最新版 ERPシェア率・国内の中小企業1300社を調査

ノークリサーチの公開資料「2023年 中堅・中小市場におけるERPの社数シェアと有力な差別化ポイント」によると、国内ERP市場のシェアは大手ベンダーが依然として大きな割合を占めています。

2023年度 各ERPのシェア率ランキング

1位 37.0%:SMILEシリーズ(V/BS/Air):OSK(大塚商会)
2位 28.8%:GLOVIA smart / iZ / SUMMIT:富士通
3位 26.0%:SAP ERP/ SAP Business All‐in‐One:SAPジャパン
4位 16.6%:SAP Business One:SAPジャパン
5位 9.5%:奉行 V ERP:OBC
6位 9.0%:OBIC7:オービック
7位 7.7%:MJSLINK/Galileopt(NX‐Plux/DXを含む):ミロク情報サービス
8位 7.5%:スーパーカクテル Core/イノーヴァ:内田洋行
9位 7.3%:Microsoft Dynamics 365(Business Centralを含む):日本マイクロソフト

※年商500億円未満の中堅・中小企業1300社(日本全国、全業種)(複数回答可)

特にグローバル系のSAPやOracle、Microsoftといったベンダーは大企業向けを中心に高い導入実績を持ち、業種や規模に応じた豊富な機能やサポート体制を強みにシェアを維持している。一方、富士通や日立製作所、NECなど国内の大手IT企業も、中堅・中小企業から大企業まで幅広く対応できるERPパッケージやクラウドサービスを提供しており、国内独自の商習慣や法制度、会計基準に対応できる強みを活かしてシェアを伸ばしています。

よりクラウド型が加速している

こうした中、近年はクラウド型ERPの需要が急速に高まっている点が大きなトレンドとして指摘されています。特に、サブスクリプションモデルで運用コストを平準化しやすいクラウドERPや、企業のDX推進を後押しする高度な分析機能・連携機能を備えたソリューションが注目を集めています。中堅・中小企業も以前ほどコストをかけずに本格的なERP導入に踏み切りやすくなっており、その結果、導入企業数が増加し市場規模が拡大していると考えられます。

今後の動向としては、まずクラウド移行の加速が見込まれます。従来型のオンプレミスERPを利用している企業が、段階的にクラウドへのリプレイスを検討するケースが増加するでしょう。また、ERP単体だけでなく、周辺システムとの連携を含めた“プラットフォーム”としての活用がさらに進むと予想されます。財務会計や人事給与だけでなく、データ分析ツールやCRM、RPAなどを統合し、企業の意思決定スピードを高める取り組みが加速するでしょう。加えて、国内ベンダーの場合は日本特有の制度改正(インボイス制度や電子帳簿保存法など)への迅速な対応や手厚いサポートが強みとされており、導入企業が増える要因になっています。

中堅・中小企業向けのERPの競争も激化

一方で、大企業だけでなく中堅・中小企業向けのERPの競争も激化しており、低コスト・短期間で導入できる製品が支持されやすい傾向があります。ベンダー側も機能のモジュール化やカスタマイズのしやすさをアピールすることで、多様なニーズに応えようとしています。こうした状況から、ユーザー企業は自社の業務フローや業種特有の要件に合わせたベンダー・製品選定を行い、いかに早くビジネス価値を享受できるかが重要視されると考えられます。

AI×ERPの未来を予想してみる

今後のERPには、単に基幹業務を管理するだけでなく、企業の成長と変革を後押しするような新しいアプローチや技術が求められると思います。たとえば、AIや機械学習の高度な活用によって、需要予測や在庫最適化をリアルタイムに行い、経営判断を自動的に提案してくれるERPは非常に面白いでしょう。

また、チャットボットや音声アシスタント、自然言語処理の機能が組み込まれ、担当者が質問を投げかけるだけで必要な数値や帳票が瞬時に生成・分析できるようになれば、業務のスピードと柔軟性が格段に上がります。

カスタムERPの導入は、さらに加速

近年注目されている「ローコード/ノーコード」ツールを取り入れ、ユーザーが自分で業務プロセスを設計・修正できるERPも魅力的です。以前は技術的にも自社でカスタムするには、SAPを全て知った上で…といった感じでしたが、こうしたツールを活用すれば、業務担当者がIT部門や外部ベンダーに依存しすぎることなく、新しいフローやアプリケーションの追加を素早く行えるため、ビジネスの変化に柔軟に対応できます。

そもそもマスは今後も増えるのか!?

個人的な見解ではありますが、ERPを導入する企業は今後さらに増えていくと考えられます。大きな要因として、まずDX(デジタルトランスフォーメーション)の加速が挙げられます。どの業界でも情報のデジタル化や業務の自動化が進められており、ERPはその基幹を担うシステムとして注目を集めています。紙やエクセルで行っている企業がそもそも減りましたし。
売上管理はもちろん、今ではネットのシステムに依存しない企業や事業の方が少ないとも言えます。
そういったシステムと連携できるERPは、今後さらに需要が増すでしょう。

イメージとしては、販売管理システムや在庫管理システムだけ使ってたけど連携方法が古くて使い物にならない…とか倉庫管理や配送管理まで一つにまとめて管理したいという企業が必然的に増えていくと思います。

また、多くのERPがクラウド型でのサービスを提供していることから、初期コストが大きく抑えられ、より手軽にERPを導入できる環境が整ってきました。特に、中堅・中小企業にとっては、大企業向けの高機能なERPを導入する必要がない場合でも、必要な機能だけを柔軟に取り入れられる安価でコストパフォーマンスの高いクラウドERPが増えていくと思います。

国産ERPにはとにかく追い風

大企業やグローバル展開している企業においては、海外ERP(SAP、Oracle、Microsoftなど)の導入実績が依然として高く、世界標準の機能や多言語・多通貨対応を備えている点が支持され続ける傾向があります。

一方で、日本特有の商習慣や制度改正(電子帳簿保存法、インボイス制度など)への迅速な対応、きめ細かなサポートを求める企業では、国内ERPベンダーを選択するケースが増えており、実際に中堅・中小企業向けを中心に導入が進んでいます。

国産ERP『キャムマックス

また、近年のクラウドERPの普及やサブスクリプションモデルの拡大により、中堅・中小企業の導入ハードルが低下していることも、国産ERPにとって追い風になっています。日本の業務慣行に合わせた機能を最初からパッケージとして備える国産ERPは、カスタマイズの手間やコストを抑えられるケースが多いことから、比較的小規模な企業を中心にシェアを伸ばす可能性があります。

強みを活かしやすい領域でどれだけ戦えるのか!また国内ベンダー自体も今後どんどん参入し増える可能性があるでしょうから…国内の競争の方が激化しそうだなと個人的には思いますね。

いいなと思ったら応援しよう!