『21世紀の女の子』
いつもシネ・リーブルは神戸に行ってたんだけど
今日はじめて梅田にも行ったら梅田もよかった。
床のクッションはふかふかだし、
遊園地の室内アトラクションみたいに
無駄に暗くてネオンがついていたりしないし、
ポップコーンの匂いもしない。
もちろんガキんちょもいない、静か。
ここまでは神戸も一緒だけど
梅田はおまけにガラス張りで眺めもよくてとてもよかった。
優雅な気分で映画をたのしめた。
シネ・リーブルだいすき。
話が逸れてしまった。
金曜日に「週末映画が観たいな」とおもって探したら
舞台挨拶付きだったので選んでみた『21世紀の女の子』。
ヴィジュアルが好きで中身自体にはあまり期待はしてなかったんだけど
わたしはけっこう好きで楽しめた。
10分弱のショートストーリーが(各々に脈絡はない)15個つながっている
という一風変わった構成のこの映画。
そんなに短い時間だからもちろんストーリーは完結しない。
「え、これからどうなるの?」「え、これで終わった?」
そういうタイミングで話が終わり、
戸惑っている間もなく次のストーリーが始まる。
そういうスタイルに慣れないのか、ストーリーが切り替わる度
最初の頃は座席から苦笑する声や「全然意味わかんね…」って言ってる声も
聞こえたけど、わたしはあえて最後まで行かずに終わってしまうその感じが
新鮮でよかった。
全てを観て満足してしまうのもいいけれど、
「もっと続きが観たかったな」
「あれからあの子はどうしたんだろう」
そんな風に後ろ髪を引かれる映画があったっていいと思う。
短い時間だからこそ、
作り手が伝えたかったり残したかった衝動や感情のゆらめきが
ダイレクトにクローズアップされていて
普通の長編映画を見るときよりも心に迫ってくるものがあった。
わたしがいちばん好きだったのは東佳苗さんのout of fashion。
メインキャストはわたしがずっと気になっていたモデルの
モトーラ世里奈さん。
今日映画で見て完全にファンになりました。
ストーリーも服装もメイクも映る画面画面の絵面も
何かもが可愛くてドタイプだった。
特に好きだったのは、モトーラ世里奈さん演じる主人公が
憧れていた先輩(先に社会人になっていた)に久しぶりに再会するシーン。
先輩は変わってしまっていて、
世里奈さんは先輩と一緒に食べようと持ってきていたハリボーのグミを
(おそらく学生時代に先輩とよく食べていたなじみのお菓子だったのだろう)渡せず、うつろに話を聞きながら背中でぽとぽとこぼしてしまう。
世里奈さんのうつろな目と対比して
ぽとぽと地面にこぼれてダメになっていくカラフルで可愛いくま型のグミ。
可愛いまま傷つけられていく世里奈さんから流れる血みたいで
残酷ででも可愛くてぞくぞくした。
話の内容自体も
卒業・就職にあたっても自分は変わらないでいるのに友達は変わっていくこととか(これは学生時代に経験した)
果ては「女も子ども産むなら早いことどうこう」というくだりがでてきたり(これは現在対面している)自分に刺さることばっかりで、
15個あった映画の中でいちばん自分の近くに引き付けられる映画だった。
エンディングでは、とろとろまとわりつくみたいに甘ったるくて
コケティッシュなのにでもどこか凄みのある大森靖子ちゃんの歌声が
呪文みたいにやさしくて涙が止まりませんでした。
たまたま昨晩、靖子ちゃんがインスタライブをしているのを見ていて
そのときにファンのコメントで「靖子ちゃんの子どもになりたい」っていうのがあって、そのときはよく分からなかったのだけど、
今日エンディングを聴いていたらなんとなくその気持ちが分かりました。
あやされたいというか、ぜんぶ味方になってほしいというか、
大丈夫だよって言ってほしいっていうか、受け止めてほしいんですよね。
『21世紀の女の子』は「自分自身のセクシャリティあるいはジェンダーがゆらいだ瞬間が映っていること」っていうのがテーマで
だから女の子と女の子のあやうい関係(レズ)
みたいな映画が多かったんだけど、
人が人を求めるのって男女間じゃないと成立しないっていうものではなくて
単純につらいとき寄り添ってくれたり、受け止めてくれたら
同性間でも深い関係になってしまうのではないかしら、
と思ってしまいました。
偶然選んだ映画だったけど、結婚やら好きだった人やらを考えて
心がぐちゃぐちゃにやわらかくなっているときに
観ることが出来てよかった。
出会いに感謝です。