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難聴は治った
スーパーの帰り
最近はもう17:30には真っ暗
その日もそんな時間帯だったと思う
家の近くの交差点で交通事故があった
原付と車の事故
横断歩道の白線に片方だけのサンダル、辺りには血が流れていた
近くにはボロボロになった原付と助手席のドアが大きく凹んだ車
道の端では男性4人ほどが倒れている人を囲んでいた
「事故だ」
自転車を止め思わずそう呟いてしまった
私の後ろを自転車で走っていた塾帰りの小学生2人は私が自分でみることのできなかった大人に囲まれた倒れているおじいさんを無言で見ては血が流れる横断歩道を渡っていった
「救急車は呼んでますか?」
それが言えなかった私
一緒にスーパーにいった彼に言わせてしまった
「呼んでます」
慌ててながらもメガネをかけたお兄さんがこちらに向かって言葉を返す
家への進行方向でおじいさんを囲んでいた
そのまま進めば倒れているおじいさんを目撃することになってしまう
そう思って私は血の流れた横断歩道を渡った
胸のあたりからこみ上げてくるあれに苛まれながら家へと坂を登る
坂の向こう側から救急車の音
私の横を救急車と消防車が通過した
私は家につき空気の停滞を感じる部屋の小窓を開けた
木の枝の隙間から誰かさんちのイルミネーションが見えた