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【映画感想】関係性に名前は必要か『本当に遠い所』(2020・韓国)
アマプラでたまたま見つけて観てみた。我ながら「私はこれが好きそう」を見つけ出すのがうまい。
本当に静かな映画だ。何も起こらない。ただそこで生きている人たちの人生の一部を切り取ったような映画。知らない俳優さんばかりで、それもまた新鮮だった。
好き度:★★★★☆
演出が良い
じわりじわりと関係性や本音が見えてくる。自ら語ったりしないし、説明もしない。でも伝わってくる。
印象に残っていること。
引きからのカット
引きからのカットが多く、覗き見している気分になる。観ている者はその人を完全には理解できないし、理解できないけど一緒にいることはできる。
手前と奥で別のことが行われる
手前に子どもがいて、奥で抱き合う2人がいるなど、前と後ろで意味が違うとか、もしくは聞こえてくる音と映像が合っていなかったりして、面白い撮り方だった。
すべては分からなくても
圧倒的マジョリティー側にいる、私が何を思えば良いのだろう。
ただ静かに暮らしたいだけなのに、人里離れた遠いところで暮らさざるを得なくて、そこでも村人から陰口を言われる。恋人はいるんですか?彼女はソウルに?当たり前のように質問をすることで人を苦しめることがある。
全部をわかった気にならない。変に口出しもしない。
すべては分からなくても、理解できることもある。
関係性に名前は必要か
死んでいく羊、生まれてくる羊、亡くなる人間。いなくなる、追いかける、現れる。抽象的で文学的な表現が続く。だから惹かれるのかもしれない。対になる表現が多用されているのなら、あと足りないのは「生まれてくる人間」。直接的な誕生でなくても、新しい人間として生まれ変わると捉えても良いかもしれない。
関係性や役割に必ずしも名前をつけなければならないのか?叔父を「オンマ」と呼ぶあの子を見ていて浮かんできたのはそんな疑問だった。オンマ、アッパ、親子、カップル。この関係だからこう、この人はこう、そうやって周りが決めることではない。新しく生まれ変わる人間は、そうあってほしいと祈ってしまう。