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Story of eri Pancake(008)

毎週日曜夜のミーティングをお休みしてしまいました。新しいお仕事を請け負うことになり、その準備作業に取り掛かっていて、もう完全に忘れていました。バンマスがログインして、それに気づいてわたしもインしたけれど、そういう(お仕事の)事情なら、今日はなしでということになり。

懸案だったピアノソロのところだけ、やり直しておくね、お仕事がんばってーとだけ言い残し、バンマスは去っていきました。ほんとはわたしにも宿題はあったような気がしてて、なんだかとても申し訳ない気持ちになって、せめて後から歌唱練習だけは聴いてほしいとお願いをしました。

音楽を作る作業は、もちろん楽しいし、まだまだ未熟ながらも、日々の発見や閃き、アイデアや胸の奥底から湧き出てくる名前のない想いに形を与えて育てる醍醐味と、その魅力に抗えない自分が、確かに存在します。けれど、未熟さゆえの限界の低さも、実は痛感しています。

こんな時はどうしたらいいのかな。バンド結成当時の目標、春までにオリジナルを3曲。それから3ヶ月とちょっと。ほぼ完成と言える1曲、あることがキッカケになって、アレンジを大きく変更して歌詞もリライト中の1曲、そして、まだ見ぬ土の中の種のような状態の1曲。

自らに課したリミットまで、もうあと数日。ここから先は劣等感を背負いながらの上り坂。気持ちも自然と俯いてしまいます。なんだかまるで自分以外の全員が完走したマラソン大会で、ゴール地点の飾り付けも撤収された夕暮れに、まぬけなゼッケンを付けたまま、とぼとぼと歩いているみたい。

そんな想いを抱いても、だからって、ただ落ち込んでる場合ではありません。この状況、この心境、これこそ、今こそ、地中の種に与えるべき水じゃないでしょうか。音楽は感情なんです。その感情には決まり事はありません。恋愛ソングや応援ソングじゃなきゃいけないルールは無いんです。

逢いたくて震えてる場合じゃありません。ナンバーワンなのかオンリーワンなのか、はっきりする必要だってないんです。なにかの想いが芽生えたら、それは音楽の種です。感情という水を与えてどんどん育てるんです。怒り、悲しみ、笑い、なんでもありです。それこそ、湧き出てきた名前のない想いなのです。

思い悩んだり、脇道にそれたり、迷走して、立ち止まって、ある時ふと、突然なにかが降りてきます。そうなったらもう、誰にも邪魔させません。世界はわたしのために旋律を奏ではじめます。それはまるで、太古の昔から人間が営んできた儀式として神さまに捧げるもののように。

感情は共有できます。想いを分かつんです。ある時は水平線に沈む太陽に「永遠」と名付けたアルチュール・ランボーのように。ある時はその太陽と水平線の自然を貫く果てしない叫びに怖れおののいて耳を塞いだエドヴァルド・ムンクのように。また、ある時は急逝したクリス・コーネルのように。

詩、絵画、音楽、そして映画も、みんな同じです。もしかしたらライブストリーミングも。この狭い部屋の片隅から紡ぎ出す、この想いに名付けた旋律が、世界に共有されて、どこかの誰かの胸に刺さる日がいつか来ることを願い、今日も水を撒き続ける、わたしです。

もなか♡えり

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