「ありたい自分」から考えるキャリアデザイン(ゲスト:澤円氏)
【スピーカー】
株式会社圓窓 代表取締役 澤円 氏
株式会社フライヤー 執行役員CCO 久保彩 氏
肩書きよりもタグ
久保彩氏(以下、久保):
本日のイベントは『「ありたい自分」から考えるキャリアデザイン』というテーマですが、まずは澤さんの今のお仕事をお伺いしてもよろしいでしょうか。
澤円氏(以下、澤):
今は企業の顧問やエバンジェリストだったり、生成AI活用普及協会の理事や日本カーオブザイヤーの選考委員など、本当に色々とやらせていただいているんですけど、そういう肩書きよりも僕はタグの方が大事だと思っていて。
僕のタグで言うと、「テクノロジー全般」「サイバーセキュリティ」あとは「マネジメント」などの組み合わせが僕のキャリアをずっと作ってくれたというところがありますね。あとは「セルフブランディング」「マルチキャリア」「多拠点生活」といったところなんですけど、「セルフブランディング」の延長線上での「マルチキャリア」なので、今回はまず「セルフブランディング」というのを皆さんに意識してもらえるといいんじゃないかなと思っています。
久保:なるほど。ちなみに澤さんは色々なタグがあると思うんですが、今のお仕事のポートフォリオってどんなバランスなんでしょうか?
澤:今はだいたい4(企業との契約):4(講演):2(メディア・書籍)というバランスですね。会社員時代は企業との契約が100%だったんですが、15年位前からだんだん講演の仕事が増えていって、企業の仕事の方が僕にとって重荷になったんですよね。自分はオンラインの環境でいくらでも講演できるとも思ったし、もっと稼ぎたいという気持ちもあって、会社を辞めることにしました。講演だけでなく、企業の顧問やアドバイザーというのも少しずつ増えていった形です。
久保:今回のテーマである「ありたい自分」というものに、澤さんは狙ってそうなっていったというイメージなんでしょうか?
澤:いや、刹那的にひたすら生きていたらこうなったっていう感じですね。僕は一言で言うと「八方美人」なんですよ。要は色々なところで良い顔をしたいんですけど、相手に合わせた自分ではなく、全て素の自分でいるっていうのを条件にしています。あとは誰とでも同じような距離感でずっとやり取りするという「等距離外交」。距離を縮めたくないという意味ではなく、みんなと同じように近しく会話をしたいと思っています。この2つが僕を支えていて、ある意味「ありたい自分」ですね。
わがままは悪いことなのか?
久保:先ほど素の自分でいるというお話がありましたが、それだとわがままに思われるのではないか、という方も多いと思います。
澤:そもそも、わがままが悪いことだっていう思い込みがあると思います。わがままを抑制されるのは、みんな統一されていた方が管理する側が管理しやすいからという、社会に染められてしまっている価値観でもあるんですね。
アダム・グラント氏が提唱している、Giver(受け取る以上に与えようとする人)、Matcher(与えると受け取るのバランスを取ろうとする人)、Taker(与えるより多くを受け取ろうとし、自分の利益を優先する人)というものがあるんですが、わがままであることが問題ではなく、「Taker」であることが問題なんです。わがままである=他者からものを奪うことを正当化していると考えているのであれば駄目ですが、自分のやりたいように生きるということであれば、Takerであることとイコールにはならないんですよ。
久保:澤さんのおっしゃっている、「わがまま」というのは「Giver」にあたるんでしょうか?
