バランスの大切さ
飼っていたメダカが、ほぼ全滅してしまった。
先週末の二日間に起きた悲劇だった。
たった二日で12匹が次々と亡くなり、残りは赤い子1匹となってしまった。
なぜ、こんなことになってしまったのか。
私はこのnoteに、メダカのマガジンを作ろうと思うほどに、これからもメダカについて書いていきたいと思っていた。
だから、メダカの話のトップ画像は同じメダカの画像で統一されてあったのだ。
マガジンの作り方が分からなかったので、そのうち気長に作っていこうと悠長に構えていたその時の悲劇だ。
やっとマガジンの作り方を習得したが、もう遅い。彼らはいなくなってしまったのだ。
メダカの寿命は2年と聞く。
最初の1日目は、寿命かなと思っていた。
でも、どんどんと亡くなっていく。
これは緊急事態だと私たち家族は警戒した。
二日目の仕事中、息子からラインが届いた。
息子『帰ってきたらメダカが一匹しか生きてない!』
私 『なんでなの! なにが悪いの?』
息子『ネットで調べたけど、病気っぽくもない。水か?』
私 『水は綺麗にしてる! これは呪詛か!? 呪いか!?』
仕事終了まで30分残っていたが、私はメダカの死因についてで頭が一杯になってしまった。
自宅に帰り、その現実を目の当たりにした私は、
「やっぱり何かの呪いか!? おかしいよね、今まで元気だったのに・・・!!」
絶望のあまり叫んだ。
「そんなわけないよ。多分、病気か、水質が悪かったかだよ」
息子が冷静にそう言った。
水は頻繁に変えている。
ろ過装置も、週に1回その時に新しいものと取り替えている。だから水は透き通っていて綺麗じゃないか。
黒いスネールも大量に発生しないように見張っていた。
だから今は、スネールの姿はどこにもない。
・・・だからいけなかったのか?
スネールは大量に発生しなければ、水質を安定させる働きをしてくれるらしいことは知っていた。その辺のバランスを、私が壊してしまったのかもしれない。
言い訳をさせてもらうと、あまりにもスネールが増えすぎると、水質が不安定になる。なによりあのままスネールが爆発的に増えてしまったら、この水槽の主役がスネールになってしまう。私はそれをどうしても避けたかったのだ。
ただ私は、メダカちゃんたちに、快適に過ごして貰いたかっただけなのに・・・。
その時心から、ドラえもんから、なんでもいいからメダカとお話ができる道具を貸してもらいたいと思った。なにがダメだったのかメダカに聞きたかった。つまり現実逃避だ。
私はこの現実を受け止められなかった。
この水槽の中は、快適で平和な世界なのだと勝手に思いこんでいた。
それは私の自己満足の世界で、メダカちゃんからしたら、全く快適でなかったのかもしれない。
自分からしたら、良かれと思ってした行動は、時に相手を傷つける。
私には、植物をすぐに枯らしてしまうという欲しくもない能力があるから、生き物もそうなってしまったのかと、とても暗い気持ちになってしまった。
「スネールの、呪い? それとも、私からの無言のプレッシャー? 私が見すぎたから?」
悲しさとともに、背筋が凍るような恐ろしさを感じる。自分が怖い・・・。
「そんなわけない! 呪いなんてあるもんか! 水温か、水質が悪いんだよ。それか、病気が感染したのかもしれない。でも、メダカちゃんの稚魚たちは全員無事なんだ! 彼らが残した子孫を、これからは大切に育てていこう!!」
息子に熱く言われて、私はうなずいた。
私たちは、病気に感染しているかもしれない最後の一匹の親メダカを別の容器に移し変えた。
水槽を洗い、石やらオーナメントもきれいにした。そして、天日干しにする。
新たな水は、カルキ抜きを使わず、一晩水をためておいて自然とカルキを飛ばすことにした。バクテリアでお水がきれいに保てるとかいう薬も入れないことにした。
翌日、親メダカがいた水槽を、稚魚たちの水槽として使うことにした。
稚魚は、毎日卵からかえり、どんどんと増えていく。
私はメダカを育てる自信を無くしていた。
今では稚魚が20匹以上そこにいる。
この子達を立派に育てていけるのか、心配だ。また大量に死なせてしまわないか、怖いのだ。
でも、メダカに愛情を持っていることは、間違いない。
自信を無くしたところで、何になるというのか。
この現実と向き合わなければ・・・!
この子達には、元気に大きくなって、長生きをしてもらいたい。
私は自分を奮い立たせた。