メンタリングのプロから学ぶ 対話に役立つ4つのスキルとは(ゲスト:池原真佐子氏)
【スピーカー】
株式会社Mentor For 代表取締役 池原真佐子氏
株式会社フライヤー 執行役員CCO 久保彩 氏
▼池原さんと受講生の仲間たちと一緒に学ぶ、実践講座の詳細はこちらから💁
自分の人生経験が誰かのパワーに
久保彩氏(以下、久保):池原さんの講座は今回が2回目の開講になるんですが、1回目は皆さん非常に満足度が高かったようで、私たち運営側に直接感謝の声を届けていただいた方もいらっしゃいました。実際池原さんから見ていかがでしたか?
池原真佐子氏(以下、池原):4ヶ月という短い間でしたが、とても濃い時間を過ごしたなと思っています。最終日に受講生の皆さんから、自分たちの変化についてパワーポイントでまとめたものをプレゼントしていただいたんです。
それを見ていると、日常的な対話が上手くなったという声ももちろんあるんですが、部下や家族との関係性が良くなったという声がすごく多くて嬉しかったです。
久保:それは素晴らしいですね。人との関係性が良くなると、自分の気持ちもすごく安定しますよね。
池原:また、講座の一つの軸として、自分のキャリアをちゃんと見つめ直そうというものがありました。メンタリングは自分の人生経験を棚卸しして、それを差し出すことで誰かの役に立つという技術なんです。4ヶ月かけて仲間と一緒に自分を深く知っていくことで、色々な発見があったという声も多くいただきました。
久保:テーマは「誰かのためのメンタリング」ですが、自分を知ることにも繋がるんですね。
池原:皆さん一人ひとりが素晴らしい人生を生きてきて、成功や挫折、苦しかったことなど色々あると思うんですが、それ自体が財産だと思っています。
久保:前回、「この講座はキャリア全般が範囲」とおっしゃっていたと思うのですが、メンターになると考えた時の「キャリア全般」とはどういうものなのか、をお伺いしてもよろしいでしょうか。
池原:例えば何かの領域に特化したメンターというのはイメージがつきやすいと思うんですが、どう生きていくか、仕事はどうするか、例えば育児や介護など、人生って色々なことがありますよね。私たちがキャリアや人生を前に進めるためには、それをパーツごとでは考えられないと思うんです。包括的に自分の人生を見た上で何かを決めていくので、やっぱりキャリア全般を扱える人というのが必要だと思っています。
メンタリングの「4つのスキル」とは?
久保:今日ご参加いただいた方から、「メンタリングとコーチングの違いとは?」というご質問をいただいております。
池原:良い質問ですね。スキル面で言うと、コーチングは主に傾聴と質問によってクライアントの中から気づきを引き出すものです。規定上、「アドバイスはしてはならない、答えは全てクライアントの中にある」というのが大前提で、ロールモデルである必要も特にないんですね。一方でメンタリングスキルは、傾聴や質問をした上で自分の経験に基づいたアドバイスをするというのが大きな違いです。また、メンターはロールモデルやパーツモデルといった、自分が経験したい人生のちょっと先にいる人というイメージです。
久保:なるほど、クリアになりました。今のお話にもありましたが、傾聴やアドバイスといったメンタリングの4つのスキルについて詳しく伺ってもよろしいでしょうか。
池原:まずは相手の話を深く聞く「傾聴スキル」、話を深掘りしていく「深掘りスキル」、深掘りした後に相手の課題の本質に対してアドバイスをする「助言スキル」、最後に話をまとめて行動に繋げる「クロージングスキル」、これを4つのスキルと呼んでおります。
例えば傾聴スキルの1つに「間のとり方」があるんですが、実際にどういう風にやるのか、自分の癖って何なのかということを、講座では一つひとつ丁寧にやっていきます。
久保:確かに間のとり方ってあまり意識できていないですね。今日ご参加いただいている方の中にも「沈黙が怖くてつい自分ばかり話してしまう」とおっしゃっている方がいますが、そういうケースって多いですよね。
池原:少し間が空くと大丈夫かな、と不安になることってありますよね。ただ、自分が話を聞いてもらう立場になると、自分の言葉をゆっくり待ってくれて、自分の話に耳を傾けてもらえるってギフトなんですよね。メンタリングでは批評や否定などジャッジもしないので、そういう経験ってすごく大事だと思います。
そして2つ目のスキルでは、傾聴しながら深掘りに入っていきます。深掘りは「質問」だけではなく、相手の話を深めていく「リフレーズ」というテクニックがあります。
久保:リフレーズと言うと、相手が話していることを繰り返すということでしょうか?
