UX JAM Online #5 に参加しました
こんにちは、都内でデザイナーをやっているうみのです。
7/7に開催された、UX JAM Online # 5 に参加してきました。
オンライン開催の UX JAM は初参加でしたが、とても良いお話が聞けたので自分用のメモも兼ねて残したいと思います。
ちなみにYoutubeにアーカイブがありますので、時間がある方はぜひそちらをご覧ください。(アーカイブ動画)
※個人の解釈も含まれます
※登壇者の方のスライドリンクなどを掲載していますが、何か問題がありましたらご指摘ください。
UX JAM Online とは
※イベントページより引用
UX JAM OnlineはUX MILK主催の、UXデザインを題材にしたオンラインLTイベントです。現場の人たちのさまざまなLTをオンラインでラジオのように楽しみながら聴きつつ、気になる点はコメントなどで気軽に聞けるようなゆるい双方向性のある場を目指しています。
UX JAMは初学者や若手も積極的に登壇できるくらいのハードルで運営しています。常に新しい人が出入りする場を目指しているので新参の方もウェルカムです。
YoutubeLiveでの配信だったのですが、本当にラジオのように聞くことができました。配信の作りも登壇者の方の名前やタイトルが表示されており、さすが〜と思いながら聴いていました。
デザインで作る優しいインターネットサービス
株式会社stand.fm デザイナー 大石 未央さん
音声配信のプロダクト作成に携わる上での、ユーザーの不安を取り除くUXについてのお話でした。
具体的な取り組みとして、以下のようなことを取り組んだそうです。
・数字の非表示化(いいねの数字を出さない)
・BGM機能(無言の気まずさを防ぐ、音楽でテンションが上がる)
・誹謗中傷への対策(悪口フィルター、通報機能の強化)
【感想】
数字の非表示化は、Instagramでも行われましたね。いいねの数に翻弄されるという話は前にどこかで聞いた気がします。BGM機能は音声配信ならではの取り組みですね。誹謗中傷への対策は最近は特に求められている点だと思うので、どのサービスも改めて真摯に向き合う必要がありそうです。
「アイアンマンVR」に学ぶ、現実(リアル)と非現実(アンリアル)の間のUX
株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント Webデザイナー 池原 健治(いけはらけんじ)さん
「アイアンマンVR」というゲームをプレイして感じた体験と考察についてのお話でした。
アイアンマンVRでは、とてもリアルなユーザー体験をすることができるそうです。本来アイアンマンはアンリアルな動きをします。しかしVRではとてもリアルに感じるそうです。このリアルな体験は、現実のシミュレーションとアンリアルなチューニングでリアルを生み出しているとのことでした。
これはWebデザインでも言えることです。例えば、紙とインク・マテリアルデザインです。マテリアルデザインでは、紙とインクの物理法則とwebならでは表現を用いています。
リアルなUXは現実の模倣だけでなく、歪んだり拡張したりしながらユーザーの求める「心の中のリアル」を求めることこそ、リアルを生み出すことに繋がるそうです。
【感想】
VRは全く知見がないので、とても新鮮なお話でした。一方でWebデザインに通じる部分があるというのは興味深かったです。
詳しくはご本人のnoteがありますので、ぜひそちらもご覧ください。
Xdとビデオ会議を使ってチームでワイヤーフレームを作ってみる
株式会社オロ IA/UXデザイナー 布施 瑛水さん
コロナ渦でリモートワーク中心のところもまだまだ多いと思います。むしろ今後リモートワーク中心になっていきそうですよね。そんなオンラインならではのチームワークについてのお話でした。
XD(共同編集機能)、whiteboardというXDのプラグイン 、GoogleMeetを利用したチームでのワイヤーフレーム作成についての体験を聞かせていただきました。
whiteboardについては以下リンク参照(Adobe Blog)
このワークは、GoogleMeetなどのビデオチャットツールを利用しながら、XDの共同編集機能を使用しながら行います。まずは、XDで付箋(テンプレート内にあります)を用いてカードソーティングをして、要素の優先順位などを話あっていきます。whiteboradにはいくつかのテンプレートがあり、すぐに使うことができます。
その後、各自でワイヤーフレーム作成。10分ぐらい作業をして、周りと共有を何度行いブラッシュアップしつつ、ワイヤーフレームを作成してきます。
オンライン×チームで、この手法を用いて制作するメリットとして以下のようなものがあるとのことでした。
・miroとfigmaの融合のような感じで、1つのワークスペースで完結する
・チームでビジョンを揃えながら作業することができる
・共有の時間があるので、互いのワイヤーのいいとこを学びながら進める
・他の人のワイヤー作成作業をみることができる
【感想】
miroとfigmaは使っていますが、これらが一緒になっていると考えるととても便利そうです。XDはバージョンが全員同じでないといけないということでしたので、その点は注意が必要です。
チーム内コミュニケーションを加速させるUX Tips
式会社ベーシック デザイナー 堀口 慎之介(Brian)さん
