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大人の真夏の大冒険⑤


◯車で約10時間かけて、青森県に行った旅行記録



 髙山稲荷神社(青森県つがる市)を後にしたわたしたちは、別の観光地へと向かっていた。ここもわたしのリクエストである。


車で約20分。



お、見えてきた!

塀が立派!


やって来たのは、それはそれは有名な小説家、太宰治の生家「斜陽館」である。


急いで撮らなきゃ、と焦っているので斜めに


 太宰治と言えば『人間失格』、『走れメロス』、『斜陽』などを書き、今でもずっと読まれている文豪だろう。
でも実はわたしは、『人間失格』も『斜陽』も読んでいない。教科書に載っていた『走れメロス』を覚えているだけの、太宰治ファンでもなんでもない女だ。


じゃあ、なんで太宰治の生家に行きたいと思ったのか?


それはただただ、文豪と呼ばれる人間が生き、形づくられていっただろう場所を見てみたかったのだ。有名な小説家というものに、漠然とした憧れがあることも関係していると思う。

太宰治を読んでいるファンが行くべき場所だとも思ったが、大勢にまぎれればバレないだろう、という逃げ道をつくって行ってみた。


 着いてみると、まあでかいことでかいこと。こんなに大きくて、凝っている家だなんて思わなかった。太宰治の父が大地主だったということで、なるほどと納得する。
 各部屋の説明書きの中には、太宰が生まれた部屋や、太宰が遊んだ米蔵と書かれていて(ほ、ほんとに!?ここに太宰がいたのか…すごい…)という気持ちになった。
太宰が『津軽』に「洋室の長椅子に寝ころんだ」と書いている〜という説明書きもあり、わたしはその部屋と長椅子を見て、思わず「うわぁ、すごいね」と夫に声をかけた。他にも金ピカのお仏壇、きれいな意匠のふすまや欄間、障子の枠、ひとつひとつに目を奪われた。
写真NGの展示室には、太宰が姪っ子に宛てた手紙や、紙に書いた落書きなど、貴重なものばかりが展示されていた。

(太宰も普通の人っぽいところがあるんじゃん)

読んだことはなくとも、太宰をとても神聖化していたので、人間っぽいところを垣間見て親近感が湧いた。写真に残して見返せないので、手紙の内容を覚えようと心の中でぶつぶつ繰り返したが、外に出るころにはすっかり忘れてしまった。悔しい。また読みたい。



 こんなに広くてきれいな家に住んでいても、太宰の気持ちは満たされるわけではなかったようで(家族の問題など?)、裕福だからといって心の隙間が埋められるわけじゃないよなぁ、なんて考えた。お金と心は比例しない。



 斜陽館には来館者がたくさん来ているので、ゆっくり見学するという雰囲気ではなかったが、太宰治の端の端に近づいたような気がした。
近くに太宰治疎開の家もあったのだが、ここにきて車で10時間移動のツケがきたのか、少し疲れが出てきて断念。

また来ることがあるといいな、と思いながら、夜のお祭りに備えて一度ホテルへ帰ることにした。



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えりぱんなつこ
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