転職、それは…

作業療法士免許を取得して20年。その間4か所の職場に勤めた。老健2か所、病院2か所。多いのかどうか、分からない。大した実績もなく、自慢になる事は何もないが、どこもそれなりの期間勤め上げ、周りとなんとか上手く関係を築こうとしたのは自分では頑張ったポイントかなぁと思っている。

『貴女なんか、何処へ行っても上手く行かないよ』

最初の勤め先を退職する直前、上役の1人から言われた。同僚と2人、4月から退職したいと届出していたが、上役から『ボーナス貰うまで待ったらどうだ』と引き止められた。それに応じて退職日を3か月先延ばしした。

その当時の仕事は、介護保険制度の大幅改正で、施設入所者全員のリハビリテーション実施計画書の書き直し、私の前に辞めた直属の上司から引き継いだ訪問リハビリなどの慣れない仕事を、残りのメンバーで手分けして行った。ヨレヨレになっていたのに、希望する退職日の数日前まで届出は何故か受理されていなかった。どうやら職場の上役達は、一度引き止めに応じた私達が次も説得に応じるだろうとたかを括っていたらしい。『どうしても辞めたい。心も身体も限界だ』そう説明して漸く受理された私の背中に施設長の一言が刺さった。

…負け惜しみだっただろう。それなりの年数働いた今ならわかる。しかし、その当時疲れ切った私に追い討ちかけるのに十分な言葉だった。何を根拠に、地位も名誉もある方が私の様な若輩者に噛み付くのか。そんなに御し易く見えたのか。私も歳を取ったらこうなるのか。

あれから10数年経つ。上に書いた様な体験や言動は、多分ハラスメントに抵触するだろう。使った事はないが、退職代行なんて職業もあると言う。あ、そうだ。働いていてもう一つ意識している事がある。職場を離れる人に対して、自分なりに礼を尽くす。態度を変えない。『他行っても上手くいかない』なんて捨て台詞はもっての外。人にはそれぞれ事情がある。どうせなら少しでも快く送り出したいじゃないか。まぁ、なんと言っても自己満足だし、そもそも相手にどう受け取られたのかは判らないが…

件の施設長は大分前に亡くなられたと風の噂で聞いた。今の私を見て、どう思われるだろうか。

#わたしの転職体験

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