チームの中でデザインするとは、デザインをみんなで考える環境を用意することとも言えます。しかし、チームのメンバーの中にはデザインの敷居を高く感じる人もいます。なので、デザインの敷居を低くするためのTipsをお話してくださいました。
Tips #1 見出しをつける
デザインを作成しているうちに、いつの間にかFrameやアートボードが散乱していた…そんな経験ある人も多いと思います。散乱していると、共有された人もどれを見ればいいか困ってしまいますね。見出しをつけていると、そんな混乱も防ぐことができます。あらかじめ、見出し用のコンポーネントを用意しておくと、使い回すことができ、便利とのことでした。
Tips #2 途中で見せる
デザイン作成の際に100%作ってからメンバーに見せるのではなく、途中で見せると良いそうです。ブライアンさんは20%ぐらいで共有しているそうです。そうすることで、進捗の共有にもなりますし、大きな手戻りも発生しにくくなります。
Tips #3 雑談する
雑談と言ってもどうすれば、と思う方には分報がおすすめです。Slackなどのチャットツールを利用している方は、自分の分報チャンネルを作ってそこで呟くことで雑談が生まれます。雑談以外にもちょっとしたわからないことや悩んでるを書き込めば、メンバーの誰かが回答してくれたりします。なんでも雑に呟くことで雑談やアドバイスに繋がって、メンバーとコミュニケーションをとることができます。
【感想】
デザイン作成しているうちにFrame散乱は心当たりがあるので、今後は見出しを意識してつけようと思いました。デザインを途中で見せるというのはちょっと勇気が要りますが、確かに有効な手段ですね。
エンジニアとのコミュニケーションを変えたら、開発スピードが上がった話
渋谷のIT企業 UI/UXデザイナー 村上 隆紀さん
アイデア段階でエンジニアに共有したら開発スピードが上がった体験をお話してくださいました。
以前はデザイナーとPMでUI/UXを詰めてから、エンジニアに共有をするフローをとっていたそうです。ただその場合、エンジニアに共有した際に初めて「実装が難しいので期日まで完成が厳しい」といったことが判明することがあったそうです。もうデザインや体験設計は終わっているので、手戻りすることになりますよね。なので、全て終わってから共有するのではなく、アイデア段階でエンジニアに相談するようにしたそうです。そしたら、エンジニアに開発が簡単か・難しいかを確認することができます。また、「難しいかも…?」となった場合に、実際に仮実装をして検証してくださったそうで、それによって「意外といけた!」ということが判明しました。その後は検証に使ったコードを利用し、実装完了までスムーズに進んだそうです。
これによってのメリットは主に3つです。
1 実装が簡単・難しいが事前にわかる
2 検証コードを利用できるので、工数を削減できる
3 デザイナーもできること・できないことがわかってくる
【感想】
個人的には、デザイナーもできること・できないことがわかってくるというのはとても良いなと思いました。実装面の事情を知っていると、デザイン作成-実装の工数を減らすことができると思うので、とても重要ですね。
好きなことを好きと言い続けられる場づくり
株式会社フィナンシェ UXデザイナー 島津しほりさん
好きなことを好きと言い続けられるためのアプローチをUXデザインで何ができるかのお話でした。
好きなことを続けるには、前提として「賛同者」と「お金」が必要です。好きなことを続けるとためにできることを、様々な単位でUXを捉え整理していきます。
「好きなことを好きと言い続けられる場づくり」のために重要なポイント
好きなことの多様化に伴う安心感
肯定してくれる人が居続けてくれることで、ファンが増えます。そして「同じものが好き=同志しかいない!」という安心感を得られ、心地よい活動ができます。
特性の開放とシェア
好きことベースで作られたコミュニティは軸が共有できているので、特性を開放しやすいです。また、その特性をポジティブに捉えられやすいです。
関わり方のスタイルを選択
コミュニティにいると、同調真理から義務感が生まれます。そうなると、活動が楽しくなくなってしまいます。「熱量の違い」を押しつけず、自分の心地よい関わり方が選択できる場づくりが活動継続につながります。
自分本意な趣味活動
趣味活動は「楽しいから」するものです。長く続けるために必要なことは、
・心地よい関わり方のスタイルを見つける
・同じ価値観で集まった人たちと心地よく共存する方法を試行錯誤する
好きなことを好きと言い続けられることが、自分の人生を潤すことにつながります。
【感想】
好きなことを好きと言い続けること、簡単なようでとても難しいと思います。義務感が生まれると楽しくなる、という点は私も経験がありますし、適度な関わり方を選択できる場づくりは簡単ではありませんが、心がけていきたいです。
UIデザイナーが500ページ超のヘルプを書いて得たもの
株式会社グラッドキューブ UIデザイナー 宮島 敬右さん
自社サービスのリニューアルにあたり、兼ねてから課題感があったヘルプページを作成した話を聞かせてくださいました。ヘルプページは以前からあったものの、限られた時間・人で作ったものだったため、網羅性や正確性に課題感があったそうです。なので、品質の担保、カスタマーサポートや社内での工数削減を目的としヘルプページの作成にあたったそうです。
