『ウエディングキャプテン』の仕事の本質
結婚式を挙げるお二人に、いま、聞いてみたいこと。『キャプテン』を知っていますか?
キャプテンというのは、結婚式の創り手のひとり。
『場創り』のプロフェッショナルです。
ホテルや結婚式場で見かけたこと、あると思います。わかりやすい見た目だけの説明をすると、パーティでお二人をエスコートしているひと。
とてもスマートで、かっこいい。
でも、その仕事の本質はそこじゃないのです。
フリープランナーになって式場ではないところで結婚式を創るとき、自分でキャプテンをしなくてはいけなくなりました。会社員時代もやってはきたのですが、何というか『やれてはいるけれどできていない』という感覚で、ずっと『何かが欠けている・・・』そんな気がしていました。
プランナーさんがキャプテンをされる会場さんもたくさんあります。もちろん、それもひとつの正解だと思っています。当日ずっとお二人のそばにいられるし。
だけど、ずっとそばにいることが目的なら、立ち位置はキャプテンじゃなくても良いのではないか?と、私は思っています。
わたしはキャプテンに『向こう側から』結婚式を見てほしくて。半分の月の光のこちらと向こう。新月をみつめる太陽と地球のように。そこにある月を、私の反対側から。
プランナーの『創る』と
キャプテンの『創る』は
似て非なるもの。
人は、絆という温もりを感じたい。
大切な人の想いを、この目で見て確かめたい。
それによって癒しを感じ、安心したい。
心を強く持てる確かなものがほしい。
きっとそういうものを潜在的に欲していて。
結婚式はそういう願いを叶えてくれる場所。
準備を通してプランナーがかき集めた、そんなお客様の愛や想いの元素を、結婚式というフィールドの上で、お二人やゲストの様子、時間やタイミングや動線や立ち位置、音楽やMCや料理や演出や、もっと言ったらその日のスタッフのパワーバランスやメンタルまで、様々なコンテンツとのバランスをとりながら、大切に扱いながらも、花火のように勢いを持って美しく爆ぜさせ見る人の心にしっかりと焼き付けていく、そのためのクリエイティブを現場のど真ん中で、刹那の判断で司令塔として冷静に采配している。それがキャプテンの仕事の本質であると私は思っています。
そこを求めたら、できるはずないんです。
私に。
役割が違うもの。
視点が違うもの。
花火に例えるなら
プランナーは花火を創るひとで
キャプテンは花火を打ち上げるひと。
何度も言うけど、一人で二役がちゃんとできるなら兼任でも良いんだけどね。でも分けるともっと世界が広がる予感がする。創る視点と打ち上げる視点は絶対に違うから。
私は常に未来を描いていて。『この花火、こんな色でこんなふうに咲くよ。次の花火はこんなだよ。そしてこんな景色を見せたい。』
キャプテンはそれを受けて整える。
『それだったら今日はこうだからこの順番で、このタイミングで行きましょう。そのためにここをこうアレンジしますが、この方がきっと美しく仕上がります。』『でもそれならこうするのはどうかな?』『それもひとつですが、これとこれ、どちらが優先度合い高いですか?こちらを優先するならこうした方が良さそうです。』『そうか。ではこちらでいこう。』
これがうまく行くと、結婚式の完成度はきっともっと深まる。ひとつずつ上がっても美しい花火が、感情の曲線をより美しく描ききるスターマインとなって、見た人の心により深く『想い』を届けるチカラを持つ。
これがプランナーとキャプテンを別の人間がそれぞれのプロフェッショナルの流儀の上に担うことのプロセスの本質。全てのものは混ざり合うことで進化していく。
この写真たちの笑顔も涙もハグも、事前に、そして現場でリアルなライブの温度を感じながら、どの位置に立つべきか、どのタイミングで行くべきか、どんな景色を見せて何を感じてもらうのか、結婚式という深い夜空に浮かび満ち欠けしていく儚い月の影を追い、それぞれの視点と感性で未来に想いを馳せながら、一瞬一瞬をあちらとこちらから分析した上にカタチになったものです。
もちろん、比較はできないけれど。
いなかった場合と。
だけど。
私はキャプテンがいてくれたからこそ
残すことができた美しい情景だと思っています。