池原:そうですね。相手が話している語尾や話の中の大事なキーフレーズを掴んで繰り返すことで、どんどん相手の話が深まっていく傾向にあります。例えば、相手から「今日疲れてるんだよね」と言われたとして、「疲れてるんだ」と繰り返してあげるだけで、「そうそう、こんなことがあって〜」と話し出すと思います。
久保:深掘りして相手の言葉を引き出すということですね。その上で3つ目の助言ですね。
池原:助言の際はまず最初にタイミングがすごく大事です。しっかりと話を聞いてもらった後に助言をされると、やっぱり信頼関係ができているので受け取りやすいですよね。また、話の表面だけに助言するのではなく、話の奥にあるものに対して助言しないと根本的な解決策にならないと思います。例えば、「転職したい」という相談があった時に、「どうして転職したいと思うの?」「そもそも仕事に何を望んでるの?」というように掘り下げていくと、「上司との関係性で悩んでいる」などの違う課題があったりすると思うんですよね。だから助言をするのは、掘り下げた先にあるものだというのが前提です。
久保:なるほど。自分が経験していないことも掘り下げていくことで、自分の他の経験から言えることがあるかもしれませんよね。あとは「言い方」も大事なんですね。
池原:やっぱり助言する方ってつい気持ち良くなってしまうんですよね。まず助言をする前に「少し助言してもいいですか?」と1回断りを入れると相手も受け取りやすくなると思います。
また、自分の経験から言えることを端的に話して「こんな考え方も1つの参考としてあるんだけど、どう?」と相手に返すのが大事ですね。
久保:そして最後はクロージングですね。
池原:誰かと向き合って1対1で相談に乗ったり、話をしたりする時に勿体無いのが「そろそろ時間なので、今日はこのへんで」というようにさらっと終わるケースですね。そうではなく、しっかりとステップを踏んでクロージングすると実はすごく満足度が高まるし、行動変容が違うんですよ。
具体的に何をすればいいかと言うと、「今日はこんな話をして、こんなことに気づいたね」と簡単でいいのでまとめてあげる。次に、「今日はこんな話をしたけど、どう思った?」と相手に自分の時間をちゃんと評価してもらう。人って自分が使った時間に対してはポジティブな評価をしたいという感情があるので、大体皆さん「すごく良い時間でした」と言うんですよね。実際口に出すことで、「やっぱりこの時間は私にとって良かったんだ」と思えます。
そして最後に、ちゃんと褒める、鼓舞する、励ます。このステップがあるだけで格段に違うので、皆さんにもぜひやっていただきたいなと思っています。
自分を深く知り、一生もののメンタリングスキルを手に入れる
久保:池原さんの講座の特徴は、メンタリングに関する様々な理論が含まれているということ、もう1つは実践ができることだと思っています。前回の講座でも、講座内で受講生の皆さん同士で演習をやってみる時間もありましたし、インターバル期間中にも皆さん何回も練習されていましたよね。池原さんから見て、この講座のポイントや構成の意図についてお伺いしてもよろしいでしょうか。
池原:DAY1〜3では一通りスキルを学んで実践する。その中で、自分のキャリアについてのモヤモヤを仲間とメンタリングし合うことを通じて、自分を深く知っていただきたいなと思っています。そしてDAY4で、講座が終わって自分のキャリアを歩み出す時に何を持っていけるのか、というところを言語化できるような設計にしています。
久保:ありがとうございます。どんなにポジティブな人でも、なかなか人には言えないモヤモヤってありますよね。それを誰かに話すことでだんだん理解ができ、講座で出会った方からのアドバイスによってモヤモヤが晴れるかもしれない。そんな体験をする一方で、自分も誰かのメンターになり、自分の経験が誰かのモヤモヤを晴らすヒントになる、という体験もできる。本当にポジティブなループの世界ですね。
池原:そうですね、メンターにもなるし、メンティーとしての体験も存分にしていただくという4ヶ月間ですね。
久保:しっかりした理論を学んだ上で、それをもとに実践できるというのが本当に素晴らしい時間だなと思います。最後に、受講を迷われている方に対して一言いただけますでしょうか。
池原:メンタリングスキルは、一生使えるスキルだと思っています。ぜひ皆さんと一緒に4ヶ月間、自分を知る旅に出られたらいいなと思っています。必ず楽しい旅になると思います!
▼セミナー全編はこちらから💁
▼池原さんと受講生の仲間たちと一緒に学ぶ、実践講座の詳細はこちらから💁