ミチルと鷹の人形~第二章マアコの章~

 ミチルとパイが仲良く苺シェイクを飲んでいると丘の向うから一人の少年がこちらを見ている。とても貧しそうで目がぎすらぎらしている。ミチルはとても警戒した。ミチルより年は二歳くらい上で髪はウエーブのかかった黒髪をしていた。
「あなたは、先ほど大金を持っていた子だ」と言うと少年は、ガバッといきなり土下座して」
「オイラはエリシン。何でもするから雇って下さい。家は農家だったのだけれど黄砂で作物が育たなくなってしまった。小さい妹がいる。もし仕事が見つからなければ妹は売りに出されてしまいます」と大粒の涙を流した。
 ミチルとパイは顔を見合わせて困ってしまった。
「とりあえず、落ち着こう。僕たちも増えるお金があるわけではない。そして、エリシンという少年についてメロン橋の池の脇の水車のあるところに行くと確かに小さな小屋がある。
「うふふ。こんにちは。」と三つ編みの女の子が出てきた。10歳位だろうか?
「妹のマアコだ。なにも知らないからさっきの話は黙っていてくれ」と、エリシンは言った。パイは
「すべてはカオスの中だ、それを忘れないようにそれとむすめっ子の髪は高く売れる。特に黒髪は…」と言うと、それを聞いたエリシンは
「やりきれない」と、意気消沈して答えた。
「どちらが良いのだ」とパイが聞くと
「…」とエリシンは黙ってしまった。
「ん?娘さん。なにか光るものを持っている、あ!!水晶の獅子だ。」とミチルはパイを見ると
「2体目だ」と、パイは答えた。
「ミチル、選ばれているのはエリシンの方ではなく妹のマアコのほうだよ。」と  パイは言った。
「エリシン、僕が彼女をつれていこう。彼女は特別な力を持つ人なのかもしれない」
「なにを言うんだ。マアコはまだ10歳だ」
「でも、彼女は運命に選ばれているんだ」と、パイは言った。
「なんだか、凄い物語に見えるかも知れない。それは君の頭の中で起こっているだけなのかも知れない。」エリシンはやむおえず
「マアコ、髪の毛を切ろう」といった。
「ハイ、お兄ちゃん」少女は素直に言った。
「この人はうちのピンチを救ってくれる人だ。しかし、髪を売って彼らと一緒に行かなければならない。兄ちゃんも行く」と言うとエリシンはまた泣いた。
 マアコは涙を流しながら
「お兄ちゃん、1人で悩まないで!髪を切るくらい大丈夫よ」と言った。
「マアコちゃん、君は特別なちからを持っているようだ。つまり、賢者になる素質がある」と言うと、エリシンは驚いた。
「そうしたら、家のまずしさからま救われるだろう。全ては選択で決まる。良い未来をいっしょに祈ろう。さあ、一緒に行こう❗️お兄ちゃん!きみは彼女を守るナイトだ‼️」
「どうだ?マアコ。まだ10歳だ。怖いし苦しいことも有るかも知れない。兄ちゃんがついてる。だから一緒に行こう❗️マアコ❗️」言った。
すると、水晶の獅子の人形は目を光らせて言った。
「我が名はレイ。我ら3体の人形が揃うとき君達は天命に導かれるだろう」
「キャッ!!人形が喋った!」と、マアコは驚いた。
聞こえるのはミチルとマアコだけだった。エリシンにはサッパリ聞こえなかった。
「この冒険のお話の始まりは、どうやら我等3体の人形を見つけるたびのようだ」
「なぜ、今集まる?」と、ミチルが聞くと「黒の王様の命が出て、羽のついたクツを持っていくため我等3体は1000年の眠りから覚めるときがきたんだ。我等には賢者を揃えると言う使命がある。今、海を越え靴を届けるんだ。君達にこのカオスの明暗がかかっている。無駄口はいけない。全て黒の王様は聞いている。人形を集めて会いに行く」
  そして、30分後、身支度を整えたエリシンとマアコはレイを持ってミチルとパイに同行することになった。
  三人は砂漠に戻ってきた。地図は家にあったものの持っては来たけれど古くて読めない。途方に暮れているとキーンキーンと昼の12時を報せる鐘がなった。
  その時、砂漠の砂の底がザルのようにぬけはじめて三人は下へ下へと滝のように落ちて行った。
「キャア‼️」驚くマアコ。
「皆、はぐれるな!」と、ミチルは肩を抱きよせた。砂はどんどん落ちていってまるで黄色い滝の中にいるようでした。
  すると、三人は水の中に落ちた。砂漠の下には海があったのだ。しかし、普通の海ではなかった。竜やシーラカンスや人魚が泳いでいる幻想の海のようであった。
「心が作り出した世界だ」と、パイは言った。
「息が出来る」と、三人が驚いていると、
「我々二つの人形の魔力だろう」と、パイは言った。
「このまま海の底まで降りよう」三人は手を取り合って輪になった。ミチルはマアコの手をにぎるのが恥ずかしかった。海の底に大きなタマゴ型のドームがある。
「それは、大海亀のタマゴの殻の半分だ」と、パイは言った。黒い煙突がついていて高く何処までも続いているように思えた。その黒い煙突を三人は
一人ずつ梯子で降りていった。
 皆、無口だった。底につくと自然豊かな緑の草原になったていた。ここの草原には様々な綺麗な花が揺れていた。その中に民家がチラホラとあった。パイにミチルは
「王様はここにいるの?」と聞いた。パイは
「実は我にもわからない。しかし、3体の人形が全部集まらなければ意味がない事なのだ」と、こたえた。ミチルはは黙って頷いたのだった。       
~第2章  マアコの章  完~


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