家庭で作れる次亜塩素酸水

新型コロナウイルスの騒ぎで、アルコールをはじめとした除菌剤の需要が高まっている昨今、注目されつつある「次亜塩素酸水」。
ウイルスを死滅させる効果もある、とされます。

買うと高いので、私は薬局やスーパーで買えるもので自作しています。自家消費限定ですが便利です。

【用意するもの】

1. 次亜塩素酸ナトリウム溶液
ピューラックス、ミルトン、食添ブリーチなど。
キッチンハイターなども次亜塩素酸ナトリウム溶液なのですが、「界面活性剤」が入っているので不適切。表示を確認!
うちで使っているのは実験用試薬です。

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2. 炭酸水
割材などとして売っている無糖のもの。
うちではソーダストリームで作っています。

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3. 道具
・500ml炭酸飲料の空ペットボトル
※誤飲防止に「次亜塩素酸水」である旨明記。
・スポイトやピペットなど
・はかり(0.1g単位で測れるものが便利)
・ゴム手袋
・塩素濃度測定器/試験紙(あるといい)
・pH測定器/試験紙(あるといい)

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【ちょっとお勉強】

作りたいのは「120ppmくらいの次亜塩素酸水」です。

ppmとは濃度の単位。
10000ppm = 10000mg/L = 1%
販売されている「次亜塩素酸ナトリウム溶液」の濃度は、パーセントで各商品に記載があります。
例)
ピューラックス → 6% = 60000ppm
→500倍に薄める(1mlに水を加えて500mlにする)と120ppm
ミルトン → 1% = 10000ppm
→約83倍に薄める(6mlに水を加えて500mlにする)と120ppm

ただし紫外線などに弱く、保存しているうちに濃度はだんだん下がります。高濃度であるほど下がりやすいです。
(12%のほうが6%より元の濃度を保ちにくい)
うちの試薬には「製造時10〜13%だが2ヶ月で6%になる」旨書いてありました。

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【作り方】

1. 道具を用意。
次亜塩素酸ナトリウムは強アルカリ(皮膚溶ける、粘膜やられる)なので手袋やメガネで防護。

2. 空のペットボトルに次亜塩素酸ナトリウム溶液を測る。
・12% → 0.5g
・6% → 1.0g
・1% → 6g
※6÷商品に表示のパーセント=必要なグラム数

(正確には比重1.0ではないので1g=1mlではないが無視してます。前述の通り、記載の濃度通りかどうかもわからないし。)

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3. 炭酸水を20ml以上加える。
理論的には6%溶液1mlは炭酸水12mlで完全中和するそうです。炭酸水多めのほうが確実なので20mlとしています。多すぎても強酸にはなりませんが、もったいないのでほどほどに。

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4. 水を加えて500mlにする。

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これで120ppmの次亜塩素酸水500ml完成です。
紫外線などに弱いため、冷蔵庫に保管して数日以内に使い切るのがおすすめです。(間違って飲まないように注意。)
測定器などで塩素濃度とpH(弱酸性)を確認するのが確実です。ない場合は「相当薄めのつもりで作る」方が安全。

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↑大変雑ですが、弱酸性・100〜200ppmなのは確認できます。

すごーく雑に作るなら:
500ml炭酸水に次亜塩素酸ナトリウム水溶液を上記2の量たらしても作れます。

【使い方】

拭いて除菌 → 50ppm
作った次亜塩素酸水 200ml → 水で薄めて480mlにする。(2.4倍希釈)
触る場所にスプレーして使えます。
手指も(たぶん)大丈夫だけど、未確認とされているのでよく拭く&自己責任で。

https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20200529/1000049524.html

参考:空間除菌 → 20ppm ※控えるべきとされました。
作った次亜塩素酸水 50ml → 水で薄めて300mlにする。(6倍希釈)

実用の塩素濃度はこのくらい↓で十分です。

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【補足】

・やってることの化学式
NaClO + H₂CO₃ → HClO + NaHCO₃
(次亜塩素酸ナトリウム)+(炭酸水)→(次亜塩素酸)+(炭酸水素ナトリウム(重曹))

微量ながら塩(えん)として重曹が溶けてる。加湿器とかスプレーとかに析出しないように、たまに洗浄(水通し)するのがおすすめ。


・次亜塩素酸「水」?「ナトリウム」?※別物だよ!
次亜塩素酸水:
  酸性。
  有効成分「次亜塩素酸(HClO)」。
  効果的な有効塩素濃度10〜80ppmが適正。
次亜塩素酸ナトリウム(NaHClO):
  アルカリ性(皮膚溶ける)。
  有効成分「次亜塩素酸イオン(ClO-)」。
  効果的な有効塩素濃度100ppm以上。

HClOはClO-の約80倍の除菌力がある、とされるため効果的な濃度は1〜2桁違う。

次亜塩素酸はpH5〜6あたりで最も強い殺菌能力を発揮。

↓出典: https://www.oote-itsuki.com/about_jiasui.html

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【注意】

参照:
https://sonaeru.jp/goods/disinfectant/hypochlorous-acid-water/g-24/

・次亜塩素酸水と次亜塩素酸ナトリウムは別物です。
強アルカリの次亜塩素酸ナトリウムは人体に深刻なダメージを与えることがあります。水で薄めても次亜塩素酸水にはなりません。絶対人体には使わないで!

・次亜塩素酸ナトリウムの中和に強酸(塩酸など)を使うと危険な塩素ガスが発生します。
「まぜるな危険」の洗剤と同じです。絶対にやめて!
(炭酸水は弱酸&緩衝作用があるので大丈夫です)

・この製法で作った次亜塩素酸水は販売すると違反になります。自家消費限定です。
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2004/10/dl/s1028-8f.pdf
流通させていいのは「電気分解によって製造された次亜塩素酸水」のみなので注意。
(違反たくさん見るけど…)

・あくまで「自家用を自己責任で作る」のだということをご理解ください。
ご紹介したのはなるべく安全な方法とはいえ、酸とアルカリを混ぜる行為です。
また濃度など正確に測ってはいませんし、水道水や道具由来の不純物によるリスクもあります。
この記事を読んで「何言ってるかわからない」場合は手を出さないことを強くおすすめします。

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