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日産e-POWERの原点:幻のインフィニティ エマージeが語る未来への道
日産のコンセプトカーが示す未来
自動車メーカーは、常に未来を見据え、革新的な技術を搭載したコンセプトカーをモーターショーなどで発表します。
これらのコンセプトカーは、単なる夢物語ではなく、未来の自動車技術の方向性を示す重要な役割を担っています。
今回注目するのは、日産の高級ブランド、インフィニティが2012年に発表したコンセプトカー「エマージe」。
この幻のモデルこそ、現在の電動化戦略の要である「e-POWER」の原点とも言える技術を秘めていたのです。
インフィニティ エマージeの衝撃的なデビュー
2012年、カリフォルニア州で開催された「ペブルビーチ・コンクール・デレガンス」。
世界中の名だたる名車が集うこの場で、インフィニティは異彩を放つ一台を発表しました。それが「エマージe」です。
全長4.4m級のコンパクトなボディに、ロングノーズを持たないミッドシップレイアウト。
これまでのインフィニティのデザインとは一線を画す、流麗で美しい2ドアクーペは、大きな注目を集めました。
この斬新なスタイリングは、エマージeが単なるコンセプトカーではない、革新的な技術を搭載していることを予感させました。
エマージeの革新的なパワートレイン
エマージeの最大の特徴は、そのパワートレインにありました。
1.2リッター直列3気筒エンジンを発電専用とし、2つのモーターで後輪を駆動するハイブリッドシステムを採用。
システム総合出力は402馬力、最大トルクは驚異の1001N・mを発生し、0-97km/h加速は4秒という俊足ぶりを発揮しました。
さらに、リチウムイオンバッテリーを搭載し、約48kmのEV走行も可能とするレンジエクステンダーEV方式を採用。
これは、現在のe-POWERに通じる、エンジンを発電に特化し、モーターで走行するという基本コンセプトを明確に示していました。
幻に終わったエマージeとe-POWERへの進化
革新的な技術を搭載していたエマージeでしたが、残念ながら量産化には至りませんでした。
レンジエクステンダーEVという方式も、その後の主流にはなりませんでした。
しかし、エマージeの開発で培われた技術は、確実に次世代へと受け継がれていきました。
日産は、この経験を活かし、発電用エンジンと駆動用モーターを組み合わせたシリーズハイブリッドシステム「e-POWER」を開発。
2016年にコンパクトカー「ノート」に初搭載し、現在では日産の主力パワートレインの一つとして、多くの車種に採用されています。
エピローグ:過去から未来への架け橋
現在、私たちが当たり前のように享受している自動車技術は、過去の数多くの挑戦と試行錯誤の上に成り立っています。エマージeは、その歴史を語る上で欠かせない一台と言えるでしょう。
幻のコンセプトカーとして姿を消したエマージeですが、その革新的な技術はe-POWERとして現代に蘇り、未来のモビリティ社会を支える力となっています。
過去の遺産は、未来への道標となる。エマージeは、そのことを雄弁に物語っているのです。
まとめ文章
日産のシリーズハイブリッド「e-POWER」の原点を探ると、2012年に発表されたインフィニティのコンセプトカー「エマージe」に行き着きます。
ミッドシップレイアウトの美しい2ドアクーペであるエマージeは、1.2リッターエンジンを発電専用とし、モーターで後輪を駆動する革新的なパワートレインを搭載していました。
このレンジエクステンダーEV方式は、量産化には至りませんでしたが、その技術はe-POWERへと進化し、現在の電動化戦略を支えています。
エマージeは、過去の挑戦が未来を創造することを教えてくれる、貴重な存在と言えるでしょう。
こちらでも詳しく解説⇒日産エマージeの魅力を解剖!美しいデザインと未来のハイブリッド革新技術の真相に迫る!