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気に入ったお菓子缶の中



 ひとり、部屋の中からnoteを書くようになって、外の世界で「書く友」もしくは「書いている人」を見つけたいと思うようになった。
それから、自分の1ヶ月を振り返った文章を書いて、みんなで読み、話し合うという集まりに参加してきた。これまでに2回。

↓2回目の参加記録


 今月も集まりに参加するつもりで、印象的な出来事を文章にまとめておいた。でも、今月は集まりの開催がないらしい。残念だな〜と思っていたけれど、前回同様、noteに載せちゃえばいいじゃん!と思ったので載せることにする。せっかくだしね。




「気に入ったお菓子缶の中」

 一度だけ行った喫茶店が閉店していた。目を凝らすと、入口のガラスに貼られた閉店の文字。不動産の立て看板もある。わたしはなんてことをしてしまったのだろう。どうしてもう一度、行かなかったんだろう。
 引っ越し直後から、気になっていたお店だった。スーパーの帰り道で、いつも通り過ぎるお茶屋さん兼喫茶。なかなか行くきっかけがなかったが、夫と喧嘩した日に勢いでひとり入った。お茶と和菓子を食べて自分を落ち着かせ、練り切りを土産に、仲直りを迫った。      
 10/8は小雨が降る中、庭の植木の伐採撤去作業が行われていた。遠くからでも重機が見えて、バキバキと音が聞こえた。10/11は庭がまっさらになっていた。綺麗に咲いていた紫陽花の庭木はなく、所狭しと緑があって豊かだった庭はスカスカ。向こうの家が見えるまでになっていた。

あーあーあーあーあー。

わたしにお金があったなら、この家をどうにかすることができた?
ふー疲れたー、とひと息つきたいときに縁側に座る。目の前には、季節ごとの植物が広がっている。もはや、叶わない幻だ。
 6年間通った小学校よりも、昔付き合っていた人よりも。一度だけだったからこそ、時折思い出される物事がある。跡形もなくなった今、わたしの中にとどめておく。



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えりぱんなつこ
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