澤:そうですね。自分が好きなことをするのと、他の人が喜ぶことをするのをイコールにすれば良いと思っていて。他者に対してどんどんギブをしていくことを自分勝手にやっていくと、結果的にそれがいらないっていう人は離れていくし、認めてくれる人は寄ってくるので、どんどん仲間が増えていくんですよね。
久保:自分の好きなことをやっている状態で、しかもそれが喜ばれる、周囲にとっても嬉しいことって、皆さんあるんじゃないかという話ですね。
澤:会社から言われたことをやり続けるのが仕事であって、わがままなんて言ってはいけない、自分を押し殺して他人のために貢献することが仕事であると思い込んでる人が多いと思うんです。でもそれって今、持続可能な社会を作ろうって言ってるのに矛盾してるんじゃないかって思いますよね。
人生100年時代って言われていますけど、80歳以降、40〜50代のペースで何かをやるって難しいですよね。だからやりたいことがあるならセーブせずに、前倒しした方がいいんじゃないかって思います。
自分の人生の手綱は自分で握る
久保:今回澤さんにお願いする4回の講座で、「ありたい自分」をあぶり出すステップというのをお伺いしてもよろしいでしょうか。
澤:DAY1では、「自分はどういう人間か」を考えてもらいます。例えば自分を「真面目」だと表現していても、飲み会の場では冗談を言うっていう柔軟性があるとか。誰しも「こういう側面もあるよね」っていうのがあると思うんです。その側面をあえて中心に置いてみてもいいんじゃないかなと思います。
久保:自分につけているタグの良い側面を見つけるということでしょうか?
澤:そうですね。あとは「シチュエーションを変える」ということですね。人間の性格は置かれた環境によって変化するものなので、仮にこういう環境に置かれたらどう振る舞うか、というのを考えるということですね。
久保:なるほど。私たちは自然と今の職場や人間関係とか、今置かれている環境で考えていますもんね。シチュエーションを変えて考えてみると、自分の違う側面が見えてくることもありそうですね。
澤:DAY2では自分ができないと思っていることをチェックしてもらうんですけど、それも「自分がこういう性格だから」というものから派生してると思うんですよ。「本当にできないのか?」とシチュエーションを変えて考えてみると、揺らぎが出てくると思います。
久保:できないと思ってることって本当はやりたいことだったりしますもんね。それを経て、DAY3の事前課題では「時間の使い方」を見直すということですか。
澤:自分はどんなことにどれくらい時間を使っているのかを明確にしてみて、自分が好きなことの割合がどれくらいかというのを可視化します。例えば「仕事」という大きな括りではなく、「MTG」「資料作成」とかで分割して、「MTG」の中でも「誰がいたか」「どんなテーマだったか」なども思い返してみると、「あの人とのこのテーマのMTGは楽しかったな」というのが出てくると思います。それを最大化するにはどうすればいいか、他の人とでも再現するにはどうすればいいか、というように解像度が上がりますよね。
DAY3はネガティブな評価の影響に気づく、ということをテーマにしていますが、自分に対してネガティブな評価をしていることって多いんですよ。グループワークで他の人とコミュニケーションすることで、自分をメタ思考できるわけですね。自分の一部をエイリアスとして外に出して客観視すると、これは切り離して捉えても良いなと考えられると思います。
久保:なるほど。そして最後は「自分再定義書」ということで、ここで改めてタグが出てくるんですね。
澤:DAY4では自分のタグをより具体的なものにしていくということですね。
久保:前回のcampでも、皆さん最初と最後でタグがすごくアップデートしていましたね。
澤:「初志貫徹しなければならない」「一度決めたことは最後までやり遂げなければならない」という呪いからは解放された方が良いと思います。例えば歌手の人に、「歌手なんだから歌だけ歌ってほしい」って言う人がいますけど、人間なんだから興味の幅は広くていいじゃんって僕は思います。人生はいくらでも欲張って良いわけだし、方向転換しても良いと思うんです。自分の人生は自分でデザインする方がいいですし、大事なのは自分の人生の手綱を誰にも渡さないということですね。
久保:強いメッセージありがとうございます。このcampでまず自分の「ありたい姿」を描くことで、今後自分が何をするべきか、具体的に線が繋がっていきそうですね。当たり前だけど見失いがちな自分の人生を楽しむことや、自分が自分のゲームを作るという状態を取り戻したいと思う方は、ぜひご参加いただければと思います!
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