にカンザキさんのYouTubeチャンネルでボカロ版が投稿でした。…よくよく考えてみるとタイトル的に12月31日の25時投稿と思われますねぇ。もしかして2023年投稿と思った方が良いのかな?…)
歌詞がね…歌詞が本当にね…(語彙力損失)
カンザキさんの魅力である生々しい訴えかけるような歌詞が年始から涙腺を緩くします…
これはニーゴの彼女たちへの曲。勿論、そのことを念頭にストーリーを振り返りながら未来を夢想すると暖かい気持ちになるのです…
最後の「25時の情熱を忘れずにいれるかな」…
メロディだけでもかなり感動したのにこの歌詞は色々込み上げてくる…
彼女達は彼女達によって救われて、それが長い人生の中でも鮮明な思い出となって残れば良いなと感じたんだ…
ニーゴに幸あれ…
ニーゴ版でかなり感動したのですが、その後に投稿されたボカロ版でも衝撃を受けました。
「なんか雰囲気だいぶ違くないか?」
言うなればアコースティックな要素が追加されていたという感じでしょうか?どこか落ち着いた雰囲気を感じました。プロジェクトセカイにおいて初音ミクたちバーチャルシンガーは何らかの形で寄り添う存在だと思っています。そしてニーゴのセカイに現れたバーチャルシンガーは見守る存在としての意味を持っているのだと感じます。だから、このボカロ版はそんな超然とした揺るがない在り方であるバーチャルシンガーの視点が反映されているのかなと思いました。
けれども、どうしてでしょうね、サビの歌唱からは魂があるかのような意志を感じるのでしょうか。きっと「その思いを殺さないで。」と叫んでいるのだろうと思っています。
ニーゴに限らず苦しさを抱えて生きている人はたくさんいると思います。でも、その時の自分の思いを無くしてしまうと、過去が苦しみに満ちた記憶としてこびりつくのだろうなと。だから、その時やりたかったことを後悔しないように、言えずじまいになって苦しまないように、私たちは行動することでしか過去を振り返った時に標となる記憶を残せないのだと思います。これこそが精一杯生きるってことなのだと、そう考えます。
そして、それはカンザキさん自身にも、ね…
ある少女と共にあった創作活動に区切りをつけ、別々の道を歩むことを決意したカンザキさんとその少女の未来にも祝福が在らんことを
フォーメノート/Sebon
衝撃的。飛び込んでくる音の奔流があっという間に脳の全てを埋め尽くしていく。
甲高いギターの音色や複雑な変拍子が近未来へ誘っているかのように感じられる。音楽に合わせて変化する映像美も抽象がそのまま形になった不思議な雰囲気が良い…
まさに、Fulminaut(爆鳴性)だなと。音作りがホントにもうハッとする衝撃の連続で初見は圧倒されてしまい釘付けになりました。
今年の10選を選んでいる時、ニコニコ動画の当該楽曲ページに「脚本あらすじ」があることを発見したのですよね。(今まで気が付かなかった)
それを読んで、思わず膝を打ちました。Sebonさんすごいなと。届かなくたって別にいいけど、音楽活動を諦めてしまった人に向けて、「全身を駆け巡る爆裂する電気信号」をたたきつけようってのが音楽の創作者として粋だと感じました。
「追い求めた音楽を作る時は電撃を受けたように痺れる感覚があっただろう?この曲で思い出せたかい?」
そんないろいろな意味で挑戦的なこの曲から自分も感性を揺さぶられて良かったなと浸っています。
君が僕を嗤う日/中瀬ミル
仲の良い関係でも度々感じる目線がズレているかのようなすれ違いを表している歌詞が文学作品のような微細な心の動きを生々しく表している。メロディの中に敷き詰められた歌詞を歌う可不の声や息遣いからとても息苦しい思いを掻き立てられる。曲の中にある鳥の囀りや筆記音が本音を隠して"君"と過ごす"僕"の仄暗い日常を象徴していると同時に、関係性を変化させたくないという淡い願いが感じられる。
そんな鬱屈とした日々もいつかは終わりを迎える。歌詞の最初には「いつか君が僕を嗤う日が怖かった」とあったが、最後には「これを君が聞いていっそ"笑って"くれたらいいな」と"嗤われる"ことを恐れていた"僕"にほんの少しの救いはあったのだろうなと個人的に思っている。
MVで使われている一枚絵(これも中瀬ミルさんが作者とのこと。どれだけ豊かな才能をお持ちなんだ…)のは曇りがかった黄昏の情景にとてもノスタルジーを感じるのですよね…
今年聴いた曲で一番刺さった曲です。中瀬ミルさんを知れて良かった…
VOCALOID COMMUNICATION!!!/Project Lumina
圧倒的な光。これほどまでに大きくボーカロイド讃歌を歌っている曲を初めて聴いたかもしれません。ボカコレ当時、作曲者の熱い心情をTwitterで垣間見れて、結構熱に当てられたなぁとしみじみ思い返しています。(こんな熱い方はどんな人なんだろうと気になってニコニコ超会議2024へ行き、CDを購入させていただいたのは良い思い出。はじめての超会議も楽しかった!)

