なんで猫は「ねこ」と呼ばれるの?語源にまつわる3つの有力な説
猫のかわいらしい姿を見ていると、ふと「なんで『ねこ』って呼ばれているんだろう?」と疑問に思うことはありませんか?
実は、「ねこ」の語源には諸説あり、どれも猫の生態や歴史と深く結びついていて面白いんです。
今回は、よく知られている3つの説を紐解きながら、「ねこ」という呼び名のルーツを探っていきましょう。
1. 寝る子は「ねこ」説
猫といえば、気持ちよさそうに眠る姿を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。
実は、「寝る子」が「ねこ」の語源であるという説が、現在では有力とされています。
猫は本当によく眠ります。
1日の平均睡眠時間は約16時間、一生に換算すると3分の2ほどを眠って過ごすと言われています。
人間の平均睡眠時間が3分の1程度であることを考えると、猫がどれだけ「寝る子」なのかがよくわかりますね。
なぜ猫はこんなに眠るのでしょうか?
それは、猫が完全肉食のハンターだからです。
獲物を捕らえるためには、体力を温存しておく必要があります。
無駄に動き回って疲れてしまっては、いざ獲物が現れたときに素早く対応できません。
猫の長い睡眠は、肉食動物としての本能であり、狩りを成功させるための準備運動のようなものなのです。
「寝る子」説が定番となっているのは、猫の特徴を最も直接的に表しているからでしょう。
この由来を聞いた人は、きっと誰かに教えたくなるはずです。
ちょっとした雑学として、口コミで広まっていったのかもしれませんね。
2. 主張が入り乱れる「ねこま」説
有力な「寝る子」説がある一方で、もともとは「ねこま」と呼ばれていたという説もあります。
漢字では「禰古万」と書き、平安時代に編纂された日本最古の薬物辞典「本草和名」に、猫を指す言葉として初めて登場したとされています。
「ねこま」の意味には諸説あり、猫の眠りを愛する側面からは「寝熊(寝る姿がクマに似ている)」「寝高麗(よく眠る朝鮮渡来の動物)」「寝小魔(眠り好き)」などが挙げられます。
また、狩りの対象であるネズミにちなんだものでは、「鼠子待(ネズミを待ち構える)」「鼠神(神は『こま』と読む。ネズミの食害を防ぐ守り神)」という説もあります。
しかし、「ねこま」説には反論もあります。
「本草和名」よりも前の文献に、「ねこ」と同じ読みの「尼古」「禰己」という言葉がすでに使われているというのです。
いずれにせよ、これらの説は、肉食動物のライフスタイルである「眠り」と「狩り」の両面から語源を考察している点が興味深いですね。
3. 「ニャーニャー」はかつて「ねうねう」だった説
これまでの2つの説は、猫の見た目や生態に基づいたものでしたが、3つ目の説は「鳴き声」に着目しています。
現代では、猫の鳴き声は「ニャーニャー」と表現されますが、昔は「ねうねう」と言われていました。
あの源氏物語にも同様の記述が残されています。
この「ねうねう」に「子(小さいという意味合い)」を付けて、最初は「ねうねうこ」と呼ばれていたようですが、どうも発音しづらかったようです。
時が経つにつれて「ねうねうこ」が変化し、「うねう」が省略されて現在の「ねこ」になったという説です。
猫のかわいらしい鳴き声が、かつて「ねうねう」だったというのは、驚きですね。
まとめ
猫の語源には複数の説がありますが、それは猫の魅力的な特性が人々の想像力を刺激するからかもしれません。
今回は、少なくとも弥生時代から日本人と共生してきた猫の名前の由来を、3つの視点から見てきました。
現在では「寝る子」説が有力ですが、猫に関する事なので、今後また新しい説が出てくる可能性もあります。
ちなみに、人間が語源について熱く議論している一方で、当の猫たちは自分が「ねこ」と呼ばれていることすら知らないでしょうね。
それでも、私たちは猫の愛らしさに惹かれ続けるのです。
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