不安を抱かせず利用できる状態にするため、まずはユーザーのリテラシーの確認を行ったそうです。カスタマーサポートにヒアリングし、その結果初心者〜中級者に絞り作成したとのことでした。
コンテンツは1番に網羅性を、そしてあわよくばモチベーションアップ(学習意欲)に繋がるものを目指したそうです。内容については、部門・役割を横断したコミュニケーションで確認をとり、品質を担保したとのことでした。ヘルプページ作成にあたり役に立ったのでが、三級テクニカルライティングの資格だそうです。(三級テクニカルライティングについて)
例えば、以下のようなことに気をつけて文章を作成したそうです。
・過剰にへりくだらない
✖️:〜させていただきます。
◯:〜できます。
・完結に
✖️:〜することが可能になります。
◯:〜できます。
・漢字をひらく
✖️:頂く ✖️:下さい
◯:いただく ◯:ください
・修飾語の係り受け
✖️:大幅に時間と費用を節約できます。
◯:時間と費用を大幅に節約できます。
・なるべく肯定的に
✖️:〜しないでください。
◯:〜してください。
・一文一義
・文言の統一
など
ヘルプページ作成によって、サービスにたいする客観性を得られたそうです。UI作成の際もヘルプを考えながら作るようになり、複雑なフローを避けるようになったそうです。
また、説明の文章考えるときのスピードが上がり、簡潔に伝えるための文章力が身についたとのことでした。
参考書籍の紹介もあったので、以下に記載します。
【感想】
私はライティングに課題感があるので、とても興味深い内容でした。数をこなすことで慣れる部分もあると思うので、今後文章を書くことに積極的に取り組んでいきたいです。参考書籍も読んでみたいと思います。
認知心理で深ぼる ユーザーモデリングとおもしろみ(さわり)
株式会社i-plug UX/UIデザイナー 村治 泰広さん
サービスに関わる仕事をしている人だと、ペルソナを考えた経験がある人が多いのではないでしょうか。そんな時、ペルソナに違和感を持ったことはありませんか。そんなペルソナの違和感について、認知心理学で深ぼったお話でした。
ペルソナを作っても、そんな人いる?その思考や考えは本当か?と思うことがあると思います。ペルソナのフォーマットを利用する場合もあると思いますが、「ペルソナを作ること」が目的になり、思考や行動パターンが見えてこない場合があります。
ペルソナを作る際、なんらかの事実(例:インタビュー結果)などに基づいて作成しますが、それは他者のアウトプットです。人はアウトプットする前に自分の中でなんらかの処理をしています。知りたいのはその処理の部分で何が行われているかです。同じ事実(アウトプット)でも、処理部分はバラバラだったりします。
そこで大切なのは、わからない前提に立つ(その人なりのメンタルモデルを捉える)ことです。人はなんらかのインプットがあり、処理をして、アウトプットをしています。インプットは、他者の影響など外部から得たものです。人によって意識の場所が異なると認識する(自分以外の意思決定要因を探る)必要があります。
あとは、ペルソナ・仮説の確からしさを確かめる必要があります。その手法はユーザーテストなどもありますが、エミュレーション(自分を捨てて憑依する)もあります。
まとめ
1. その人なりのメンタルモデルを捉える
2. 自分以外の意思決定要因も探る
3. 確かめる考えるより憑依する
【感想】
5分じゃとても足りないくらいのお話でした。私は認知心理学についてはまだまだ理解が浅いので、今回のお話をもっと理解できるように勉強しなければと思いました。認知心理学への興味関心が深まるお話でした。
高校生にUXデザインを教えた件
株式会社ゆめみ ファシリテーター・プランナー ウメムラタカシさん
高校生にUXデザインを教えている中での体験についてのお話でした。
まず脳内イメージ(脳内メーカーみたいな)をmiroで作ってもらったところ、何も指示をしていないのに、色をつけたり形を変えたりといったことを自発的に行っていました。
また、UXデザインについて学ぶ中でインタビューの実施やインサイトを導くワークを行ったそうです。その際の気づきがまとまったmiroをみてみると、「対面で人に質問するのは面白かった」といった素直な感想や、「相手が話したいこと話してもらうと事前に想定していなかった話が出てきた」などとても深い感想がありました。これを教えるまでに気づく高校生、すごいです。インサイトというとても難しいトピックについても、しっかりとした意見があり、大人顔負けだったそうです(大人のワークショップでは出てこないような感想もあったとのことでした)
「高校生にUXデザインを教えた件」ではなく「高校生にUXデザインを教えられた件」だったと話されていました。
【感想】
高校生の素直な感想と、びっくりするような深い気づきに驚かされました。素直さと柔軟さは学ぶことにおいてとても重要だと思いました。高校生でUXデザインを学んでいる人たちが大人になったらどんな思考をするのかも興味がありますね。
おわり
UX JAM Onlineでは、登壇者3名ごとに区切られており、間に10分の休憩を挟む形で行われました。休憩ではその前に登壇した3名のフリートークを聞くことができました。フリートーク部分は、今回書き出せていませんので、興味がある方はYoutubeのアーカイブをご覧ください。
次回は8月に開催予定とのことでしたので、興味がある方はぜひ参加してみてください!