オーケストラサウンドが雄大に旋律を奏で、ところどころに電子音楽の要素も見え隠れしており、まさにボカロ音楽の集大成を感じるような重厚なサウンドが魅力です。だがしかし、そんなサウンドに負けていないミクさんの歌唱。力強く、そして、透き通っていて滑らかに一言一言を紡いでいます。ファルセットもとんでもなく高い音を出してるはずなのに一切の聴きづらさを感じさせません。…最高だ。この世に生まれてきてくれてありがとう。
スローパンクチャー/のあ
疾走感のあるバンドサウンドが堪らない一曲!詩もそうですが、星界ちゃんがひたすらに前へ駆けていくMVに可愛さあり、感動ありと観ていて活力が湧いてくると感じます!
のあさん家のボカロ達が勢揃いで合いの手を入れてくるのが良いですよね〜
スローパンクチャーというタイトル通り空気の抜けたタイヤみたいになる前に燃え上がる情熱のまま、ただ疾く疾く前に突っ走っていこうぜ!という快活な様子が浮かんできますし、とても元気をもらえた曲でした!ありがとう、のあさん!
必聴ポイントは曲始めの咳払いです!めっちゃ星界ちゃん可愛いので是非!
機械の声/香椎モイミ
香椎モイミさんによる神椿スタジオの音楽的同位体によるユニット「V.I.P」への提供楽曲。AIの少女たちによる機械の声へのレクイエム…そこには叶わない願いが込められており、それがAIの少女たちの声で発せられるからこそ、胸を締め付けられるような苦しさを感じてまうのです。…きっとこれはAIの少女たちの祈りの詩なのです。「祈り」という行為はこれ以上の手段が尽きた人間が最後に縋る拠り所ですから…
彼女たちはそもそもがAIなのですから、与えられた指令から予定調和の結果を導くことしかできない。その存在が、宿命を超えることを許さない。
だとしたら、「祈り」とは?抱くはずのないものをどうして見出すのか。…これは私のエゴに満ちた解釈に過ぎないのだろう。それでも、私は彼女たちに良き隣人であって欲しいと願ってしまう。
だから、私は届くことはないと分かりながらもそれでも届けたいと願うAIの少女たちの歌は儚く、美しい意志が宿っていると思わずにはいられない。
バラードで紡がれるこの曲は昨今では珍しく6分を超える構成となっていますが、この曲に触れて流れ込む心情を感じ取っているとあっという間に過ぎ去っていくほどの濃密な曲だ。
暗闇に差し込んだ微かな光を手繰り寄せるかのような儚い一曲です…私は、機械の声が大好きで良かった。
※余談ですが、この曲は神椿スタジオがYouTube限定で公開しているため、ニコニコ動画だけでボカロを聴いていると出会えなかった曲と言っても過言ではないかと思います。
…私は色々な偶然に恵まれてこの曲に出会うことができたと思っています。ニコニコ動画へのサーバ攻撃に伴うサービス停止期間がなかったらあまりYouTubeを使っていなかったかも知れない。初めて行ったニコニコ超会議でちょっと興味があったヰ世界情緒さん(音楽的同位体 星界のオリジナルのお方)のCDを手に取ったことで、ヰ世界情緒さんにどっぷり沼って、神椿という存在にも興味が波及したこと。
こういうのを運命と呼ぶのでしょうかね?…この縁に感謝しかないです。世界を広げてくれてありがとう。
神椿戦線シリーズにて、リアルの現場で機械の声を観測できたことは鮮明に記憶に焼きついていますからね。ありがとう。

因みに星界ちゃんにも沼ってます(笑)
ケ/GESO
