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すべてを捨てなくていいんじゃない?

手放す、断捨離、シンプルに暮らすことについて考えていたタイミングで、『ハッピー・オールド・イヤー』というタイ映画を見た。(若干ネタバレするかもしれないので、回避したい方はご注意を)

スウェーデンに滞在経験のある、ミニマリストを目指したい女性の話。まずは家の物を大量に処分することを試みるが、同居する母親に大反対される。思い出に浸らない、情を持ち過ぎない、など断捨離のコツに沿いながら物語はゆっくりと進んでいく。

新鮮な言葉の響き

タイ映画、たぶん初めてな気がする。映像の撮り方、音楽などいつも触れているものと違っていて面白かった。

英語や韓国語は言っていることをある程度は理解しながら見ているので、単語一つわからないのも新鮮だった。何を言っているのかわからなくても、タイ語の響きは好き。

魅力的な人たち

出てくる人みんな美しい。着飾ったり、メイクをバッチリしていなくても美しい。主人公ジーンの服装もよかった。シンプルな白いシャツにゆるめの黒いパンツ。あとタイの俳優さん、とてもかっこいい。知らなかった。きりっとした目がすてき。

断捨離を反対されたときにジーンが言っていた「今は私たちの時代よ」というセリフが印象的だった。力強く変わろうとする「私たち」に、私も含まれたいと思った。

すべてを捨てなくていいんじゃない?

断捨離を進めていくうちに、色んなものが発掘される。忘れていたつもりだったもの。向き合うのを避けていたもの。プレゼントにもらったもの。

持ち物を点検することは、過去と向き合い、置き去りにしてきた人間関係と向き合うことでもある。ジーンはものを減らさなければ、捨てなければと焦って手当たり次第ゴミ袋に突っ込んでいく。大事なものだけ残しておけばいい。だけど、捨てようとしているものの中に、実は大事なものも含まれていた。それに気づいたジーンは、少し立ち止まる。

抱えておきたい過去も、観光地で買ってきたダサいお土産も、必ずしも捨てなくていい。タイミングが来たら、手放してもいい。断捨離って物理的に家の中をすっきりさせるだけでなく、心の整理だよね、と気づかせてくれた映画だった。


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