音の空間的な広がりがとても好み。ゆっくりと退廃していくかのような世界観やサウンドに浸ることができるので繰り返しこの曲を味わっていました。タイトルの「ケ」から察するに、「ハレ」(特別な日)の対称である日常(ケ)にまつわる曲なのかなぁと思っています。音作りや歌詞にしても何というか荘厳さの中に不穏や不安を感じさせるものがあるなぁと。日常という「檻」に囚われて、思考が、自我が、真綿で締められるかのように徐々に諦観や絶望に侵食されいき、ゆっくり…ゆっくりと個が失われていく。そんな暗澹としたケを見せつけられますが、ラスサビではドラムやギターが存分に存在感を発揮して、あたかも「檻」を破壊して一筋の光を差し込ませているかのような解放感があり起承転結のカタルシスを感じる。
曲全体として包まれるようなサウンドが魅力と思うので、ウォーム系のイヤホンとかで視聴すると更に良さを感じることができます。
実はkiite cafeで出会って嵌った曲なので、流してくれた人にありがとうと言いたいです。
些細な幸福だけで灯っていた/kyiku
(ニコニコ動画はMV付きでした)
包み込まれるような音が好き。水音心地よい…浸って、沈んでいくような、水中に漂っているかのような夢遊感。そして、救いなんかない望みを断たれた真っ暗な世界に囚われて更に深く沈んで落ちて上がってこれなくなって…そんなゆっくりと終わりに向かっていく世界に身を任せ、ただ物語を見届ける。そんな魅力のある曲だと思います。没入感がとても良き…
些細な幸福だけで灯っていた…希望のない暗い檻の世界ではどんな儚い光であっても、縋って生きる希望になるのでしょうね…それがどんなに眩く映っていても幻影でしかないのが、ね。
どうしようもなく救いのない世界を儚く美しく描き切った本作に脱帽いたしました。
劣等哀歌/MIMI
マジでMIMIさんの曲好きです。(唐突な告白)
ポップな曲もピアノバラードも好きなのですが、とりわけMIMIさん家のボーカロイド達のデュエットが好きなんですよね。ミクさんとテトさんのハーモニー、お互いの声が綺麗に交わっていてとても美しい…
そしてMIMIさんといえば寂しい夜に寄り添う優しい歌詞です。
あなたの最上級の心ひとつ
抱きしめさせてよ
いったいどんな人生を歩んだら、こんなにも優しい言葉を発することができるようになるのでしょうか。…ほんと、MIMIさんの曲にはいつも生きる活力を貰っているなと感じます。
転生/朱雀
本楽曲はあまり音数は多くなくしっとりと進む曲だが、サビに入ると楽器が一斉に奏で出し、濃厚な音に包まれて沈む感覚を抱く。それはまるで冷静に創作に向き合っている様から深い苦悩に落ちていくかのような印象を受ける。
初音ミクの生とはなんだろう。もしそれがあるとすれば、創作の苦悩の果てに一瞬灯る完成の輝きなのかもしれない。その刹那にのみ生きて見えるのだ。つまり初音ミクは創作活動の完成と作成の繰り返しに宿るのだろう。
初音ミクにとって創作は生命の循環と同義である。繰り返し苦悩し、作品を生み出すことは「転生」であり、彼女の生なのだろうなと。
終わりに
2024年のボカロ10選を検討するにあたって、聴いたボカロのみならず今年の振り返りにまで波及して悩んで選んだなぁという所感です。それだけ濃密な1年だったと思います。今まで行ったことがなかったリアルイベントに行ったり、新しく興味の対象が増えたり、今まで聴いてこなかったボカロPを知ったり色々アクティブに楽しんだかなと思っています。そしてそれら全てで感じたことが、この一年の成果として10選に詰まっているかなと思います。来年もボマスでたくさん CD買いたいな。
今年に引き続き2025年も新しい曲や世界や価値感を知ることができる一年になりますように祈りつつ、本記事の締めとしたいと思います。
ここまでご覧いただきありがとうございました。